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時間通りの訪問者

時間通りの訪問者

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 カラン、と執務室のベルが鳴った。こちらのベルが鳴るのは少々訳ありなお客様。そう決まっている。
「しかしマナーのなったお客様ですね」
 開館前や開館後にベルが鳴るのは何も珍しいことではない。それが今日は開館後、おまけにお客様も少ない平日ときた。
「これは手厚くお迎えせねばいけません」
 普段の仕事に手を抜いているつもりは毛頭ないが、紫野はそう口にするとさっと身なりを整える。ああそうだ、丁度あの子も誰かに会いたいような仕草をしていた。
「これも巡り合わせでしょうか」
 重い木製の扉が、パタンと閉まった。
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