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第四局【プロ雀士編】
1巡目◉マナミの告白
しおりを挟むカオリたちは大学生になった。水戸駅からバスで25分の所にある朱雀谷大学へ通うことになる。大学生になって何が大変かと言えば朝の着替えであった。今までは休日以外は制服を着ていれば良かったが大学生には制服がない。オシャレに疎いカオリたち麻雀部はこれには参ってしまった。
「ねえ、マナミ。これ変じゃないかなあ?」「知らないわよ。私だって分かんないんだから私の意見をあてにしようとしないでよ」
毎日私服となると服のレパートリーが圧倒的に足らないことに気付いた。
「カオリ。明日、服買いに行かない?」
次の日
カオリたちは水戸駅周辺をブラブラしながら買い物をして歩いた。その日は一日中天気が良く散歩日和だった。駅前で気に入った服を見つけてお互いに一着だけ買うと、あとは2人で川沿いの道を歩いたりして休日を楽しんだ。桜が咲いている。さくら川という名前なだけあって満開の桜がずっと続いていた。
「たまにはいいわね。ふたりきりも」「そうだね」
「ねえ、バカにしないって約束して欲しいんだけど…… 私、カオリに聞いて欲しい不思議な話があるの」
「約束するよ」(なんだろう? 私の方こそ不思議な話があるんだけどな)とカオリは思った。
「実は私。正着打がわかるの」
「え、それはアタマがいいからとかではなくて?」
「そういうんじゃなくて、間違えてるとほんの少し、気にはならない程度だけど指先から電流が走って警告するの。もちろん、正着打を打っても放銃するときはするんだけど。私が迷ってる時とか、違う方を選んでると必ず警告されるの。……ちょっとおかしいこと言ってるのはわかってるんだけどさ……」
(いや、わかるよ。不思議なことは私にもあるし)とは言わなかった。誰かに言ったらなくなる力とかかも知れないと思うと言えなかったのだ。
「ふうん。イイじゃん便利で」
「信じるの?」
「まあ、マナミの言う事だから。本当なんだろなって……」
マナミは信じろと言うのが無理だと思っていた告白をすんなり信じてくれた事が逆に信じられなかった。カオリはこんなに簡単に人を信じる女だったろうか? 変な人に騙されたりしないか心配だ。とすら思った。
その日の夜
カオリはキーホルダーにそっと触れた。
《なんですか?》
(あ、woman。聞きたいことがあるんだけど。もしかしてウチの姉にも何かしらの神様ついてない?)
《えっ、そんな事あります? どれ》
womanはマナミの部屋を見に行った。するとそこには丁寧に麻雀マットにコロコロをかけているマナミがいた。そして……
《いました。ラシャの付喪神です。力はセーブしてるのか、だいぶ弱いですが間違いなくマナミさんに憑いてますね、私も気付きませんでした》
(ラシャってあの麻雀とかビリヤードとかの緑色したマットのこと? あの、コタツの裏とかの。なんにでも神様っているのねえ)
《伍萬にいるくらいですから》
(たしかに)
なんと財前姉妹は2人とも付喪神の力を持っていたのだった。
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