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第十伍局【師団名人戦編②】
6巡目◉必勝法
しおりを挟む1回戦でシオリに突き抜けられたのでこれをどうするかミサトは考えていた。
(総合2着までになれば通過するわけだけど、どんな作戦で行こうかしら…… とりあえず現状私は2着ではある。攻めるしかない3着4着を叩くか? いや、2着目に放銃ならよしとするトップ目を狙う手もあるな。まあ、なんにせよ。弱気じゃダメだ。白山詩織を捲るつもりで行こう)
シオリはゲーム回しに長けている展開勝ちするタイプの打ち手である。展開コントロールを得意とする打ち手にとって総合2着までが勝ち抜きの2回戦方式ゲームで1回戦にリードしているなんてのは完全なる勝ちパターン。それはミサトも理解していたし豊田プロも女王シオリを研究していないはずはなく、豊田はどうやって2着に選んでもらおうかと考えていた。シオリは1回戦でダントツになったし、捲る必要のないゲームならそこは2着でいいはずだ。
しかし、だからこそこのゲームでミサトはトップ通過を目指した。その読み違いがシオリの足元を掬って強烈な右ストレートが一発決まるのではないかと考えた、イメージとしてはそういう作戦だ。
そして、もう1人トップ通過を目指した奴がいた。
新田忍だ。
なんでとか、1位通過狙いは無意味とか、どうでもいい。新田はただ勝ちたかった。歴史あるこの師団名人戦の準決勝に来たこと。それが新田の魂を燃え上がらせていた。まして1回戦はラスだ。もうどうせトップを取るしかない。どうせなら強烈なトップで1位通過してやる。そのくらいの気概でいた。細かいことは考えない。勝つ! ただそれだけ。
この2人のトップ狙いが計算女王と言われる白山シオリの読みを大きく狂わせることになるのだった。そう、勝負とは相手の注文に乗らないのが一番の必勝法。その事をシオリはこのゲームで学ぶことになる。
準決勝A卓2回戦——間もなく開始!!
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