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第伍局【少女たちの挑戦編】

1巡目◉麻雀講師ユウ

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 佐藤ユウはメキメキと腕を上げていた。最近、倉住ショウコと浅野間サトコがユウのような戦術家になりたいと言い毎日のように教わりに来るのでコイツら受験生なのに学校の勉強は大丈夫なのかなと思いつつも自分の戦術を教えてあげた。そうすることでユウ自身にも学びがあった。他人に教えるってことは自分の麻雀を言葉にして伝えること。それは普通に麻雀をしてるだけでは身に付かないものであり、教えるという経験で自分自身にも自分の戦術を落とし込むことに繋がるのだ。

 麻雀にはがある。

 1つ目は、成績をつけること。自分自身の成績を嘘偽りなく記し続ける。これは不屈の精神を身に付ける上で有効である。なぜなら、4などとは記したくないし1と書くのは楽しいから。なんとしても4を減らし1を積み重ねたいという動機付けとなるのが成績管理なのだ。
 これは麻雀部の部員は全員強制でやっている。なぜならそれが顧問だった佐藤スグルの最初の指示だったのだ。

 2つ目は、弟子をとること。弟子たちに教えることはいい加減なものではいけないので確実なことを言語化する能力が必要になる。そうして言葉にすることで自分の麻雀を再確認して落とし込む事となる。自分を知っているということは迷わないということ。これにより判断力は磨かれて決断も早く正確になる。

 3つ目は、戦術書を書くこと。自らの麻雀の文章化。これは言語化以上の大変な作業となる。これを行える人はなかなかいない。文章化することで自分の麻雀を完全にマスターする。確実な、自分自身というものを知ることになるのだ。ここまで行く事でやっと雀士としての背骨を手に入れる。曖昧さのない、自分の考えを持つ賢人となれるのである。

 いま、佐藤ユウには弟子のようなものが2人いるが、そこで一番成長していたのはユウ自身だった。

(教えるのって面白いわ。こうやって教えてると自分が何を考えて打っているか再確認になるわね)と、もはや麻雀教室はユウ自身の趣味になりつつあった。そしてその相棒の竹田アンナもどんどん強くなってきていて麻雀部はハイレベルな部活動へと成長していく。


「さあ、今日も実践式の麻雀勉強会やるわよ!」と仕切るユウ。もう教えるのが楽しくて仕方ないといった様子だ。

「「ハイ! 先生よろしくお願いします!」」

 麻雀女子たちは今日も元気である。
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