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第十伍局【師団名人戦編②】
1巡目◉学び合うことの大切さ
しおりを挟むその夜、麻雀部の少女たちは喫茶『グリーン』のアイスコーヒーを片手に『緑一荘』へと集まって先日行われた師団名人戦本戦の感想戦を行っていた。
「ミサトのリーチ。あの場面から観てたんだけど。あれ、珍しいわよね。ああ言うのをやるのって」
「らしくないと思った? 私もね、あの瞬間は自分にヒロコが憑依したかと思ったわ」
「あーあー、たしかに! ヒロコならやりそうよね! 大胆不敵な戦略だと思う」
「そう言うカオリだって面白い鳴きしてたじゃない。私見たわよ。ドラ7の場面で4をリャンメンチーしてたの。あれはカオリの麻雀じゃないわよね」
アンはそれを聞いてハッとする。
「あ! そうそう、あれね。あれはそう、アンちゃんの仕掛けよ。対応型の相手だったからやってやれ! って思ってね」
「カオリさん…! やっぱり。 私の麻雀を使ってくれたんだ…」
「まぁね。今ここ! って感じの場面だったから」
「相手、見事にオリてたわよ。おおかたドラが固まってるっていう幻覚が見えてたんでしょうね」
「大成功」
「私たちは1人じゃないからね。みんなの麻雀を連れて行く——」
「そうよ、私たちの研究の成果をプロ最高峰の舞台へと連れて行くの! 今回敗れたみんなも、私たちが勝って証明するわ。私たち麻雀部は学び合うことで誰よりも強くなる! きっと見せつけてくるからね。私たち、つまりあなたたちこそ最先端で最高峰であると!!」
「…カオリ先輩!」
「おーい、燃えてるとこ悪いけど。何人か牌譜添削の仕事手伝ってよぉ」
ユウの牌譜添削屋はこの頃注文が多くなってきていた。
実際に牌を使う麻雀教室にファックスやパソコンからのやりとりをする牌譜添削屋にと緑一荘は盛況していた。この上、もうじき創刊号が発売される『月刊マージャン部』でも特集を組んでいるので注目されるのは間違いない。
プロの財前姉妹やミサト
職人のユウやアン
それらをサポートするジュンコたち。
全てが順風満帆で全速前進。そんな勢いのある少女たちがここに集結しているとはまだ一部の麻雀ファンしか知らない。
次世代の麻雀界を動かす才能が次々と周囲に影響を与えながら、ここ水戸に集まりつつあった。
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