上 下
17 / 167
第1章 始まりと魔法世界への準備

第17話 社長就任(社員は自分だけ)

しおりを挟む
 あれよあれよという間に話は進み。
 手続きが終わってしまった。

 まあ、個人事業主でお願いしたのだけど。
 収入が多いと法人の方がお得ということで、美月の雇い主。井守つぐみさんが、張り切ってしまった。

 1千万円を超えると、消費税とかが必要になるということで、500万の資本金で行きましょうと決定して、魔石を売りに走ったり、登記がとか定款がとか役員がとか言われて振り回されたり、気が付けば代表取締役と社長兼任となった。

 まあ全部できるまでには、2週間ほど最低でもかかるようだが、その辺りは任せて名刺を作り高梨さんに渡した。
 逆に駆除費用については揉めているらしく、ごめんなさいと松沼家の方々に言っておいてくれと言われた。

 そうそう、社名は『株式会社 特別指定外来種対策会社』なんのひねりもないが、社名でなんの会社かわかるから良いんだ。と言うことだ。特に新業種だからね。
 でも略称考えないと、電話での応対がめんどうくさそうだ。


 ついでに高梨さんから魔石の利用方法について、なにかいい案無いかなとも相談されて困っている。
 今は駆除個体の数をカウントするためだけに買い取っている状況だけど、魔石が売れれば予算が逼迫しなくなる。
 これは君のせいでもあると言われた。

 官民で協力しろよと言いたい……。
 ああ官民か俺も中に入るなしようがない。
 うちの相談役のフレイヤ先生に相談しよう。

「にゃ?」

 慌てて抱えダンジョンへ移動。
 改めて、
〈魔石って何かに使えない?〉
〈食べれば体が大きくなる〉
〈そうだね、他には?〉

〈魔力の塊だから、握り込んで魔石の魔力を使うように意識して魔法を使えば大きい魔法が使える〉
〈うーんもうちょっと〉
〈前に言ったことを覚えているか不安だけど、向こうの世界ではすべての物が魔素で構築されているって言ったよね。だから大気中の濃度が薄くて魔法は使えないけど、魔石は濃度が100%近い、ということは、念じれば何でもできるし、なんにでも変化するということなのよ〉

〈へっ?〉
〈たとえば、魔石一個頂戴〉
〈ああ、ほれ〉
〈この魔石に、燃えろと命令すると燃える。もう一個〉
〈水になれ。もう一個〉
〈うーんと。尻尾になれ〉
 うにょうにょとしたトカゲのしっぽが出来上がる。魔石一個だから短いけど……

〈どう?便利でしょ。何かに使えるかと聞かれたけど、なんにでも使える。もう一個頂戴〉
〈ほい〉
 突然かじりだす、フレイヤ先生
〈何しているんだよ?〉
〈食べれば、私たちの栄養? にもなる。便利でしょ〉

〈ああ分かった、なにに使えるという問いが、そもそも間違いなんだな〉
〈そうそう、教えたからもう一個〉
〈わかったよ〉
 10個ほどご褒美にあげた。

〈太っ腹〉
〈どこで覚えるんだ、そんな言葉〉
〈にゃ、当然美月〉
〈そうだよな、ありがとう〉

 ダンジョンを出て、ふと思いつき井守先生に電話をする。

「あっ先生ですか?私神崎ですが。先生特許法とか詳しいですか?…… 行けます? ならちょっと申請したのですが良いですかね。はい、詳細は魔石っていうモンスターが落とす物があるんですが…… はいはい…… そうです…… それの利用に関して、変化そのものを特許として出したいのですけど…… 発見はだめ?…… はい…… えっ論文ですか? …… はいはいはい。じゃあそれでお願いします。明日伺います。それじゃあお願いします」

 翌日から会社名義で論文を作成しネ○チャーにWEB投稿した。よっしゃ、通ればインパクトファクター50だ。ただ研究機関じゃないから意味ないけどね。
 特許は魔石を使った道具でも作った時にとなった。逆に作らないと商売にならないとも言われた。ただ会社の宣伝的には大きいから、採算は取れるだろうと井守先生のお言葉だ。

一気にグローバル企業だ。今は、単なるモンスターの駆除会社だけどね。

 そうだ、高梨さんにも電話しよう。

 電話して、内容を説明した。返答は、そんな簡単なことで……だった。

 2~3日後論文を査読した研究機関から、バンバン英語のメールがやってきだした。レスポンスは良いけど専門用語ばかりで読めない。ところがそこで美月が役に立った。

 プラプラしながら、ダンジョンをつぶし、たまに会社からくる仕事をこなす。すると高梨さんから、燃料として火力発電所に納入できると返事が来た。何で直接電気に変換しないか聞くと一気に変換されるのでコントロールが難しいとの回答が来た。

 燃料なら、燃えろと念じながら火に投じれば使えるらしい。

 そうしながら3か月。気が付けば、会社名と全然関係ない仕事をしていた。いや、儲けているから良いのだけどね。

 そうしたある日フレイヤ先生が大気中の魔素濃度がもう少しで10%になるねと言っていた。もう少し15%になればいよいよ普通に生活レベルの魔法が使えるようになるらしい。

 ネット上にはダンジョン内限定ではあるが、いろんな魔法が使えると書き込みが上がっている。

 それに応じて俺のように身体能力が上がったとの報告もある。このまま最適化が進めば、人間は向こうのモンスターより強力な力を得ることができると、フレイヤ先生は仰っている。

 いま、家のダンジョンでは、フレイヤ先生に魔法を教えてもらっている。報酬は時間当たり魔石6個。地球で一般的に知られている物理現象が魔法で再現できることが分かった。個人で核爆弾も作れる自信ができた。最近は魔石に属性を付与してラノベで有名な魔道具も作れるようになった。個人用バリアは便利だ。

 それに発表した論文により再生医療も活発化している。小さな欠損なら外でも大丈夫で大きなものはダンジョン内なら形を保つことができるようだ。外に出ると崩れるため魔石を握りこんでいればある程度は維持できると追試論文が出ていた。

 このままいけば、侵略を考えた奴らの思惑を超えて。地球は愉快なことになりそうだ。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

薄幸召喚士令嬢もふもふの霊獣の未来予知で破滅フラグをへし折ります

盛平
ファンタジー
 レティシアは薄幸な少女だった。亡くなった母の再婚相手に辛く当たられ、使用人のように働かされていた。そんなレティシアにも幸せになれるかもしれないチャンスがおとずれた。亡くなった母の遺言で、十八歳になったら召喚の儀式をするようにといわれていたのだ。レティシアが召喚の儀式をすると、可愛いシマリスの霊獣があらわれた。これから幸せがおとずれると思っていた矢先、レティシアはハンサムな王子からプロポーズされた。だがこれは、レティシアの契約霊獣の力を手に入れるための結婚だった。レティシアは冷血王子の策略により、無惨に殺される運命にあった。レティシアは霊獣の力で、未来の夢を視ていたのだ。最悪の未来を変えるため、レティシアは剣を取り戦う道を選んだ。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

処理中です...