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シャクナゲの花
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私は、7歳から9歳まで、親の都合で福島県に住んでいました。
小学生時代、同じクラスには、友達がほとんど居なかった。
東京から転校してきたという事で、余所者扱いで、シカトされたり、いじめられたりする事が多かった。
・・・が、私は変な子供で、いじめる側の人間を
「幼稚で、可哀そうな人」だとしか思っていず、何かされたりしても
「あっそう」くらいにしか思っていなかった。そういうものだと思っていた。
転校は、小学校で2回、通った学校は3校
中学で1回、通ったのは2校、高校だけは、入学した所を卒業した。
お陰で「幼稚園からずっと一緒」とか聞くと、うらやましくて仕方ない。
福島時代、たった一人、クラスに友達が居たんだけど、そのお話は、また、って事で。
だから、当時いつもの遊び相手は、家の近所の男の子と、野球をしたり(メンバー不足だったので入れてくれた)
山に探検しに行ったり、川を飛び越えたり、空き地にアジトを作ったりしていた。
スカートで、これだけの事をしていたので、オカンに見られた時、悲鳴をあげて、あわてて、
デニムを買いに連れて行かれ、それ以降、今度はスカートを、制服以外で履く事が無くなってしまいました。
女の子の友達と言えば、近所に住む農家のお姉さん。
一つ上の「Fちゃん」と二つ上の「Sちゃん」で、やさしい二人と、その一家と
それぞれのお姉さん達の友達と遊んだり、いろいろ教わったものだった。
冬は、空き地で絵の具を混ぜた雪で、かき氷屋さん・・・
今思うと、不毛極まりないが、子供は楽しいんですねぇ
絵の具で遊んではいけないと、思ってるんだけど、やっちゃうんだから、面白い。
この姉妹は、かやぶき屋根の家に住んでいた。トイレも風呂も、外。
離れに、農具を仕舞う所があって、その家の猫3匹と「Fちゃん」と、よくかくれんぼをした。
裏に竹林があって、竹の細い枝を輪っかにして、蜘蛛の巣をベタベタと張り付けた
簡易虫取り網を作って、トンボとりをした・・・何故かというと、その家の猫が
トンボ食べるのが大好きだったから。バリバリ言わせて嬉しそうに食べる姿を思い出い出す。
広い縁側では、寝そべって宿題をやって、解らなくなったら、教えてもらったり
掘りごたつにもちゃっかり入って、猫と遊んだ。
実は、この家に遊びに行くのを、当時ウチのオカンは、良く思っていなかった。
何故かは知らないし、今聞いてもきっと覚えてないだろうから、聞かない。
この二人と遊ぶために、収穫の手伝いを、よくやった。
夏は、桑の葉を集め、ついでにその実をつまんで食べた。
口と手が、紫に染まって、お風呂に入らないと、色が取れなかった。
梅を採って、梅干を作る手伝いもした。
木に登って、枇杷を採ったし、お茶も摘んだ。
秋には、木に登って柿も採った。
この当時の私は、まさに山猿で、運動神経が恐ろしい程、爆上がりした。
春はタケノコ堀りと、イチゴの収穫。
実は、この時初めてイチゴを見た。
この地でやった全てが初めての事だらけで、楽しくて仕方なかった。
珍しいのもあって、張り切って収穫していた時・・・
ものすごく大きなイチゴを見つけて、採って、畑の持ち主の姉妹の、おばあちゃんに、見せに行った。
おばあちゃんに大層褒めてもらい、鼻を膨らませて、籠に入れようとした時
「それは、那月ちゃんが食べな」と、おばあちゃんに言われ、びっくりした。
別に、イチゴが食べたくて、お手伝いしてたわけじゃない。
早く、お姉さんたちのノルマを終わらせて、遊ぶ為に手伝っていただけなのと
収穫が面白かっただけなので、本当にびっくりした。
おばあちゃんは、更に続けた。
「一生懸命頑張った子に、神様からのご褒美だ、神様はちゃーんと見てるんだよ」と。
二人のお姉さんからも、促されて、私はその大きなイチゴを、ほおばった。
大昔である事と、初めてのイチゴだったので、味の方をきちんと覚えてはいない。
だが、きっと美味しかったに違いない。
この時「神様」というワードを初めて聞いたように思う。
私は、今も昔もほぼ無神論者だけど、おばあちゃんの言わんとした事は解った。
大きなイチゴ、初めてのイチゴ。
認めてもらう嬉しさだけは、はっきりと覚えている。
次の年、おばあちゃんは亡くなり、広かった畑は、高速道路の下になった。
おねえさん達の一家は、少し離れた所の新しい家に引っ越し
私は母の実家のある、九州に引っ越した。
東日本大震災で、豊かだったその土地は、今はもう人が入れない地域になっている。
当時の、学校の校歌を歌えないくせに、県民の歌は何故か歌えるのだ。
今もあるのか不安になったので調べたらありました。
シャクナゲにおう、やまなみに・・・
ふっと、口ずさんでは、この頃の事を思い出す。
小学生時代、同じクラスには、友達がほとんど居なかった。
東京から転校してきたという事で、余所者扱いで、シカトされたり、いじめられたりする事が多かった。
・・・が、私は変な子供で、いじめる側の人間を
「幼稚で、可哀そうな人」だとしか思っていず、何かされたりしても
「あっそう」くらいにしか思っていなかった。そういうものだと思っていた。
転校は、小学校で2回、通った学校は3校
中学で1回、通ったのは2校、高校だけは、入学した所を卒業した。
お陰で「幼稚園からずっと一緒」とか聞くと、うらやましくて仕方ない。
福島時代、たった一人、クラスに友達が居たんだけど、そのお話は、また、って事で。
だから、当時いつもの遊び相手は、家の近所の男の子と、野球をしたり(メンバー不足だったので入れてくれた)
山に探検しに行ったり、川を飛び越えたり、空き地にアジトを作ったりしていた。
スカートで、これだけの事をしていたので、オカンに見られた時、悲鳴をあげて、あわてて、
デニムを買いに連れて行かれ、それ以降、今度はスカートを、制服以外で履く事が無くなってしまいました。
女の子の友達と言えば、近所に住む農家のお姉さん。
一つ上の「Fちゃん」と二つ上の「Sちゃん」で、やさしい二人と、その一家と
それぞれのお姉さん達の友達と遊んだり、いろいろ教わったものだった。
冬は、空き地で絵の具を混ぜた雪で、かき氷屋さん・・・
今思うと、不毛極まりないが、子供は楽しいんですねぇ
絵の具で遊んではいけないと、思ってるんだけど、やっちゃうんだから、面白い。
この姉妹は、かやぶき屋根の家に住んでいた。トイレも風呂も、外。
離れに、農具を仕舞う所があって、その家の猫3匹と「Fちゃん」と、よくかくれんぼをした。
裏に竹林があって、竹の細い枝を輪っかにして、蜘蛛の巣をベタベタと張り付けた
簡易虫取り網を作って、トンボとりをした・・・何故かというと、その家の猫が
トンボ食べるのが大好きだったから。バリバリ言わせて嬉しそうに食べる姿を思い出い出す。
広い縁側では、寝そべって宿題をやって、解らなくなったら、教えてもらったり
掘りごたつにもちゃっかり入って、猫と遊んだ。
実は、この家に遊びに行くのを、当時ウチのオカンは、良く思っていなかった。
何故かは知らないし、今聞いてもきっと覚えてないだろうから、聞かない。
この二人と遊ぶために、収穫の手伝いを、よくやった。
夏は、桑の葉を集め、ついでにその実をつまんで食べた。
口と手が、紫に染まって、お風呂に入らないと、色が取れなかった。
梅を採って、梅干を作る手伝いもした。
木に登って、枇杷を採ったし、お茶も摘んだ。
秋には、木に登って柿も採った。
この当時の私は、まさに山猿で、運動神経が恐ろしい程、爆上がりした。
春はタケノコ堀りと、イチゴの収穫。
実は、この時初めてイチゴを見た。
この地でやった全てが初めての事だらけで、楽しくて仕方なかった。
珍しいのもあって、張り切って収穫していた時・・・
ものすごく大きなイチゴを見つけて、採って、畑の持ち主の姉妹の、おばあちゃんに、見せに行った。
おばあちゃんに大層褒めてもらい、鼻を膨らませて、籠に入れようとした時
「それは、那月ちゃんが食べな」と、おばあちゃんに言われ、びっくりした。
別に、イチゴが食べたくて、お手伝いしてたわけじゃない。
早く、お姉さんたちのノルマを終わらせて、遊ぶ為に手伝っていただけなのと
収穫が面白かっただけなので、本当にびっくりした。
おばあちゃんは、更に続けた。
「一生懸命頑張った子に、神様からのご褒美だ、神様はちゃーんと見てるんだよ」と。
二人のお姉さんからも、促されて、私はその大きなイチゴを、ほおばった。
大昔である事と、初めてのイチゴだったので、味の方をきちんと覚えてはいない。
だが、きっと美味しかったに違いない。
この時「神様」というワードを初めて聞いたように思う。
私は、今も昔もほぼ無神論者だけど、おばあちゃんの言わんとした事は解った。
大きなイチゴ、初めてのイチゴ。
認めてもらう嬉しさだけは、はっきりと覚えている。
次の年、おばあちゃんは亡くなり、広かった畑は、高速道路の下になった。
おねえさん達の一家は、少し離れた所の新しい家に引っ越し
私は母の実家のある、九州に引っ越した。
東日本大震災で、豊かだったその土地は、今はもう人が入れない地域になっている。
当時の、学校の校歌を歌えないくせに、県民の歌は何故か歌えるのだ。
今もあるのか不安になったので調べたらありました。
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