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第十一局【麻雀教室編】
1巡目◉感想戦
しおりを挟むカオリたちは家に帰るとまず自分の部屋に行き布団に倒れ込んだ。
「あーーーーーーつっかれたーーー!」
「カオリ、風呂入るでしょ」
「マナミが先でいいよ、私いま疲れて動きたくないから」
「それは、私も同じ」
「ちょっと横になって休みたいよね」
「そうね」
それから30秒もしないうちに2人は気絶するように寝てしまう。プロ対局というのはそれ程体力を消耗するものなのだ。今日のように強敵と当たってしまった日は特にそうだ。
————
———
——
ハッ!
気が付いたら真夜中だった。掛けた記憶のない掛け布団がちゃんと掛かっている。
(マナミは?)
そーっとマナミの部屋を覗きに行く。ハシゴがギシギシと音を立てるのを極力抑えながら登っていき、「マナミ、あけるよ」と言いカーテンを開く。
ちゃんと寝巻きに着替えて寝てた。
《マナミは2時間程前に起きてカオリに布団を掛けてお風呂に入って髪を乾かしてからまた寝ましたよ。ドライヤー使ったら起きてしまうかもと気にしてましたけど、カオリはよく寝ていました》
(そうだったんだ。私もお風呂入ってこようかな)
カオリも風呂場に向かう
身体を洗ってゆっくり湯船に浸かるカオリ。
(womanまだいる?)
《ギリギリいますよ》
(今日の対局、どう思った? 感想聞かせてほしいなあ)
《私は……
(あ、消えた)
ザバッと湯船から出て脱衣所に置いてある赤伍萬に触れる。
《あ、消えてましたね。…えっと、私はドラ表示牌の七をずっと抱えた局が凄く興奮しました!》
(ああ、国士無双のね。テンパイした瞬間アガられたけどね)
《結果なんか関係ないんです! あの局のカオリの度胸にはグッとくるものがありました!》
どんな局だったかと言うと、①9白を引けばいい国士リャンシャンテンでカオリは七を引いてしまう。ドラ表示牌だ。ちなみに捨て牌には萬子は捨てていない。つまり。国士か萬子染めかまだ判断出来ない捨て牌なのだ。序盤の捨て牌もしっかり丁寧に極力目立たないよう2.8から切り出していた。そんな8巡目。ここでこのドラ表示牌をキープする。
(テンパイするまでは切らない… ここで危険牌をキープすることでこの迷彩は完成するんだ)
9巡目
(まだだ、もちろん自爆することもあるだろう。でも、危険とチャンスは表裏一体。なら、この最大級のチャンスは危険と引き換えに取りに行く!)
10巡目に白を引く。
(計画通りだ! 字牌待ちだったらこの迷彩も意味がなかった! 七をキープして、この役満を仕上げる!)
11巡目ツモ⑨
(早くテンパイして! 早く! 全員手が進んでる。もうダメかもしれないけど。諦めない!!)
打⑨
12巡目ツモ①
(きた!!)
打七
「リーチ」
————
———
——
(ってやつね)
《そうです! あれ、直後にマナミがツモって終わってしまいましたけど私は興奮してました。手に汗握るってのはこういうのの事だと思いましたよ》
(ま、そうね。私も張った瞬間はドキッとしたし、そこで捨てるドラ表示牌を切る時は『お願いだから通して!』と久しぶりに祈ったわね)
《私も祈ってました。あの瞬間はドキドキしましたよ》
「あっついな。もうあがろ」
《まだまだありますよ。興奮した場面はいっぱいありました!》
カオリとwomanはお風呂をあがってからまた寝付くまで今日の対局を振り返ってずっと話していたのだった。
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