麻雀少女青春奇譚【財前姉妹】~牌戦士シリーズepisode1~

第四局【プロ雀士編】

17巡目◉私のなりたいプロ

　ピピピピピピピピピピ……

「やめ！　鉛筆を置いて下さい。答案用紙を回収します」

　マナミは筆記試験は全問書けた。間違っているものもある可能性はあるが（特に歴代タイトルホルダーの名前。そんなのは興味がなさすぎてろくに覚えてきてない、麻雀プロに必要な知識とは思えないし。そんな問題を4問も出すことないでしょ！）まあ、合格点は取れたはずだ。この試験は毎年半分くらいは合格すると聞いている。
　カオリもまず合格点は取れただろう。手ごたえは抜群だった。昨日の夜womanが《大丈夫ですかカオリ。明日私もついていきましょうか？》と言ってくれたが（いい、私だけの力で合格してみせる。ずるいことはしたくない）と断った手前絶対に合格したかったので筆記テストはほとんど解けてホッとした。
　ミサトも問題なく全問解けたようだった。休憩を挟んだら次は小論文だ。テーマはどんな麻雀プロになりたいのか。

　カオリはそこに自分の想いを短く纏めた。

【私のなりたいプロ】

受験番号22

財前香織

　勝って笑うことは誰でも出来る。私は負けた時にも笑って勝者を讃えることの出来る人になりたい。真剣に向き合うことで負けの悔しさは増えるでしょう。つらくて涙の出る時も来るかもしれない。でも、本気でやり合えた試合を喜び。勝者を讃える人になりたい。私は麻雀そのもの。試合そのものを愛しているのだから。そんな器のプロになりたい。

　そしていつかは、誰よりも讃えられたプロに私は、なる。





　その後の実技試験もしっかりこなし、3人は合格。次期からプロ雀士のリーグ戦に参戦することになる。