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第十四局【師団名人戦編①】

9巡目◉高打点打法

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 後半戦の南1局。親のカオリに満貫クラスになりそうな配牌が来ていた。

カオリ手牌 切り番
②③④④④334677888 ドラ1

(広いのは3でしょ。それは一目で分かるけどコレはチャンス手だ。メンピン2900の可能性がある手順は持ち点的にも追いたくない。だとしたら…… 枚数は減らしても高得点だけに焦点を当てた選択は…。考えろ、一撃高打点打法のミサトだったらここで何を選ぶか。考えろ)

打6

(これで三暗刻の手順が生きるから①にも価値が生まれたでしょ。引いてきて最悪って牌は6だけだからロスらしいロスも少ないし。もっと言えばドラが1だから334は厚く持ってテンパイ前に埋まりやすくしたいのもあるし、これが多分一番の高打点打法)

 すると、7.7と序盤に対面と下家に出されてしまう。
(鳴きはしません! そんなならメンピン2900の手順作ってた方がましよ。まだ3巡目なんだから焦ったらだめ)

 耐えたカオリの次のツモはまるでご褒美のようだった。

ツモ3

「リーチ」


数巡後

「むーーー…」
 アマチュアの嶋田氏が考え込む。悩んだ末に出された牌は…

打①

「ロン」

②③④④④33377888 ①ロン

「9600」

 この一撃で回復したカオリは調子よく次局も七対子の3200は3300オールをツモアガリしてトップに踊り出た。そのリードを失うことなくちょくちょく加点しながらオーラスまで行き、取った配牌がとんでもなく良かった。

オーラス

南家
カオリ手牌
三四伍六七③④④⑧⑧567 ドラ⑧

 完成寸前の配牌だ。おまけにドラまで2枚ある。

点棒状況は

東家 橘23800点
南家 カオリ49200点
西家 嶋田17000点
北家 小林30000点


1巡目
ツモ②

(張った!)《張った!》

 ダブリーだ。いつもなら。だが… いまは大会。そこで加点することに全く意味がない。とすれば……

打④ダマ

 そう、ダマだ。

 そして、すんなり橘から二が出る。当たりだ。

「……」

 なんとカオリはそれに見逃しをかける!

次巡、小林

打八

「ロン。7700」

「なっ……。そーかいそーかい、2着通過者を選んだってわけかい… 光栄だね、そこまでしないといけない危険人物だと思われたならさ。そういう事なんだろ?」
 カオリはコクリと頷いた。

「見逃し…」

「ごめんね、橘さん。あなたを馬鹿にしているわけじゃないの。ただ、東4局のあれ。あんな鳴き方をしてくるなんて、小林プロはここで葬っておかないと大変なことになると思ったのよ」

「いえ。僕はラッキーなんで、嬉しいだけっす」

「くそ… 強えわ。財前カオリ。ホラな、言っただろ。天下分け目って」そう言って肩を落としながら小林賢は会場を後にした。


財前カオリ本戦1回戦通過!
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