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第四闘:佐川椿
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あれから、陽菜の目が覚めたのは翌朝のことだった。
昨日のことは覚えていないが、涙目の母親からかなり心配された。
どうやら夢ではなかったらしい、両腕の激痛が全てを物語っている。
夢であって欲しかったのに・・・。
「陽菜あなた本当に学校行くの・・・?無理しなくてもいいのよ?」
心労か、若干やつれた様にも見える母親がそこにいた。
「大丈夫だから・・・。」
着替えるから、と部屋を出てもらった母親のすすり泣くような声が廊下に響く。
当たり前か、未だかつてこんなことをしたことは一度もない。
陽菜はとりあえず制服に着替え、陽菜は母親の用意した朝食を食べた。
「(もしかすると昨日の一件でもう教室には居場所なんてないかも知れない・・・。)」
脳裏に最悪の状況ばかりが過る。
朝食を終え、陽菜はそれを振り払うように家を飛び出した。
「行ってきます!!」
歩いていれば、前さえ向いていればどうにかなるかも知れない。
クラスメイトだって普通に「おはよう!昨日はびっくりしたよー!」
なんてごく普通に話しかけてくる、そうだよ、きっとそう!!
今の陽菜にはそう信じるほかなかった。
「あなたが宮澤陽菜さんでお間違いないですか?」
自宅の門から出た瞬間、陽菜は金髪の女子生徒二人に声をかけられた。
制服はうちの極闘中学のものだ、同じ学校に通っている人間に間違いはなかった。
「はぃ・・・そうですけど・・・私に何か・・・。」
とても嫌な予感がした。
「・・・・・佐川椿さんがあなたをお呼びです。」
「ねぇ待ってよ姉さん何かの間違いじゃない!?こんなのが私達より上だっていうの!?」
「やめなさい由香、椿さんがお認めになった方よ?」
「で、でも遥姉さん・・・!」
「いいから、黙って任務を達成しなさい。でなきゃ私達だって先はないわよ?」
「・・・・・。」
不満そうに押し黙る由香と呼ばれる女子生徒。
陽菜には何のことだかさっぱり分からなかった。
「申し遅れました、私、深山遥と申します。こっちが山口由香。」
で、この人たちは私に何を求めに来たのだろう・・・佐川椿って誰?
「あの・・・佐川椿さんという方が私に何の用なのでしょう?女の子、ですか?」
陽菜のその答えに、遥は少し笑って言う。
「あはっ!いえいえ、女の子ではありませんよ、佐川椿は男性で私達のボスです。」
「ボ、ボス!?」
「てめぇ椿さんを女扱いしやがるのか!?」
突如胸ぐらを掴んでくる由香。
「由香・・・あなたを連れてきたのは失敗だったかしら・・・。」
そう言われた瞬間パッと手を放した由香はすぐに謝罪する。
「姉さんすみません・・・。」
「謝る相手が違うでしょう!陽菜さんは私達より格上なのよ!?」
これはもう一体どういうことなのだろうか・・・。
「あの、お話を戻してください・・・その佐川椿さんは一体私に何を?」
「失礼しました・・・まずはこれをお受け取りください。」
遥から渡されたものは黒い封筒であった。
「それは、うちのグループ〘紫炎〙への招待状です。」
陽菜は愕然とした。
「な・・・!紫炎ってうちの中学でも最強とか何とかって・・・!!」
「グループ名ぐらいは聞いたことがあったみたいですね、助かります。」
「(よくよく考えると佐川椿って名前も聞いたことある・・・!)」
「構成人数現在256名、極闘最強と謳われる我らが紫炎、あなたを歓迎します!!」
「・・・・・・・。」
「とにもかくにも、まずは今からあなたを紫炎にお連れします。」
「は!?授業あるんですけど!?」
「今日は行くのをやめたほうがよろしいかと。」
「な、何故ですか・・・。」
「昨日の今日ですしねえ・・・賢明な判断かと思われますが・・・。」
こうして、私は学校へは登校せず紫炎に向かうこととなった・・・・。
昨日のことは覚えていないが、涙目の母親からかなり心配された。
どうやら夢ではなかったらしい、両腕の激痛が全てを物語っている。
夢であって欲しかったのに・・・。
「陽菜あなた本当に学校行くの・・・?無理しなくてもいいのよ?」
心労か、若干やつれた様にも見える母親がそこにいた。
「大丈夫だから・・・。」
着替えるから、と部屋を出てもらった母親のすすり泣くような声が廊下に響く。
当たり前か、未だかつてこんなことをしたことは一度もない。
陽菜はとりあえず制服に着替え、陽菜は母親の用意した朝食を食べた。
「(もしかすると昨日の一件でもう教室には居場所なんてないかも知れない・・・。)」
脳裏に最悪の状況ばかりが過る。
朝食を終え、陽菜はそれを振り払うように家を飛び出した。
「行ってきます!!」
歩いていれば、前さえ向いていればどうにかなるかも知れない。
クラスメイトだって普通に「おはよう!昨日はびっくりしたよー!」
なんてごく普通に話しかけてくる、そうだよ、きっとそう!!
今の陽菜にはそう信じるほかなかった。
「あなたが宮澤陽菜さんでお間違いないですか?」
自宅の門から出た瞬間、陽菜は金髪の女子生徒二人に声をかけられた。
制服はうちの極闘中学のものだ、同じ学校に通っている人間に間違いはなかった。
「はぃ・・・そうですけど・・・私に何か・・・。」
とても嫌な予感がした。
「・・・・・佐川椿さんがあなたをお呼びです。」
「ねぇ待ってよ姉さん何かの間違いじゃない!?こんなのが私達より上だっていうの!?」
「やめなさい由香、椿さんがお認めになった方よ?」
「で、でも遥姉さん・・・!」
「いいから、黙って任務を達成しなさい。でなきゃ私達だって先はないわよ?」
「・・・・・。」
不満そうに押し黙る由香と呼ばれる女子生徒。
陽菜には何のことだかさっぱり分からなかった。
「申し遅れました、私、深山遥と申します。こっちが山口由香。」
で、この人たちは私に何を求めに来たのだろう・・・佐川椿って誰?
「あの・・・佐川椿さんという方が私に何の用なのでしょう?女の子、ですか?」
陽菜のその答えに、遥は少し笑って言う。
「あはっ!いえいえ、女の子ではありませんよ、佐川椿は男性で私達のボスです。」
「ボ、ボス!?」
「てめぇ椿さんを女扱いしやがるのか!?」
突如胸ぐらを掴んでくる由香。
「由香・・・あなたを連れてきたのは失敗だったかしら・・・。」
そう言われた瞬間パッと手を放した由香はすぐに謝罪する。
「姉さんすみません・・・。」
「謝る相手が違うでしょう!陽菜さんは私達より格上なのよ!?」
これはもう一体どういうことなのだろうか・・・。
「あの、お話を戻してください・・・その佐川椿さんは一体私に何を?」
「失礼しました・・・まずはこれをお受け取りください。」
遥から渡されたものは黒い封筒であった。
「それは、うちのグループ〘紫炎〙への招待状です。」
陽菜は愕然とした。
「な・・・!紫炎ってうちの中学でも最強とか何とかって・・・!!」
「グループ名ぐらいは聞いたことがあったみたいですね、助かります。」
「(よくよく考えると佐川椿って名前も聞いたことある・・・!)」
「構成人数現在256名、極闘最強と謳われる我らが紫炎、あなたを歓迎します!!」
「・・・・・・・。」
「とにもかくにも、まずは今からあなたを紫炎にお連れします。」
「は!?授業あるんですけど!?」
「今日は行くのをやめたほうがよろしいかと。」
「な、何故ですか・・・。」
「昨日の今日ですしねえ・・・賢明な判断かと思われますが・・・。」
こうして、私は学校へは登校せず紫炎に向かうこととなった・・・・。
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