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第四章 世界との関わり

第24話 秘密の部屋

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 当然のようにじゃれ合い、いつもの日課となっているエッチをする。

「今日は、私の部屋で寝ましょ」
 彼女の部屋へ、一緒に入る。
 そう言えば、どうしてこの二人。
 俺のベッドを汚していたんだ?
 城は広く、好実の部屋もあるし、ゲストルームもある。

「どうして、俺の部屋で飲んでいたんだ?」
「えっ? それは、きっと美葉ちゃんが見たかったのよ」
 そう言って、引きつった笑い。

「本当は?」
「えーへへっ。普段から、あの部屋だし。二人の愛の巣を見せて…… その、牽制をしておこうかなって」
「何でまた」
 そう言うと、好実は驚く。

「何でまたって、あーまあいいか。中学校の時、告白されたんでしょう?」
 言われても思い出す。

「えーああ。あったなあ。でもその後、いや、冷たくなったぞ」
「好きって本気で言ったのに、返事をしないし。そうなるわよ」
 本気?

「でも忘れてとか、そんな事を言われた気がするぞ。それに回数は減ったけれど、部屋へ勝手に入って寝ていたし」
 そう言うと、好実は一瞬呆ける。

「そうか、幼馴染みだとそうなっちゃうのか。それはそれで面倒だわ」
 眉間にしわを寄せたまま、好実はうんうんと頷いている。
 ちなみに部屋へ入ると、途端にこの部屋でするのは初めてといって、俺の上にまたがっている。

「私の告白は、素直に信じた?」
「ああ、まあ。告白される前から、気があるそぶりは感じていたし」
 そうなんだよ。結構あからさまと言うか何というか。

「えっ。うそぉぉ、あっああっ。なにこっれきゅっうっに。感じる。あっこれっだめっ。うんっ」
 そう言って、ぷるぷると震え、力が入る。

「あっ」
 そう言って、倒れそうになる。

「なんだ、ばれていた事。そんなに驚いたのか?」
 ゼイゼイと、言いながら、好実は少し復活。

「あーびっくりした。すんごい良かった。えー。いつから分かっていたの?」
 少し食い気味に聞いてくる。

「夏休み明け。急に態度が変わったし。美葉に騙されて、変な行動を始めたし。最初嫌われたのかと思ったけれど、授業中もしょっちゅう目が合うし、何かのたびこっちを見ているし」
 そう言うと、真っ赤になって俯く。

「はっはっは。ほれっ」
 少し突き上げる。

「あんっ。もうっ」
「真っ赤な顔して、ほれほれっ」
 さらに突き上げる。

「いじめっこぉ」
 そうして夜は更けていく。

「あーもう。予想はしていたけれど、くるものがあるわ。なにが、ほれよっ」
 そうぼやきながら、美葉はそっとドアから離れ望の部屋へと戻る。
 そう美葉が外にいたのは、望は知っていた。多分、好実も気がついていたはずだ。

「あーあ。なぜか、望の匂いがしなくなった」
 枕を抱えて、ゴロゴロし始める。
 匂いがしなくなったのは、浄化をしたから。

 告白以降、望の部屋へ忍び込み、ベッドで寝ていたのは、匂いを嗅ぎ。面と向かえなくなった望成分を補給していた。

 少し、やばいと思うが、女の子は匂いに敏感なの。と開き直る。


 翌朝、久しぶりに母さんの手料理を堪能する。
 何故かでもないが、目が腫れぼったい美葉も手伝った。

 当然、好実も母さんの前で張り切ったが、秒でばれた。
「好実ちゃん。すこしは料理ができた方が良いと思うわよ。でね、今日は人数も多いし、私に用意させて」
 母さんはやんわり? 断る。

 すぐ横で、楽しそうに動き回っている美葉は、何も言われていないのだから。
「あーお茶でも。入れます」
 ぎこちない手。何とか、茶葉を入れ、ドボドボと湯を入れる。

「ストップ」
 すぐに、カップに注ごうとした手を、止めさせる。

「三分待とうか」
「あっはい。ごめん」
「いつもの小さいのじゃなく、今日の茶葉は少し大きい奴だから」
 まあ小さいのでも、二分ちょっとは蒸らすけれど。

「そうか君は、日本で優しい両親に育てられたんだね」
 父さんがフォローのつもりか、そんな事を言う。

「あっいえ。共稼ぎで放っておかれて、家ではいつも一人だったので」
 父さんの顔が、しまったという感じに変わる。

「そうだったんだ。ごめんね」
「いいえ。状態は、美葉と同じだけど、家事をしたか、しないかの差ですよね」
 そう言って落ち込む。

「うん。もう出ただろう。君も水はのんだ?」
 父さんが、あからさまに話を変えてくる。

「神水ですか? 彼が言ってくれて、飲んでいます」
「ほう。それは良い。僕はそれを知らなくてね。悲しかったよ。精霊たちは融通が利かない。何でも聞く事だ」
 それを聞いて、美葉以外はなっとく。横に居る、伽羅は無関心。

「ええ、本当に。彼女達極端だから」
「そうよね」
 今度は、母さんと共感をしている。

 そしてわいわいと、久しぶりに大人数での食事を食べる。

 いつも二人で、まったりじゃないな、退廃的な感じで食事するから、久しぶりに食事を楽しんだ。

「さて行くか」
 片付けをした後、一階まで降りる。

「あー前と城が違うが、探査。こっちか」
 父さんは、地下が見えるように歩き始める。

 壁があっても真っ直ぐ。近寄るだけで、上部が丸いアーチ状。ゴシック・スタイルの通路に変化をする。

 すごいな土魔法だろう。
 魔力の流れが、壁に当たった瞬間に変形を始める。

「此処だな。手前から階段を作るが良いか?」
「あっうん。いいよ。人が落ちないようにね」
「分かった」
 そう言った瞬間。床がヘコむと同時に左右に壁がせり上がり、下は階段ができあがる。
 壁は天井へとつながり、囲いができて階段手前に、やはり入り口ができる。
 横にできた小部屋は、倉庫にしよう。

「ドアは創れよ」
「ほーい」

 すごいのは、できあがった壁。魔力を感知して自動で光る。しかもLEDぽい。
 そうか原理は半導体だから、壁表面に出しておけば魔力を電気に変換。アノードとカソードの電位差が三ボルト前後あれば光る。簡単なんだ。本当に、そうなのかは、解析しないと駄目だが。

「お父様すごいわね」
「ああ、俺達とは、魔力の練り方。放出の仕方が無駄が無く必要最小限だ。ああすれば、物の方も反応良く動くのか。これに比べると、俺のは魔力のごり押しだな」
 その声が聞こえたのだろう。

「馬鹿野郎。年期が違う。千年もすれば同じくらいにできる」
 そう言って笑い、そこに出てきたドアは、金属製。だが、数百年経っているはずだが全くさびていない。

「ドアが、違う」
「ああ高気密。湿気は大敵だからな」
 そう言いながら、何かを唱えて魔力を流す。
 ガコンと、何かが外れ、横にスライドをする。
 一歩足を踏み入れた先には、光が点る。

「「「わあっ」」」
 ものすごい量の本があった。
 独特の匂いと天井まで、びっちりと本棚。
 それがずっと向こうまで。
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