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第八局【運命の雀荘編】
13巡目◉癖
しおりを挟む~先程の対局のカオリ視点~
(ふう、第3節はメグミさんとかー)
《メグミは手強いですけどカオリが勝てない相手とは思いません。強気で行きましょう!》
(そうよね、私もそう思う)
「「よろしくお願いします!」」
配牌が自動で上がってくる。今時の自動卓はサイコロがない。自動で配牌が配られ、自動でドラ表示牌もめくれて出てくる。この日のカオリの卓もそれだった。すると…
カシャカシャカシャンカシャカシャン!!
メグミが素早い動きで理牌をする。それを見てカオリはゾッとした。
なぜならフリー雀荘で打ち慣れている人は基本的に牌を揃えたりしないうちに第一打を済ませるものなのだ。スムーズな進行こそが第一であるし、そんな1巡目くらい少し間違えても修正出来るからそこまでしっかり揃えて真剣に考える必要はないのだ。普通の手なら。
しかし、メグミの手は超弩級。あまりにも良い配牌が来たものだから万一にも手順ミスをしないようにしなければという思いから急いで理牌をしてしまった。これは良い配牌が来た時のメグミの癖であった。
(メグミさんが慌てて理牌をしている。やばい。並の配牌じゃないぞ… 急がないと…)
「ポン!」「チー!」「ロン! 1000」
「はい」
(ふー、やれやれ)
だが、次局
カシャンカシャンカシャカシャカシャン!
(…ま、またあ!? 勘弁してよお。今回は私だって勝負手なのに)
「ポン(鳴きたくなかったよー)」
「ロン! 1000」
「…はい」
(ふーーーー。疲れた。私痩せたんじゃない? この2局で10000キロカロリーくらい消費した気分なんだけど)
ポタリとカオリの顎先から汗が一滴落ちた。それだけでカオリがどれほどの恐怖を感じながら戦いに集中していたかがわかる。
(メグミさん… かなり悔しそうね。やはり鳴いて正解だったかな)
《あの感じだと、相当な手だったようですね》
動作ひとつ、違和感ひとつからでも情報を拾って対応する。それがカオリであり、プロの麻雀なのであった。
第3節1回戦は財前カオリの洞察力が卓上を支配してカオリのトップ。メグミは三着に終わった。
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