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第四局【プロ雀士編】
8巡目◉伝道師
しおりを挟むアルバイトを始めたので麻雀部へと顔を出す時間が減った財前姉妹だが、麻雀部はそれでも変わらず稼働していた。特に、向上心のあるショウコやサトコが毎回来るのでアンとユウはいつも2人に基礎戦術を教えていた。
「理由もなく切る牌はない。その牌が打たれたという現象の裏にはそれをさせた理由が必ず付いてくる。それを読み取るのが読みの一歩目」とアンは読みを教え。「読みがあるなら読まれもある。相手はどう読み取るかを把握して読ませて誘導するのが罠作りのファーストステップよ」とユウが教える。
最初は基礎手順すらちんぷんかんぷんだった2人だが、全員のレベルがハイレベルな環境にいたからか、あっという間にこれらの会話が理解出来る程までに力量を上げた。
また、ヤチヨやヒロコもこの麻雀講座によく参加していた。次第にユウとアンはコンビとなり2人には1つの夢が生まれた。それは
私たちは麻雀を教える講師になろう。
そして、それは麻雀プロという資格を持つ者とかになるのではなく、もっと接しやすい。高い位置からの目線ではなく友として接してくれる存在になりたい、例えば健康麻雀教室の先生とか。そう考えた。
なので、2人は夢実現のためにまずは自分達が麻雀に精通しなければならないと思い日々鍛錬を欠かさなかった。
ユウにはアンとコンビを組むより前からこの思いはあった。財前姉妹と接してからというもの、どんどん麻雀に惹かれていき、この麻雀という最高のゲームを人に広める伝道師になりたいと思うようになっていた。なのでユウは朱雀谷大学の教育学部に入りボランティアや教育実習を経験して本格的に麻雀の伝道師となるための練習をするつもりでいたのだった。
麻雀にはまだ暗いイメージがあるのは事実だけど、それを払拭しようと活動する人がいれば本質的にはギャンブルではないと皆気付いてくれるだろう。だとしたら、誰かがそれをしてくれるのを待っている人なんてのはごめんだ。私がやる。
自分の通りたい道を自分自身の手で理想へ変えてこうと思うなんてのは当たり前のことだから。
ユウはそう思っていたし、その考えにアンは感銘を受けて、手を組む事を誓ったのだった。
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