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第三章 国との関わり

第43話 半周遅れに気がついた

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「でええぃ」
 復活をした彩達。
 学校帰りに、お仕事中である。

 はぐれオーガが、街道沿いで車と喧嘩をしていた。

 それは始まったばかりで、他のチームも来ていない様だ。
 あわてて、自衛隊に通報をする男性の傍らから、スカートを翻して、女子高生が炎をばら撒く。

 最近は、コントロールが上手くなって、モンスターは燃やすが延焼をしなくなっている。
 何処までも不思議な炎。

 腰に手を当て胸を張り、燃えていく様を録画する彩。
 対象が一匹だったので、手が打てずオロオロしていたまどか。
 それを、生暖かい目で見る竜司たち。
 最近の日常風景。

 そして、周りについてくれているガード達が、連絡をして問題解決を報告。

 最近、なんとなくだが、連携が完璧になっていた。

 大物退治の後、多少遠回りをしながらお仕事をしているとき、視界の端にはぐれコボルトが見えたまどか。
 本人には攻撃能力がない。コボルトの攻撃に対して、対応が間に合わない。とっさに蹲る。

 そんな、まどかの目の前を、光が通り過ぎる。
 竜司が助けてくれた。そう思い、そちらを見る。

「竜ちゃ…… はぁ?」
 そこで構えていたのは、伶菜。

 頭を失い、倒れていくコボルト。
 結果を見て、喜び。
「竜ちゃんできた」
 そう言って、竜司に抱きつく。

 周りのガードも驚くこともなく、和やかにそれを見ている。

「どりゃあ」
 彩は気合い十分に、最後のゴブリンを燃やし、振り返ると、誰もこっちは見ておらず。まどかは呆然として立ちすくみ、竜司とそれに抱きつく伶菜。

「ねえねえ、奥様。これはどういう状態かしら?」
 彩がまどかに声をかける。

「誰が奥様よ。いえ。それは、うれしいかも。助けて貰ったんだけど、伶菜が竜ちゃんと同じ、光を使っていたの」
 ぼそっと言った、その言葉に、彩は無反応。
 首までひねる。

「んんー? よく分からない。なんで使えるの。あれって、宇宙人特典じゃなかったの?」
「そう、そのはず。なのに、使える」
「竜ちゃん神様みたいな者だから、伶菜が力が無いからかわいそうとか言って、じゃあ力を与えよう。とか言って、あげたのかしら?」
 彩が考えなしに言った言葉。
 戦闘後で、カメラのスイッチは入ったまま。

 その情報は、またもやギルドを混乱させる。


 その後、家へ帰る。
 いったん、各自の家へと帰るが、やはり気になる。

 彩が廊下へ出ると、まどかも丁度出てきた。
 一緒に、佐藤家へ。
 竜司の家で、チャイムを押す。

 すると、出てきたのは。かわいいエプロンを着けた伶菜。
「あれ? どうしたの」
「どうしたのはこっちよ、なんで竜ちゃん家にいるの?」
 驚く二人だが、伶菜は平然というか、当然だというように答える。

「えっ、お義母さんに頼まれて、晩ご飯の用意中だけど、彩は宿題をしたの?」
「うっ。まだ」
「はやくなさい」
 そう言って叱られる。

「まあまあ、話は聞いておくから、彩は宿題」
 そう言って、まどかにも追い返される。

 だが、彩は彩。悩む種があるのに、宿題などに気が向かうはずが無い。
「うー」
「あー」
 ノートには謎の文様が、自動書記されていく。

 それに気がつき、ラフスケッチ的な竜司との逢瀬が描かれていく。
 人に見られれば、恥ずかしくてどうしようもないレベル。

 やがて、ストーリーが付いてくる。自分は何故かお姫様。
 気がつけば、コマ割りされ十八禁な漫画が描かれる。
 能力を使うのに、鍛えられたイメージ。
 妙な才能を習得していた。

 でへでへと言いながら、書き殴り、ストーリーが進んでいく。
 気がつくともう八時を回り、部屋のドアがノックされる。
「彩。ごはんよ。珍しく勉強しているようだけど、暖かいうちに食べなさい」
 優しいお母さんの声。
 だがノートに描かれた力作は、決して宿題ではない。

 それに気がつき、そっとノートを閉じる。
 それを、机の奥底へ封印をする。
「はあっ。したいなあ」
 そう言いながら、部屋を出ていく。

 それから、少し時間は戻る。
 彩を追い帰した後、家に入ると、台所には、竜司が立っていた。
 ブルーのモノトーン。
 エプロン姿が、かっこいい。

「おう、まどかだったのか? どうした」
 そういった竜司の脇で、やりかけた作業に戻る、伶菜のよどみない行動。
 台所を把握し、使いこなしている。
 これは、たまにでは無い。
 女としての勘が、ガンガンに警鐘を鳴らす。

「いつもしているの?」
「うん? なにがぁ」
 よく見れば、竜司との距離感も長年付き添った夫婦のよう。
 なんというか、自然に距離が近い。

 私や彩のように、竜ちゃんの近く。えいという感じではない。
 すべてを許容して、認め合っている?

 これも、あの能力の影響なの?
 そんな事を、考えていて、ふと。

 本当にふと、恐ろしい考えが浮かぶ。
 竜司のお母さんに見られて、叱られ遠慮をしている行為。

 本当に、我慢できないときに、お願いをすると迎えてくれる。
 多分それは、彩も同じはず。
 あの子の場合、した次の日は、ご機嫌が限界突破をしているから、すぐ分かる。

 では、日々入り浸っている伶菜。
 一体何処まで…… もしや、お風呂まで一緒に?

 勇気を出して、まどかは聞く。
「ねえ、あななな」
 言えない、聞けない。怖い。

「穴ってなあに」
「いえ、穴じゃ。無いこともない。妙にあなたたち、距離感が近いけれど、その……エッチしてる?」
 勇気を振り絞った。まどか偉い。自分自身を褒めたい。

「えっと、あの……」
 伶菜が言いにくそうに、ごまかそうとしたようだが、竜司が暴露。
 基本四人の中で、隠し事は、あまりしないと決めてある。
 あまりというのがあれだが、全部全部は言えない。

「おう。ほぼ、毎晩来ているな」
 それを聞いて、まどかは崩れ落ちる。
「ずるいよぉ」
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