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第2章 魔法の使える世界

第1話 魔法が世界にやってきた

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 寝ていると、ズンと突き上がる衝撃がやってきた。

 横に寝ていたフレイヤが目を見開き、念話を使ってきた。
〈空間の魔素が15%を超えてきたから、第3段階の侵略開始かな?〉

 今俺は、フレイヤの忠告通り、ダンジョン側で生活をしている。それなのに衝撃が来るのは不思議な感じがする。
 とフレイヤに言うと。猫なのにふっと人を馬鹿にしたような顔をして、あの振動は空間干渉したときに起こるものだから。物理的な振動のほうがおまけで、空間の揺れ?が元と言うことを教えてくれた。

 俺はゴソゴソと起き出し、広大なネットの海で徘徊を開始する。



 月にて。
 やっと、15%を超えたか……。 しかし脆弱なはずの原住民がほとんど減っておらん。どういうことだ?
 まあ良い、これからが本番だ。15%を超えた以上ダンジョンの外に出られる個体も強力なものが増えていく。目にもの見せてくれる。

 うん? ……ドラゴン種はまだ無理か。ならば亜竜種と亜人系は…… 何だ? 
オーガまでか…… ミノタウロスどころかトロールもだめとはなさけない。
 いやいや、こういう事はゆっくりとだな……。 実行。 ええい、だめか忌々しい。

 しようがない。せめて、キング級増し増しでフィルターを設定して、転送……。 いけるかな? えい。ぽちっとな…… おお通った。よーし。よしよし。俺の時代が来たぁ。
 喜ぶコバルト君。のりのりで踊っている。


 ネット徘徊中の俺は、エゴサじゃない情報検索中。
 今回登場してきたモンスターで、強さが跳ね上がったという書き込みが増えているのに気がついた。

 ? いつもの自衛隊警察云々じゃなく、アメリカでダンジョンアタック中のチーム一つが壊滅と速報が出ていた。
 アメリカでは、ダンジョンでモンスターを倒すと身体能力が増すことがわかり、軍の正式トレーニングとしてダンジョンアタックをしていたようだが、途中で空間震が起こりモンスターの種類と強さが跳ね上がったようだ。
 
 7mmじゃだめだと情報が上がってきていた。

 7mmってどのくらいなんだ? 銃に詳しくないからわからん。えーと正式には7.62x51mm NATO弾で小火器用の標準弾薬ね。へー有名なM16は5.56x45mm NATO弾を使用ということはもっと小さいんだ……うん? 7mmじゃだめ? 何が出てきたんだ?

 でっかい、トカゲが火を吹いているとか、新型の角付が強力、隊長機だとか書き込みがあるな。隊長機ってなんだよ……角の生えた鬼か、隊長機は角1つ2本ならレ○バー……いやもう隊長機はいいよ、なにかのヲタがコメントに混ざってきているな。


 家で、ガスコンロに火をつけようとしたら、ガスコンロのつまみを燃やした……? ああガスコンロを燃やしたかったのか、なら良いじゃないか。
 火をつけようと意識したら手から火が出て、つまんでいたガスコンロのつまみを燃やしてしまったようだ。


 水を飲もうと思ったら、顔の上に水が降ってきて溺れかかった…… 美容院のシャンプー状態で水を飲もうとしたのか?変わっているなあ。
 グラスに水を入れ、飲もうとグラスを口元に持っていくと、顔の前に水の塊が作られた。

 家事発生多数……?ああ火事の誤字か。えーと突然、子どもたちが家の中で魔法を使い火事になる事案が発生。政府が魔法についてのコメントを11時から予定している…… ああそうか15%を超えたから魔法が使えるようになったんだ。

 子どもたちのゴッコで、ホントの魔法を撃ち合いか。楽しそう、じゃないな。先生は大変だ。

 早急に、魔法の授業と法整備か大変だね。

 ペタペタと、ダンジョンから出ると、突然サイレンの音が聞こえ始めた。おお外は大騒ぎじゃないか。ベランダに出て外を眺めると、本当にいたるところで火の手が上がっていた。
 これほとんど、自分か子供の放火か…… 笑い事じゃないな。

 と、眺めていたが、背中側に熱気を感じる……うちの図体がでかい子供がなにかしていると振り返ると、両手に火の玉を出して、見てみてと言わんばかりに得意満面な美月が立っていた。

「なあ、外のサイレンと、立ち昇っている多数の煙が見えるだろう。あれ全部、お前みたいな奴が家の中で魔法使って燃やしたんだってさ……お馬鹿だと思わないか……」

「そっ、そうだね、家の中で火の魔法はだめだよね」
 とダラダラと汗を流している。
「どうした暑いのか?」

「そっ、そうね、少し……」
「気温は、15度か……」
「御飯食べる?」
「ああそうだな」

 と、美月に釘を差して中に入ったが、魔法が使えるんだなとつい意識してしまった。手のひらに火の玉が出た。それもかなりでかいのが…… 鳴り響く火災報知器……

 あっ…… 無言で椅子に乗り、火災報知器を止める……。

 すごく嬉しそうな顔をしてニマニマしながらこっちを見ている、美月。

「……まあなんだな、魔法の制御って難しいな」
 
 

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