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第伍局【少女たちの挑戦編】
14巡目◉テンマとユウ
しおりを挟む僕は泉天馬。僕と佐藤ユウは中学時代の同級生で当時はとても仲良くしていたし、1年からずっとクラスが一緒で、3年生の頃には付き合っていた。僕の初恋の人だ。
お互い、別れたくなんかなかったがユウが引っ越しすることになって仕方なしにお別れした形だった。
高校生になった僕は麻雀に誘われる。麻雀は以前、麻雀漫画を読んだ事があり、それ以来すごく興味があったので、その誘いには喜んで乗り。そのまま麻雀の虜になって、それはもう夢中になった。将来的には絶対雀荘で働こうと決めてた。
だけど現実は…… 無職、どうしてこうなった……。
夢だった雀荘勤めは経営陣の性格の悪さと方針の悪どさに耐えられず、我慢の限界を超えたのでもう無理となって退職してしまった。
(大人ってすごいなあ。こんな理不尽でも働くなんて。それとも探せばもっといい雀荘もあるのかな。わかんないけど、もう疲れた)
辞めて一人旅して、いいリフレッシュになったから(そろそろまた働くかあ)と、とりあえず池袋に来てみた。池袋なら雀荘は多いのでどこかで働けるだろうという考えだった。
(腹減ったからまずは軽食でも取ろう)そう思って喫茶店に入る。
(久しぶりだな、ここ入るの。ここのナポリタンはうまいんだよなー)
「お待たせ致しました。ナポリタンとアイスティーです。ご注文の品は以上でお揃いでしょうか?」
「はい」
「では、ごゆっくりどうぞ」
(いただきます)
一口食べようとケチャップが口の周りに付かないように大きく口を開けたその時だった。
「天馬くん!?」
その声は忘れもしない。見なくてもわかる、記憶から消えたことのない。あの子の声だった。
僕が人生で初めて愛した人がそこにいた。
正確には、初めてで、唯一愛した人。だ。相変わらずの美人。こんな所で会えるなんて、大口開けてる場合じゃない。
「ユウ! どうして池袋に?」
「どうしてって、ほら、池袋は腐女子の聖地だから…」
「そう言えばそうだった。年がら年中漫画読んでるユウには天国みたいなもんか」
「これ、さっき買ったの」
「相変わらずなんだね。今日はこれから時間あるの?」
「あ! そう言えば急いでるんだった! あーーー! 走んないと間に合わないかも!! ごめん、もう行くね! 電車来ちゃう!」
そう言って、佐藤ユウは走り去って行った。せっかく会えたのに連絡先の交換も出来なかったな。でも、彼女が綺麗なままで、元気そうだった、それだけで僕は気持ちが弾んでいた。
(この喫茶店で働こう。またユウが寄るかもしれないし)
泉天馬はこうして池袋の駅前喫茶でアルバイトを始めるのだった。
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