162 / 297
第九局【新世代編】
13巡目◉おめでとう
しおりを挟む手牌を開いたのはマナミだった。
マナミ手牌
四伍六七八⑦⑧⑨789南南 九ツモ
「2000.4000」
「「ありがとうございました」」
これでトップはマナミで決着。おそらくマナミは総合5位になったと思われる。気になるのはメグミの順位だった。スレスレで昇級出来るかどうかの瀬戸際なはずだが。
パソコンに上位全員の成績が入力される。終了していない5人打ちの卓はまだ2つあるがどちらも昇級ラインには到底届かない人しか居なかったので実質この成績を打ち込んだ結果が全てである。
パソコンの画面を覗きに行くマナミとメグミ
1.中野雅也+329.4
2.財前香織+296.5
3.井川美沙都+240.2
4.神田川満+240.0
5.財前真実+183.9
6.福島弥生+170.9
7.豊田貴志+150.0
ーーーーーーーーー
8.成田恵美+148.9
「1100点差……」
マナミは手放しで喜ぶことは出来なかった。自分の三色がなければ。あれをダマのままにしていれば豊田プロの打牌も違っていて鳴きはなかったかも知れない。もし出アガリなら。あるいは安目のツモなら。メグミさんも昇級していたのに…。そう思うと苦しかった。7位と1100点差の8位…!
「アハ。惜しかったけど、ダメだったか。まあ、相手がちょっと毎回毎回悪かったわよね。健闘した方だわ。ハハハ…」
そう言うメグミの顔は笑顔を作ってはいたが泣き顔に見えた。
今にも涙が出てくるのではないかという… そんな顔をしていたのだった。あの、強いメグミがである。
(どんな顔をしたらいい。なんて声をかけたらいい。分からない。メグミさんにかける言葉が、見つからないよ……)
「………お疲れ様でした…」
「うん…。みんなは、おめでとう…」
その「おめでとう」はなんとかギリギリ絞り出したような。小さな、それでいて精一杯な。メグミからの祝福だった。
(メグミさん…)
こうしてカオリたちの最初のプロリーグが終わった。
10
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる