上 下
39 / 44
番外編 絶海と柳の話

眠れるうちの美丈夫 視点 桜川朱莉

しおりを挟む
 ハロウィーンが過ぎ、街がクリスマスに染まりつつある。ヒロさん曰く、後一週間もすれば通りはイルミネーションに包まれるらしい。東京は目まぐるしく景色をかえる、そこにかかる費用を考えて私はすこし気が遠くなった。
 そんな十一月の始めのことだ。
 私は冬休み前の試験に向けて、リビングで復習に根をつめていた。絶海ぜっかいさんの淹れてくれたココアを飲みながら、苦手な古文に取り組んでいると、ガンと絶海さんの部屋から大きな音がした。
 時刻は夜十時をまわっている。絶海さんが部屋に戻ったのは一時間も前だし、きっと今は寝ているはずだ。でも、とても大きな音だった。
 もしかして……ベッドから落ちたのだろうか。

「もしそうなら、風邪ひいちゃうわ……」

 私はすこし心配になり、様子を見にいくことにした。廊下は冬の空気が一杯で、寒くてピンとはりつめていた。私はカーディガンの前を合わせ、早足で絶海さんの部屋に向かった。

「絶海さん、今の音なあに?」

 呼び掛けても、ノックをしても返事がない。いよいよこれは危ないと扉を開けると、ベッドから上半身が落ちている絶海さんがいた。色鮮やかな彼の背中の鯉がよく見える。
 脚だけはかろうじてベッドの上に残っているが、その状態で眠り続けられるのは彼ぐらいだろう。

「絶海さん、ベッドに戻って。パジャマも着ないで、布団もかけないなんて……寒くないの? ねえったら……」

 絶海さんの背中をたたきながら話しかけるが、その寝息は深い。起きるつもりはなさそうだ。でも、さすがにこのままでは腰を痛めるだろうし風邪もひくだろう。
 私一人でもその巨体は持ち上げられずともベッドの上には戻すぐらいはだろうと、彼の腕を肩にかける。それから彼の腰をつかんで立ち上がろうとした。

「えっ……キャア!」

 ベッドの上に戻すつもりだったのに、絶海さんはベッドから完全に落ちてしまった。しかも、私を下敷きにして彼は床に転がる。

「重いわ! 起きて!」

 彼は小さく唸ると、私の上から転がり落ちてはくれたが、その両腕でまるで私を抱き枕のように抱きかかえてしまった。怪力の持ち主である絶海さんに腰をガッチリとホールドされてしまった私は、立ち上がることも抜け出すこともかなわなかった。
 彼は私の肩に頭をつけて、スヤスヤと眠っている。その頭を撫でても彼はウニウニとなにか寝言を呟くだけで、起きる気配はない。こうなってしまった彼は、叩いても、叫んでも少なくとも朝までは起きないだろう。ヒロさんに助けを求めようにも携帯はリビングだ。

「……もうー……試験勉強あるのにー……」

 しかしこうなってはもうどうにもならない。腕を伸ばしてベッドから落ちかけていた掛け布団をつかみ、私たちにかける。床で寝るなんて、ちょっとしたキャンプみたいだ。
 だから怒らないことにした。彼のこの眠りは、多分、彼の意思ではどうにもならないものだ。病気なのかもしれないし体質なのかもしれないけど、彼のせいではない。だから彼の頭を撫でる。

「おやすみ、絶海さん。良い夢を見てね」

 目を閉じて、彼の寝息に合わせて呼吸をして、彼の穏やかな心拍を聞いていたら、私もすぐに眠ってしまった。



 ……夢を見ている。
 そうわかるのは明晰夢めいせきむというものらしい。私の場合はこういうときは、夢ではなく過去の記憶であることが多い。また絶海さんのことを思い出すのかなと考えながら辺りを見渡す。
 見覚えのない場所に私は立っていた。
 そこは幼稚園のようだ。背の低い長机に背の低い椅子が並ぶ。子ども用であろうその机に、だれかが腰かけていた。真白の髪に、すこし丸くなった背中だけど老人ではないだろう。体格からして私よりすこし年上ぐらいの男性らしい。
 子ども用だろうとしても机に腰かけるなんて不良だと考えていたら、その人が振り返った。
 彼の白い髪は目深に伸ばされ、そこから覗く瞳は透き通る青い色をしていた。どこか幼さを残した顔立ちをしているから年は二十代だろう。その髪は生まれつきのものなのか若白髪なのか私には判断がつかなかった。
 彼は、覚えのない人だ。彼もそうらしく、私を見て不思議そうに首をかしげた。その仕草はすこし、絶海さんに似ていた。

「きみ、だれかな?」
「あなたもだれ?」
「僕は、……久遠くおん
「私は朱莉あかりよ」

 彼はおっとりとした口調で話した。そんな大人の男の人に、やはり私は覚えがなかった。彼もやはりそうらしく「知らない名前だ」と呟いた。

「きみはどこから来たんだろう。ここは僕の走馬灯そうまとうのはずなのだけど……」
「走馬灯? あなた、死にそうなの?」
「いや……僕はもう死んでいるはずだ。ウウン、そうなると僕は幽霊なのかな? きみは?」
「私は死んでないと思うわ。それにこれは私の夢なんじゃないかしら?」
「夢? ……そうだね。僕はまた夢を見ているのかも」

 彼はにこりと笑った。
 たしかに笑っているのに、その目はどこか冷たい。爬虫類はちゅうるいみたいだ。すこし背中が寒くなるような目は、父のものを思い出させた。
 そんな彼は、ゆっくりと立ち上がった。見上げるほど大きいその人は、ゆっくりと私の前に歩いてきた。

「きみ、……」

 彼は、手の甲で私の頬に触れた。

「少し、絶海に似ている」
「……絶海? 五言時ごごんじ 絶海のこと?」

 他にこんないかつい名前の人いなきだろうと思いながらそう聞くと、彼は目を丸くした。

「ウン、……知り合いなの?」
「知り合いというか叔父おじよ」
「叔父? ……ということは、きみは一二三ひふみくんの娘なのかな」
「一二三?」
「五言時 一二三。絶海の弟だよ。あの子には苦労ばかりさせられた」
「そう。……あの人、そんな名前なの。知らなかったわ……私、あの人に育てられていないの。二歳までは、絶海さんが私の育てのお父さんらしいわ」
「へえ、フフ、絶海にこんなかわいい娘ができたってこと? フフ、おかしいの」

 私が肩をすくめると彼はクスクス笑った。その笑い方も、すこし絶海さんに似ていた。彼はまた机に座ると、私を隣にうながした。

「机に座るなんて不良だわ」
「ヤクザだよ、僕は」
「あら。私はヤクザじゃないわ。絶海さんももう、ヤクザじゃないのよ?」
 
 彼は目を丸くした。そのことに私は驚いた。

「……絶海がヤクザじゃない?」
「元組長くみちょうだけど、今はもう堅気かたぎって言ってたわ。前科もないんですって、言い訳してたわ。ちょっと寝すぎること以外はとっても元気なおじさんよ」
「……ソウ、……そっか……」

 彼は口元に手をあててしばらく黙った後、「アハッ……アハハッ」と笑いだした。

「そっか、フハ、絶海は組長になったんだ、……それで堅気になったのか……アハハッ……しかも、そんな、子育てなんて……アッハッハッ……」
「なにがおかしいの?」
「おかしいよ、ウン、それはおかしい。だって、そんなのハッピーエンドじゃないか! そんなの……そんな風に、なれるなんて……」

 彼は笑っていた。
 だけど、その目からは涙が落ちていた。彼は泣いていた。その笑い声は嗚咽になり、その目からはボタボタと大粒の涙が落ちる。とても苦しそうに、彼は泣いた。
 彼の前に立ち、その頬に触れる。

「泣かないで……どうして泣くの?」
「……僕、……本当は怖かったんだ……」
「怖い?」
「……絶海が、死んでたらどうしようって……僕が死んだせいで、絶海も死んだら、……イヤだったんだ。でも、……そっか……いいことを聞いたなあ……」

 彼は私の手にその手を重ねた。

「ありがとう、教えてくれて」
「……どういたしまして?」
「ねえ、朱莉ちゃん、……夢から覚めたら絶海に伝えてほしいことがある」
「なあに?」

 彼はその空色の瞳で私を見上げた。



 ……目を開ける。
 カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。光の具合からして七時ぐらいだろう。私は、寝る前と変わらず私にしがみついている絶海さんの頬をペタペタと叩いた。

「ンン……」
「朝よ、起きて。そろそろ離してくれないと困るわ」
「……ウウン、……朱莉か?」

 絶海さんが目を開けた。まだ半分夢の中にいる瞳をしていたが、私から手を離してくれた。だから私は起き上がる。腰がピキリと痛んだ。

「床で寝たから腰が痛いー、絶海さん、二度寝しないの。起きて!」
「ウウウ……」
「唸っても駄目!」

 布団に潜り込もうとするので、掛け布団を奪うと、彼は渋々目を開けて、上体を起こした。そして不思議そうにまわりを見渡す。

「……なぜ私は床で寝ているんだ?」
「それだけじゃないわ。寝ぼけて私を抱き枕にしちゃったのよ? おかげで私も一晩床で寝ることになったんだから」
「それは……すまなかったな」
「良いわ。一緒に朝御飯食べてくれたら許してあげる。ほら、起きて」

 彼の手首をつかんで引っ張ると、彼はゆっくりと立ち上がった。それから億劫そうに前髪をかきあげると「シャワー浴びてくる」といつもの言葉。気にしなくて良いのに、彼は律儀な人だ。

「いいけど、すぐ浴びてきてね。早くしてくれないと私、久遠さんからの伝言忘れちゃいそうだから」
「ウン? ……え?」

 思った通り、絶海さんは目を丸くした。
 絶海さんのベッドメイキングをしながら「夢で会ったの」と言えば、絶海さんはやっぱり私の肩をつかんだ。その顔は真剣そのものだった。

「だれから聞いたが知らないが、そんな冗談はやめろ。言って良いことと悪いことがある」
「……冗談じゃないわ」
「私は、……私にとって、彼はとても大事な友人なんだ。気軽に死人を語るな……」

 絶海さんは珍しく怒っているようだった。同時にとても混乱しているようにも見えた。そして、困っているようでもあった。

「そう、……やっぱり亡くなってるのね」

 目を閉じて、夢の中の彼の言葉を思い返す。

「朱莉、いいか」
「『絶海は僕より鈍間なんだから、死に急ぐなよ』」
「……ハ?」

 目を開けると、絶海さんが口を戦慄かせていた。彼の手に自分の手を重ねると、彼は私の肩を強く握り直した。

「『死んじゃったことについては謝んなきゃいけない気もするけど、絶海もたくさん僕にひどいことしたんだからチャラだよね』とも言ってたわ……ええと、それから……」
「な、にを……」
「『死んだらたくさん僕と喧嘩しよう。そう約束してくれたら、絶海が生きている間は我慢できるようにしてあげる。幽霊だからね、僕は、大体なんでもできるさ』……だったかしら……意味、わかる?」

 ヒュ、と絶海さんが息を飲んだ。

「本当に夢で会ったの。髪が白くて、目が青い人。……こんな嘘はつかないわ。私、あなたを泣かさないって約束したでしょう?」

 絶海さんは私を咎めることはなく、私を抱き締めた。
 いつものハグと違って、それにはすがりつくような痛みがあった。だから私は首を腕を回し、その頭を撫でた。彼の首からは生きている人の匂いがする。

「……ごはん食べよう、絶海さん」

 彼はしばらく黙ったあと、「ウン」と言った。だけど彼は私を離すことなく、抱き締めていた。
 肌寒い十一月の朝だった。
 この日から絶海さんは眠り続ける症状は、ピタリと出なくなった。何度か理由を聞いたけれど、絶海さんは笑うだけで答えてくれなかった。そうして、私が『彼』の夢を見ることは二度となかった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺様ヤクザと空手女子

ばくだん
恋愛
私、狼王子こと『狼谷美那』高校1年生 空手部のエースをやっています 昔から正義感は強く喧嘩っ早い性格で 男子に絡まれてる女子を救ったり していたら、いつのまにか 『狼王子』という謎の噂がたった 女子なのに!と内心思いながらも 女の子に好かれるのは悪くない そんな高校1年生半ば、事件が起こった

Bグループの少年

櫻井春輝
青春
 クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?

【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
魔族の幼子ルンは、突然両親と引き離されてしまった。掴まった先で暴行され、殺されかけたところを救われる。圧倒的な強さを持つが、見た目の恐ろしい竜王は保護した子の両親を探す。その先にある不幸な現実を受け入れ、幼子は竜王の養子となった。が、子育て経験のない竜王は混乱しまくり。日常が騒動続きで、配下を含めて大騒ぎが始まる。幼子は魔族としか分からなかったが、実は将来の魔王で?! 異種族同士の親子が紡ぐ絆の物語――ハッピーエンド確定。 #日常系、ほのぼの、ハッピーエンド 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/08/13……完結 2024/07/02……エブリスタ、ファンタジー1位 2024/07/02……アルファポリス、女性向けHOT 63位 2024/07/01……連載開始

ヤクザとJK?!

あさみ
キャラ文芸
とある放課後、下校中に怪我をしているお兄さんを見つけ、助けたが何か急いでいる様で走っていった、数日後に親戚の結婚祝いに出席するとそのお兄さんと男の人が沢山居たのではなしかけると・・・?

婚約も結婚も計画的に。

cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。 忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。 原因はスピカという一人の女学生。 少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。 「あ、もういい。無理だわ」 ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。 ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。 ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。 「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。 もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。 そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。 ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。 しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。 ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~) ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
 ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。  チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。  なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!  こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。  ※注:すべてわかった上で自重してません。

今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!

ユウ
恋愛
三年前、夫の願いにより義両親との同居を求められた私はは悩みながらも同意した。 苦労すると周りから止められながらも受け入れたけれど、待っていたのは我慢を強いられる日々だった。 それでもなんとななれ始めたのだが、 目下の悩みは子供がなかなか授からない事だった。 そんなある日、義姉が里帰りをするようになり、生活は一変した。 義姉は子供を私に預け、育児を丸投げをするようになった。 仕事と家事と育児すべてをこなすのが困難になった夫に助けを求めるも。 「子供一人ぐらい楽勝だろ」 夫はリサに残酷な事を言葉を投げ。 「家族なんだから助けてあげないと」 「家族なんだから助けあうべきだ」 夫のみならず、義両親までもリサの味方をすることなく行動はエスカレートする。 「仕事を少し休んでくれる?娘が旅行にいきたいそうだから」 「あの子は大変なんだ」 「母親ならできて当然よ」 シンパシー家は私が黙っていることをいいことに育児をすべて丸投げさせ、義姉を大事にするあまり家族の団欒から外され、我慢できなくなり夫と口論となる。 その末に。 「母性がなさすぎるよ!家族なんだから協力すべきだろ」 この言葉でもう無理だと思った私は決断をした。

【完結】友人と言うけれど・・・

つくも茄子
恋愛
ソーニャ・ブルクハルト伯爵令嬢には婚約者がいる。 王命での婚約。 クルト・メイナード公爵子息が。 最近、寄子貴族の男爵令嬢と懇意な様子。 一時の事として放っておくか、それとも・・・。悩ましいところ。 それというのも第一王女が婚礼式の当日に駆け落ちしていたため王侯貴族はピリピリしていたのだ。 なにしろ、王女は複数の男性と駆け落ちして王家の信頼は地の底状態。 これは自分にも当てはまる? 王女の結婚相手は「婚約破棄すれば?」と発破をかけてくるし。 そもそも、王女の結婚も王命だったのでは? それも王女が一目惚れしたというバカな理由で。 水面下で動く貴族達。 王家の影も動いているし・・・。 さてどうするべきか。 悩ましい伯爵令嬢は慎重に動く。

処理中です...