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第六局【規格外の新人編】
15巡目◉ペガサス
しおりを挟む泉テンマは池袋の駅前喫茶店で働いていた。そこは自分のイメージしていた喫茶店の仕事とはまるで異なり、ひたすらハードな労働だった。
「喫茶店っていったら浅○南の実家みたいなのんびりした感じじゃないのかよ… すげえキッツイじゃん…」
トゥルルルルル! トゥルルル…
「はい! お電話ありがとうございます。まーじゃ…(じゃなくて)喫茶pondです」
『まーじゃ?』
「あ、ごめんなさい。つい最近まで働いてたのが雀荘だったもので、うっかり」
『泉くんか。私、石田。あのさ、店長いるかな』
「ちょっと今、近くに買い物行ってますね」
『じゃあ伝えておいて欲しいんだけど、今日子供が熱出しちゃって病院行くから2時間くらいは遅刻するって言っておいて。その後は分かり次第また連絡するけど、最悪休むかもしれないから』
「分かりました、お伝えしておきます」
『じゃ、悪いけどお願いね』
「いえ、お気になさらず」
『ありがとう』
そんなわけで今日はテンマがホールも担当することになった。そこでテンマの先読みしたホール捌きが開花する。
(あの3人は窓から目立つ所に案内して店内が繁盛している風に見せよう)やら
(あの席は1人で静かにコーヒーを楽しむ人のための席だから近くにはギリギリまで人を案内しないよう配慮してキープしよう)やら(ちょっとマナー悪そうな人だな。酔っているのか? 常に視界に入るようにレジ近くに案内した方いいだろう)などの理由で人を案内配置して店内を支配した。
それらをやった上でレジ横の簡易キッチンでパフェやコーヒーを作り。厨房でナポリタンを作り、洗い物もした。
(疲れた~。もうだめ、もう帰りたい)
石田が来るまでテンマは1人で2人分働いた。正午には、もう無理。というくらい店内は混んできていた。
その日の活躍を店長に見られてからはテンマは基本的にホールスタッフにされた。
「泉くんのホール捌きは素晴らしいね。やっぱりこれは雀荘で培ったものなのかな」
「そう… なんですかね。そんなこと気にもしてなかった」
テンマはその帰りに池袋をブラッと散歩してから帰るつもりで歩き出した。すると、目に入ってきたのが『ペガサス』という名のフリー雀荘。
「ペガサス… か。気になるな」
名前で縁を感じたテンマはそこに入ってみることにした。
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