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第十三局【支援編】
10巡目◉選ばれし者と選んだ人
しおりを挟む思ってた通り、アンは絶好調。最初っから分かってた。そこらの素人がアンに勝てるわけない。いや、アンも資格という意味では素人ではあるが。
たしかに麻雀は運要素が大きいけど、小学生レベルの答えしか知らない人と大学教授クラスの知識を備えているアンでは正解率が違いすぎて話にならない。運良く小学生でも解けるパズルが渡されたらいいけど、それでも難問を出されたアンの方が先に解答欄を埋めてしまう。そんな感じ。
「1回戦はトップでした!」と自慢気にアンが報告して来る。
「でしょうね。まあ、予想通りすぎたわ」
「少しは褒めてくれてもいいんですよ?」
「あー… うん。強い強い」
「なにそれえ!」
《もっと褒めてあげたらいいじゃないですか》
(え、でも勝つだろうと思ってたから、当たり前だと思ってるとなんかおめでとうとか凄いねとかは出てこなかったんだもん)
その後、サトコとショウコはアンによって潰されて撃沈。アンと当たらなかったユキだけが予選の決勝卓に残った。
予選決勝卓
東家 飯田雪
南家 竹田杏奈
西家 新田忍
北家 久本一夫
そこには久本一夫がいた。と言っても、カオリたちには全くの他人だが。
やはりカズオは麻雀から離れることは出来ずにいた。
富士で勝ち抜くことが出来ずに諦めた久本一夫。しかし、その麻雀熱は未だ消えず。麻雀大会への参加をしたり、ひとりで研究したり、ネット麻雀を本気でやったりしていたのだ。
鍛錬を怠らなかったカズオは今、決勝卓へと駒を進めて富士で砕かれた自分のプライドを少しずつ少しずつ修復し、強化し、なんとか前進しようとしていた。
やはりカズオにも、麻雀しかないのである。カズオは麻雀には選ばれなかったかもしれない… でも、カズオが選んだ道は… 麻雀… それだけなのだ。
(選ばれし者でなくても、私は麻雀を選んだ人間である。そう言う誇りを持っていたい…!)そうカズオは思っていた。
今、それぞれの想いを牌に乗せて、予選決勝が始まる…!
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