Legend Girl！

第三十一闘：流動

ー極闘中学、体育館ー

時刻は早朝、まるで全校集会のように大勢の人が集まっている。
マイクを使用し話す司会者。
「これより定例会議を始める！」
その言葉を合図に全員が手を後ろに組み足を肩幅に広げ立つ。
その光景はまさに軍隊のようだ。

ステージの上にはパイプ椅子に座る8人の特攻服を着た男達。
左端とその横の男が小声で話している。

「ちっ・・・毎月毎月面倒なんだよこれ・・・！」
「やめろ・・・これがあるから一家の
　メンバーの動きも外のグループの流れが知れるんだろ俺らは・・・。」
「つってもそんなのいくらでも情報として入ってくるじゃねえか！」
「だからその噂程度の話をより正確に聞く必要があるからだろうが。」

そんな中、この定例会議で出た話があった。
「３日前、弱小グループ達による小規模な全面戦争が行われた。
　行ったのは《紫炎》と《美鬼》の２グループだ。
　どちらも全ての戦力を使い美鬼は敗北、消滅し紫炎が勝利しました。
　とりあえずこちらをご覧ください。」

体育館の壁に紫炎のメンバーの写真と美鬼のメンバーの写真が映し出された。

「えー、問題はここです。この戦いで美鬼は多くの
　高校生までも戦いに利用したにも拘らず敗退しました。
　しかもその高校生たちは黒銅高校のかなり強いとされてきたメンバーです。」

周囲がざわつき始める。

「黒銅のメンバー・・・！？」
「そんなのが中学の全面戦争に出てきたのか・・・！」
「しかも負けただと・・・！？」

「ご静粛にお願いします、続けます。
　確かに乱戦となり高校生側も多くのダメージを受けていたとはいえ
　あの極悪非道、最強とされる黒銅高校の多くのメンバーが敗北。
　これに大きく関わっているのが紫炎、リーダー佐川椿ではなく
　最近紫炎に入った宮澤陽菜という人物だということです。
　美鬼側もこの《宮澤陽菜という女の強さに気づき紫炎側から奪おうとした》
　という話も出ており調査を続けておりますがとりあえず今回の全面戦争で
　この宮澤陽菜も相当なダメージを受けており未だ休養中だということです。」

「そいつの戦果は？」

その言葉を発したのは一家のボス「巽雄吾(たつみゆうご)であった。」

「はい、今回の全面戦争における宮澤陽菜の戦果は
　まずは美鬼、幹部の鬼塚芽衣。それと・・・黒銅高校の二人です。」

「ほぉ・・・女がねぇ・・・・。」

「紫炎には更に不可解な報告があり、今回戦いに使用されたチームが
　我々も知るところの二番隊、ここは今回で壊滅したそうです。
　出てこなかったのは極闘中学№2とされる東條美咲のチーム。
　以上で紫炎は全てのチームの筈なのですが・・・
　今回また新たなチームの存在が確認された可能性があるということです。」

「・・・・面白い、さらに調査を続けろ。」

「はい、もちろんです。まだまだ弱小と思われてきたグループの紫炎ですが、
　ここにきて確実な戦力の拡大を確認しました。宮澤陽菜につきましても、
　紫炎につきましても、皆様どうぞ油断なさらぬよう・・・お願い申し上げます。」

こうして極闘一家にも確実に目を付けられることとなった紫炎、そして陽菜。

３日が経過した今も陽菜はまだ眠り続けている。
そして回復に努める椿と陽菜と二番隊。
弱っている今がチャンスと攻めてくるグループは今のところないが
それもいつ来るか分からない状況、紫炎は再び大ピンチの状況になっていた・・・。