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第四局【プロ雀士編】
2巡目◉宝物
しおりを挟む私、財前マナミ。私にはちょっと変わった宝物があるの。それは麻雀マット。牌にも思い入れはあるけど、私の宝物はマットの方なの。なんでかって言うと話が少し長くなるんだけど聞いてくれる?
石井家は父と母と姉と私の4人家族でした。
小さい頃は4人でよくコタツの裏を使って麻雀をしてた。私はお姉ちゃんに教えてもらいながらだったけど6つ上のお姉ちゃんは丁寧に私がわかるように教えてくれたからあまり分かっていないなりに楽しく遊べた。
でも、そんな時代は長く続きはしなかった。だってお父さんとお母さんはそのうち離婚して私たちは小さなアパートに引っ越してしまうから。
私が麻雀を好きだったので牌は持ってきたけどコタツは買い替えたから裏面にしても緑のラシャが無かった。だからお姉ちゃんが買ってきてくれたの、麻雀マットを。あれはお姉ちゃんが私にくれた初めてのプレゼントだった。
私はそのマットを大事にしたわ。使う度にコロコロして。シワにならないように丁寧に扱って。そのうちにお姉ちゃんは自立して家を出て行ってしまうのだけど、私はいつかお姉ちゃんが帰ってきた時はまた遊んでもらおうと思って牌とマットを大切に管理した。特にお姉ちゃんに買ってもらった麻雀マットを大事に大事に扱った。
その後、お母さんは財前さんと結婚した。
————
《……で今に至る。というわけでラシャの付喪神が現れたみたいですね》
(マナミの過去の記憶までわかるんだ)
《とーぜんよ! わた…
時間切れでwomanが消えた。カオリはキーホルダーをツンとつつく。
(なんて言ってたの)
《二回言うの恥ずかしいんですけど…… とーぜんよ! 私は神様ですよ? って言いました》
(それ、二回言うの恥ずかしいね)
クククとカオリは静かに笑う。
《もう…… カオリのイジワル!》
(でもそっかー。マナミにそんな過去があったのかー)
カオリはマナミのお姉さん、つまり自分にも義理の姉である石井奈央には1回だけしか会ったことはないが、この過去の記憶からとても優しい人なんだなと知って嬉しい気持ちになった。
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