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第九局【新世代編】
14巡目◉疲労困憊
しおりを挟む気が付いたらメグミは居なくなっていた。おそらく自分がいると心優しいカオリたちは昇級した喜びを素直に喜ぶことが出来ないだろうと感じて1人で先に帰ったのだろう。
「メグミさん、すごい辛そうな顔してた… 涙を堪えて笑顔作って。もう、見てられなかったよ」
「でも、仕方ないよ。そういう世界だし、それはメグミさんが1番分かっているんじゃないかな」
「こんなに頑張って勝って昇級も決まったのに、喜ぶことも素直に出来ない…… つらい世界に入っちゃったわよね」
「とは言え、麻雀部の3人は昇級したんだから今日はパーっとやろうよ」とミサトは言ってくれた。1番明るいマナミがこんなだからミサトが無理して盛り上げようとしている。それが分からないカオリとマナミではなかった。
「……そうだね。じゃあアンが水戸の駅前にある『グリーン』ていう喫茶店でバイト始めたらしいから、そこで祝勝会しようか。けっこう遅くまであいてる店だし、店内はそこそこ広くて軽食も豊富な店よ」
「賛成! じゃあ急いで帰りましょ」
「じゃあ私からアンに連絡しておくわね」
“3人とも昇級。今から祝勝会したいからグリーンに向かうからね”
少し明るい気持ちになった3人は(いつもなら4人で帰るのにな…)ということを考えてしまったがそれは口に出さずに真っ直ぐに駅へ向かう。
電車に乗ると今日ばかりは疲労困憊のようで、いつもなら立つことすらあるミサトさえも座って3人ともあっという間に寝てしまっていた。
《3人とも、おめでとう…… よく、頑張りましたね。カッコいいよ。みんな》
womanはそう言うと3人をそっと抱きしめるように優しいオーラで包み込んだ。
———
——
『上野~、上野でございます。お出口は右側です』
「あっ、おはよう」
「ファ~…… うかつ。私ともあろうものが一緒になって寝ていたわ…」
「なんだか身体が楽になったような気がする」
「私も」
「少し寝るだけで違うものねえ」
少し元気になったカオリたちは上野で特急に乗り換えて『ときわ』で水戸へと帰っていった。
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