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第三章 大陸統一

第46話 言い訳をさせない

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「全く今代の王は、気概が欠けているのがいかん。まあ平和な世ならそれでも良いが」
「全く全く、私らが手柄を立て、自国の強さを王に教えねば」
 集まった文句言いの貴族達。

 そう自分たちは王を動かしたと喜んでいるが、何も考えずに文句ばかりの貴族一掃計画の中へ水から足を踏み込んだ者達。

 こういう人間達は基本周りを見ず、行き当たりばったりで行動をする。
 そして、揃って自信家だ。

 自分がこう思ったから正しい、物事はそちらへと動くはずだと。

 そして、インセプトラ―王国とサンドウ皇国の国境では、とりあえず柵を立てていた。

 塹壕を掘り、王国側から見ると、誰も居ないように見えるが彼らは走り回っていた。

 国境の橋。
 塹壕を掘ったから必要になったものだが、馬避けでもある。
 この橋以外は、馬は渡れない。
 きちんと、『他国の兵、無断でこのはし渡るべからず』と立て札が立っている。

「これって、真ん中を通れば良いんだろ」
「ああ、いいぜ。どこを通っても撃つから」
 現実は、昔話と違って、怖いようだ。

 この一週間、杭を立て壁を作る。
 だけどまあ、そんなに距離は作れない。

「これを考えると、万里の長城ってすごいなぁ」
「そう思うけど、今じゃあ、石とか売っているし、道を作るため壊しているみたいだぜ」
「へー」
 無駄話をしながら作業をしていると、声が聞こえる。
「なんか来たぞぉ」
 物見からの警告。
 無線では無く、ロープに結んだ木の板が叩かれる。

 それは揺れを増し、カランカランと遠くまで伝わっていく。
 要するに鳴子だ。
 風でもなるが、人為的だと鳴り方が違う。

 そういえば、望遠鏡も作ったよ。
 この世界おおらかだし、農民とか外で結構……

「どのくらいだ?」
「多いぞ、万くらいじゃないか?」
「そうか、万の行軍だな」

 それも伝えられるが、伝言ゲームのように伝わると、意図的な改ざんが起こる。
「途中で代えたのは福山辺りだろ。敵襲だ、一万くらい」

 ここは砦、周りが準備を始める。

『マ○コと、く○で…… いける』
「よくこんなメモで判ったな」
「なんとなく」

 現在の無線機は、チーム単位で周波数を固定しているから意外と使いにくい。情報共有なら一気に命令できるから良いんだけどね。

 まあ戦闘になれば、便利。

「止まれ、この先はサンドウ皇国だ、他国の軍が何ようだ?」
「貴国の皇王様からの依頼である。国を返してもらおう」
 それを聞いて、中川たちは演技を始める。

「皇王様なら皇都におられるが、その依頼をしたお方、よもや偽物では? その甘言に騙され、他国に踏み入れると大変なことになりますまいか?」
 それを聞いてニヤニヤが止まる。

「それは…… そんな事はないはず」
「どなたか、直接お会いになった方は?」
 ざわざわと、困惑が広がる。

「そなた達は、サンドウ皇国兵なのか?」
「ええ、正規軍です」
 きっぱりと言い切る。

「「「おおうっ」」」
「話がおかしいでは無いか、誰ぞ」

「まあ卿よ、あわてるでない。わしは知っておるぞ、その出で立ち、クラスとか、シュウガクリョコウの関係者であろう」
「ギクッ」
 口でギクッというのは、様式美らしい。

「ぬわぜ、それをぉ、しまったぁ。てっしゅう。バレたぞ攻撃準備」
 そんな事を叫びながら走っていく。
 まあ予定通りに、実行中。

 途中のお遊びはご愛敬。
 まあいつもの事だ。

「ふん、ふざけおってぇ。許さん皆殺しだぁ」
 なんか伯爵は、真っ赤な顔をしてぷるぷるしている。
 もう少しで、血管が切れて戦争前に死にそうだ。

 あわてて馬に乗ると、塹壕に掛かる橋へと移動。
 だがこの橋は、レギュレーター。
 つまりドわーっと雪崩れ込んでこないように、調整弁になっている。
 遠回りをすれば、塹壕は無いが、自然豊かな山となる。
 馬に乗っては移動できない。

 街道と、その両脇。
 両脇には、リモートの対人地雷群。
 エリア分けは、色のついた石が目印。

 街道には何もないが、まさに何にも無いから撃たれ放題。
 前が死ねば、本当に屍を踏み越えていかねばならない。
 それが嫌なら、地雷群へどうぞという鬼畜の仕様。

 まあ、途中で面倒になり、インセプトラ―王国側でまって居る奴らも撃ってしまったからあまり使わなかった。
 あの辛く厳しい作業は一体と言っていたが、大塚達は雇った女の子といちゃつきながら、作業をしていたことを知っている。

 そう、彼女達、貞操観念が低いというか、ご飯の優先順位が高い。
 そして俺達は、お金持ち。
 玉の輿お願いします、状態でやって来る。

 俺達実は、モテモテなのだ。
 そしてなんと、現地で妻を迎えたら、ハーレム上等。
 あっそう、手数が増えれば便利ね状態。

 だが、向こうから引き続き付き合っている奴は……
「あん? 妾? 許すわけ無いじゃん。それなら私も、他の男とするわよ。福山君とか良いよね」
「やめてくれ、あいつだけは」

 知り合いと彼女が浮気とか最悪だし、あいつらは、なんかすごいらしくて、ネトラレ属性持ちが彼女を抱いて貰ったらしい。
 すると、その子は事後、福山の取り巻きになって、二度と帰ってこなかったらしい。

「取られたかったわけじゃ無いんだ、他の男に抱かれている彼女が見たかっただけなのに……」
 そう言って泣いていた。

「さてと、面倒だから、インセプトラ―王国の王様にもナシ付けにいこうぜ」
 そう言って準備をする。

 そうして、走り出した彼らは、どこぞの参勤交代よりも早かった。

「なぁにぃ、彼らが王に会いにいつだ?」
「今朝です」
 サンカウロスの町を彼らが通るとき、一応ギルド長には挨拶をした。
 そう、牙の抜けた男マルーセル=レドレル。
「こんちゃ、おひさです、またね」
 そんな感じで挨拶された。

「どこへ行くんだ?」
「さあ、王を倒しに?」
 王とお話し合いにいくという言葉が、たった数日で殺しに行くと変わってしまった。

「今回の出兵のこと、彼らに説明をする暇も無いとは、王へ書状を」
 代官並びに、侯爵へ話が通じる度に驚きうろたえ、書状の送付という流れを繰り返す。

 そして王国の街道を、黄昏時、赤い光の中を驚異的な速度で移動する者達は、刻一刻と王都へ近付いていく。

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