上 下
73 / 297
第四局【プロ雀士編】

16巡目◉プロテスト開始

しおりを挟む

 白山はくざんシオリは帰りたかった。(はあーー。なんで私がこんな仕事をしなきゃなんないのかしら。試験官なんて私の時はもっと重鎮じゅうちんが出てきてやってたじゃない。なんで私に招集しょうしゅうがかかるのよ! でも、これをやれば他の行事を今年はパスしてもいいって言われちゃあやるしかないか…… パーティに出て女王位おめでとうとか壇上で言われたりすんのは面倒くさいし、今年のパーティは休ませてもらうわ)
 そう思ってシオリは今回のプロテストで試験官を務めた。名簿に目を通してみると財前という名前が二人いる。(姉妹かしら、珍しいわね)
 試験会場の椅子や長テーブルの設置を手伝ったりして朝早くから忙しいシオリであった。
(ったく、何で私が)
 そう思いつつも女王シオリは汗をかきながら自分の仕事をしっかりやった。

————

10時00分

 試験受付が始まった。今度は入り口で記入をお願いする係をシオリが担当。もう疲れたから座ってられる仕事をしようと思ったのだ。そこに一番手で受付に来たのは派手な髪色をした、それでいてライオンのような堂々たる佇まいを見せる立ち姿の美しい美少女だった。
(おお…… 強者の雰囲気があるな。この子は合格しそうだ)とシオリは一目で思った。
「はい、こちらにお名前を記入して右手奥から階段を上がり二階の手前左の部屋へ行って下さい」
「はい」

 井川美沙都

 それから数分後また別の美少女がきた、しかも今度は2人だ。
「はい、こちらにお名前を記入して右手奥から階段を上がり二階の手前左の部屋へ行って下さい」
「はい」「はい」

 財前真実
 財前香織

(今の子たちもすっごくキレイだったわ~。彼女たちが全員合格すれば女流リーグも盛り上がってくかもしれないわね)
 
 そう思ってシオリは少しだけ嬉しかった。

————

 カオリたちは試験会場の二階の部屋へと入った。そこでキレイな金髪系美女が目に入った。
「あれ! ミサト!?」
「え…… あれ? あなた達2人もプロテスト受けるの? そんなこと一言も言ってなかったじゃん!」
「それは…… ミサトだって言わなかったじゃないの」
「だって落ちたら恥ずかしいし…」
「私達も、いらないプレッシャー感じたくないからほとんど誰にも言ってない…」
「だよねー。分かる。今日はお互い頑張りましょう!」

 これで受かれば同期に高校からの友達がいる。プロのステージでもお互いに切磋琢磨出来るのだと思うと楽しみで、なんとしても受かるぞ! という気持ちに3人ともなった。
 
 
11時15分

「えー、全員プリントは届いたでしょうか。それでは、今から45分間。プロテスト筆記試験開始します。始めて下さい」そう言ってシオリが黒板に付けているタイマーをピッと押した。

 プロテスト開始!
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...