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第四章 世界との関わり

第27話 舐められてはいけません

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 話し合いが始まる。
 メルーを入れて四人。
 国政を司るにしては少なすぎる。
 町レベルでも、議員さんは三〇人前後は居たはずだ。
 大きい市だと確か一〇〇人。

 最後に見た内閣の閣僚でも、二四人くらいだった気がする。
「必要な役職は何だ?」
 魔王が聞いてくる。

「いやその前に、メルー君の話を聞こう」
「えっあっはい。私は、獣人国コーカサスの出身です。周りは皆真っ直ぐな角なのですが、私は何故かクルクルで、子どもの頃から虐められて、そのお、教会で助けを求めました」
 じっと見ていた魔王が口を開く。

「そのアモン角。魔族には多い。お前の母親。魔族と浮気でもしたな」
「「なっ」」
 それを聞いて、メルー君が固まったが、目と相まって怖い。

「そんな。確かに母さんは村でも美人だし、社交的だけど。魔族と?」
「ああ。中には、獣人の奴らと似た姿のものが居る。ただ、体力バカの獣人と違い我らは崇高なる種族。魔力に親和性が高い。混血なら少し劣るだろうが魔法を極めてみるが良い。強くなって村を殲滅しに行くか?」
「セルビリ。少し黙っていようか?」

 つい気があふれる。刺すような威圧が場に流れ、周囲の温度が下がったような気がする。
「ぴっ」
 メルー君が、ぷるぷるし始める。


「あっごめん」
 威圧を解く。

「それで聞きたいのだが、勉強。読み書きは大体できるのかな?」
「えっあっはい。子どもの頃から基本的な読み書きは親から習います」
「四種族の中で、獣人が一番しっかりしているじゃない。体力バカというセルビリの意見は却下する」
「なっ。魔王様」
 元魔王に魔王と呼ばれた。

「魔王じゃない。ただの王だ」
「魔王をしのぐ魔法使いなのに」
「それでもだ。それで、よく分かったがこの町の住人。教育が最初だ。それまで何とかこの四人でしのごう。外交は俺と、好実でしようか」
 そう言って、少し頭を抱える。

「王が直接玉体を運ぶなど、他国に舐められます。それはいけません。是非私目にお任せください。なあにすぐに屈服させ属国として従えさせましょう」
「だから。それが駄目だと言っているんだよ。屈服させるな従えるな」
 そう言うと魔王が、かっと目を見開き発言をする。

「舐められます」
「っ。その時は少し力を見せるさ」
 そう言うと、セルビリが嫌そうな顔をする。

 そうだな、まずは順番を考える。
 なじみの城郭都市コーガネーへ行こうか? ウーベル=ナーレ辺境伯に会いに行く。
 ここは、経済の中心地。
 王国ミッドグランドに属しており、俺達を召喚した南側のメリディアム国。北側は、小国が連合をしているセプタントリオナリス連合国と取引をしているため非常に都合が良い。

「先ずは、城郭都市コーガネーへ行ってみようか。石板の使い方は覚えたし。好実ちょっと行ってみよう。取引として何が使えるのかの擦り合わせも必要だし」
「王よ。外交と言うが、この国。不足しているものはありますでしょうか?」
 魔王にそう聞かれて考える。だが。
「えーそりゃ。ないな」
 農作物は、精霊により無茶苦茶な生産ができる。

「では一方的に売りつけると言う事でしょうか? ここの、進んだ魔道具を?」
 魔道具は、こんなのが欲しいと言えば、すぐに創ってもらえる。

「まあ、そうなるかな」
「では、属国化するという事でよろしいか?」
「えっ。いや違うと思うけれど。あれ?」
 元の世界で某大国のやっている事に近いのか?
 技術を売りつけ、支払いを求めてその国を支配する。
 あれぇ??


 そんな不毛な会議を開いている頃。
「おばさん。お邪魔します」
「あら、美葉ちゃんお帰りなさい。今日は学校どうだった?」
「まあまあです。お邪魔します」
 向こうの世界デェ=ドムンから帰ってきてから、美葉は毎日のように山川家へ先に帰ってくる。まるで中学校のあの時までの様に。

 真っ先に望の部屋を開けると、ベッドへ飛び込む。
 枕を抱え、残っている望の匂いを堪能する。
 記憶に残る望と好実の睦み事。

 嫉妬を覚えながら、つい手は自身の敏感な所へ。
 そんな不毛な事を、日課としてしまう。

 少し後。
「あー。ノックはしたんだけどね」
「へっ」
 声のほうを振り返ると、困った顔をした、全一。望の父親。
 ぼへっとしているが、リギュウムディ。伝説の前王様。

 当然、美葉は真っ赤に染まっていく。
「あっ。あっのつい」
「お茶と、ケーキ良かったら食べてね。いやぁ。こんなに思われて、望は幸せだね」
 そう言って、テーブルにトレイを置くと、部屋を出て行こうとする。

「おじさん。いえお義父さん。向こうは、一夫一婦制でしょうか?」
 真面目な顔をして、見上げるように聞いてくる美葉。

「いや? そんな取り決めはないし、今の国は望が法を決める。お願いをするかい?」
「します。もう、思いだした以上。辛くて」
「あー胸を貸そうか?」
 やれやれと全一は聞いてみる。

「嫌です」
「そうかい残念」
 全一は笑って、出ていった。

 美葉は、いま胸を借りると、おじさんだと思っていないと、やばい事をしそうだった。中途半端に、なった慰め。
 少女だった彼女は、いま、完全に女として目覚めた。

 つい、色々訳の分からない言い訳を考えて、好実ちゃんに譲っちゃったけれど、駄目よ。いま私は、自分の気持ちに気がついてしまった。
 それも、二人がいちゃついている事で許せなくなったって。
 私、NTRの属性持ちだったのね。

 ドアを確認して、また不毛な行為に戻る。

「いや参った」
「どうしたの? 勉強していたんでしょ。家じゃ落ち着けないとか言っていたし」
 ため息を付きつつ促す。

「聴力を強化して」
 円華はそう言われて、身体強化をする。

「あー。そういうお年頃ね。覗いたの?」
「いや。ノックしてドアを開けんたのだけどね」
「まあぁ。そこまで? どうするの?」
「うん? 彼女いくみたいだよ」
 どっちの意味よという感じで、円華の目が空中を見つめる。

「そうなるわよね。精霊石用意する? それとも忘れて貰う?」
 御両親の事だろうなぁ。

「お嬢さんを、文字通り頂くか」
「まあ本人に聞いてみましょうか? あっ今は聞いちゃ駄目よ。あなたは耳を塞いでいて」
「はーい」
 
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