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第伍局【少女たちの挑戦編】

10巡目◉サッカーと将棋

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「ねえ、シンちゃん。最近は将棋の方どうなの?」
「んー。ぼちぼちかな。みんな強くてね~。昇級も降級もしてないよ。それより、最近フットサルにハマってる」
「なにそれ」
「フィールドが小さいサッカー」
「へえ。小さいってどれくらい?」
「サッカーの9分の1だったかな。人数も5対5でサッカーほどは必要ない」
「シンちゃんがサッカーねえ…」
 そう言って歩いていると古本屋が見えてきた。

 到着。

「この女子サッカーの漫画が面白いから読んでみてよ」
「ふーん…」
 アンはパラパラと読み始める。埼玉県わらび市が舞台の高校女子サッカー漫画だった。
 


 ……立ち読み1時間半経過……



 ズビッ! ズズ! 
「シンちゃんティッシュ持ってる?」と鼻水と涙を溜めているアンが言う。「はい、多分こうなると思った」紳士なシンイチはいつもハンカチとティッシュを持っているタイプだった。
「全巻買って」
「言うと思った。全14巻セットがあっちのまとめ売りにあったと思うから買ってあげる。面白いでしょ?」
「面白い! シンちゃんのフットサルってもしかして…」
「うん、これの影響。それに将棋と同じだと思えばけっこうオレも上手に戦えるんだよね」
「6巻の相手のキャプテンがそうだったもんね」

 シンイチはまとめ売りの全14巻セットをアンに、自分には麻雀の戦術書を一冊買って帰ることにした。

「将棋の本じゃないんだ?」
「今日は気分転換に来たからね」

 帰り道、公園でフットサル的なことをしてる少年達がいた。中学生くらいだろうか。
「混ぜてもらう?」
「いや、いい。今日は帰って漫画の続き読みたい」

 サッカーと将棋が通じるものがあると知ったアンは麻雀も意外なものからヒントを得ることがあるのではないだろうか? ということに気付き、その日から麻雀の本で学ぶだけでなく全く違うジャンルのものの知識を蓄えて麻雀に活かすという発想を持つようにした。

 例えば需要のことを書いてある経済の本を読んでは(麻雀の需要ってなんだろう。そうだな、246789から6切りリーチとしたら? たしかに3はスジ引っかけとなるけどそれと同時に6が現物なので3456からなら確実に6を捨ててしまうし、6が切れるので場に全部打たれたら今度は6枯れという情報から45にとっては3は需要の高い牌となってしまい出される可能性が逆に減ってしまうケースがある。これが麻雀の需要の話かな)
 といった具合に色々な事を麻雀以外のことから考えるようになり、その一環として受験勉強も前よりやるようになったのだった。全ては麻雀を強くなるために。

 よもやこんな理由で受験勉強を捗らせるようなことになるとは思ってもなかったがシンイチの訪問がきっかけでアンは勉強熱心になったためアンのお母さんからシンイチはとても感謝されたという。
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