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12.ラウ&ルーク
しおりを挟む「俺は、時間外はゆっくり一人人で飲みたいんだけどぉ」
「ああ」
──こりゃあ駄目だ。
俺は、隣に座る今は只の使えない男を横目で確認してげんなりした。
お気に入りの酒場でなんで副団長と飲まなきゃならないんだよ。
「楓は、後悔しているのだろうか?」
「あん?俺が知るわけないだろ。こんなトコいないで本人に聞けばいいじゃん~」
「聞く間もなかった」
あぁ、お兄さんは頭が痛い。
「あのなー、そもそも悩むとこがズレズレなんだよ。お前、結婚の説明してないだろ? どーすんだよ。あと2週間ないんじゃないの?」
「結婚は、まだ先でと思っていた」
馬鹿かこいつは。
「周りが許さないし規則を破り異例を作るとカエデちゃんが後で陰で何を言われるか分からないわけないだろ~? ホント俺が言う事じゃないけど~。カエデちゃんは宙ぶらりんな自分に苛ついてるんだよ」
「意味が分からない」
なんで、こう面倒な奴ばかりなんだ?
「だからぁ、全て捨てお前を選んだ迄はいい。その次だよ問題は!」
何故俺が丁寧に説明してやんなきゃいけないんだよ。
「ちょっと考えれば分かるじゃん。彼女は住む場所すらなく自活する力もない。かといっておんぶにだっこも嫌。極めつけは選んだ男からは、婚約から1年で結婚だという規則の説明も何もない!」
そもそも酒場でする話か?
「カエデちゃんは、他の養ってもらって当たり前と思っている令嬢達と違う。ある意味、とっても面倒な性格だけど、そこに惹かれたんじゃないの?」
隣で椅子の音がした。
はぁ、やっとかよ。
「ラウ」
「早く行けよ~」
「ああ」
横目で再び見れば、奴が去り際にテーブルの上に置いた金はあと何杯か飲める金額だ。
まあ、これくらいは当たり前だよな。
「飲み直しだ。オヤジ~、おかわり~」
「あいよ」
今度こそ俺は誰にも邪魔されず飲みに専念する。
「やっぱ1人飲みサイコ~。あと何かツマミちょうだい~」
「はいよっ!」
足りなくなっならアイツにつけておこう。
まだ、夜は始まったばかりだ。
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