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一周年の吸血少女
魑魅魍魎を統べる悪鬼
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結局モンスターは一体も居らず、険しい山道を進んでいく。険しいと言っても、普通に地上を歩いたらの話で、私達にとっては、そこまで険しい道ではなかったけど。
その道程にある洞窟は全て調べておいた。一応、採掘ポイントと宝箱を二つ見つけた。宝箱に入っていたのは、聖女の血瓶と黎明の血瓶というものだった。よく分からない血瓶だったけど、即行で飲んだら紅葉さんに『血液ジャンキーですか!』と叱られた。
因みに、聖女の血瓶は、身体が軽くなるような感覚で、黎明の血瓶はよく分からない感覚があった。黎明の方は、本当によく分からない。何の変化もないように思えたし、ちょっと変わったような気もした。まぁ、死神の血瓶も含めて闇霧の始祖のところに行けば何か分かると思う。
こうして三時間程掛けて、山頂付近へと辿り着いた。そんな私の前に、ウィンドウが現れた。
『この先、レイドボスとの戦闘が始まります。現在周囲の山、森のエリアにいるパーティーが全て参加する事になります。現在の参加パーティー:1 レイド戦を始めますか? YES/NO』
この山と森が戦場になるらしい。そして、ここまで辿り着いたパーティーは、私達だけみたいだ。まぁ、色々と面倒くさいモンスターばかりだっただろうし、最終日に辿り着けば良い方なのかもしれない。もしくは、こことは違って、もっと近い場所にレイドボスのエリアがあったりして。
それはさておき、ここで挑まないという選択はない。あるのは、誰を参加させるかだ。
「う~ん……取り敢えず、ソイルとフラムを交代しようか。地面にいるとは限らないから、どちらでも対応出来る方が良いと思うし」
『うん……分かった……』
頷いて答えるソイルの頭を撫でて労う。そして、ソイルとフラムを交代させた。
「フラム、これから挑む相手はかなり危険っぽいから、無理はしないように。危ないと思ったら、防御を優先してね」
『ああ。なら、私達精霊は固まって動くか』
『そうですね。その方が攻撃も合わせやすいです』
『……』こくり
『それじゃあ、私が護衛として残りますね』
「ありがとう、清ちゃん」
清ちゃんがエアリー達の護衛として傍にいる事になった。セイちゃんに乗れば機動力の上昇にも繋がるので、適任ではあると思う。
「それじゃあ、行くよ。気を引き締めて、油断しないように」
私がそう言うと、皆が一斉に頷いた。それを見てから、私はレイドボスへと挑むためにYESを押す。それだけでは何も変わらなかったので、取り敢えず、神殺しを出しつつ山頂へと進んでいくと、大きな窪みの山頂に着いた。見た感じカルデラのような印象を受ける。広さ的に言えば、五キロとかそんな感じかな。見た感じだから正確なところは分からない。
そんなカルデラの中央にぽつんと立つ影があった。邪神の依り代に見えたその影は、急に形を変えて、真っ黒な身体を持つ鬼になった。一瞬、黒鬼かなと思ったけど、それにしては少し華奢だ。変身を終えたところで、四本のHPバーと名前が現れる。魑魅魍魎を統べる悪鬼というらしい。その名前から嫌な予感がする。
「皆、それぞれ自分の命優先で動いて! エアリー達は、雑魚処理優先でお願い」
まだ悪鬼以外にモンスターはいないけど、あんな名前をしている以上喚び出さない訳がない。私は、【鬼王】【黒鬼気】を発動しつつ、【雷化】で接近し背後から斬りつける。それを、悪鬼はどこからか生み出した黒い剣で受け止めた。辺りに衝撃波が撒き散らされて、地面が捲れ上がる。
私を見た悪鬼は、ニヤリと笑う。それと同時に、山のあちらこちらからモンスターが生まれた。それは森にいた廃都市のモンスターではなく、妖怪道中エリアのモンスターのような妖怪達だった。やっぱり、雑魚と一緒に戦う系のレイドボスだ。でも、百以上はいる量だし、最低五パーティーは必要なのではと思う。
そんな魑魅魍魎が現れた直後、カルデラの円周を覆うように大きな竜巻が生まれ、そこに激しい炎が重なった。その竜巻から飛んでいく炎を伴った風の刃が次々に妖怪達を倒していく。さらに、その竜巻よりも外側に向かって落ちていく無数の雷が炭へと変えていた。本当に頼もしい事だ。
その間に、私と悪鬼は剣戟を続けていく。私が【雷化】で背後に移動しても、悪鬼は的確に反応して、こっちの攻撃を防いでくる。そうして私にヘイトが集中していく。これが狙いだ。
私と鍔迫り合いになった直後、悪鬼の背後から紅葉さんが大鉈を振り下ろす。それに気付いた悪鬼は、横に向かって跳んで避ける。鍔迫り合いになっていたので、急に相手の力がなくなり、私が前に移動してしまうけど、紅葉さんは私に命中する前に大鉈を止めて、そのまま悪鬼を追った。【ベクトル制御】のようなスキルを持っているというよりも、力尽くで止めたという風に見える。鬼の力を持つ紅葉さんだからこそ出来る事かな。
紅葉さんの薙ぎを、剣で受け止めた悪鬼の身体に、本気モードになっている胡蝶さんの糸が巻き付く。糸による拘束をあっさりと受け入れたと思えば、すぐに引き千切って動き回る。そんな悪鬼を胡蝶さんは、しつこく追い続けていた。すると、悪鬼の身体がゼラチンに当たったかのように軽く弾みながら空中で静止した。
これには悪鬼も困惑している。私も気付かなかったけど、よく見ないと気付かないくらい細い糸で巣が張られていた。そんな巣を張るような場所がどこにあったのかと思ったら、いつの間にか、悪鬼の周囲に土の塔が建っている。恐らく、玉藻ちゃんの仕業だ。幻覚で作り出した何かって感じかな。幻覚に糸が付く理由はよく分からないけど、悪鬼はすぐに脱出できないでいる。
そこに、胡蝶さんが指を鳴らす。直後、蜘蛛の巣が炎上して、悪鬼を焼いた。そこに【悪魔王翼】を使って、空を飛びながら【雷化】で接近し、神殺しを突き刺そうとする。その攻撃を、悪鬼は背中から腕を生やして刀身を掴む事で止めてきた。それでも一段目のHPが軽く削れる。神殺しの効果は、しっかりと現れている。
そのまま下に振り、背中の手の指を落とす。そして、そのまま斬り上げて攻撃しようとする。だけど、その前に背中の手のひらから黒い波動のようなものが放たれる。それが命中する前に、胡蝶さんの糸が、私の身体に巻き付いて攻撃範囲から抜け出させてくれた。
そして、蜘蛛の巣から抜け出した悪鬼が、誰もいないところに向かって跳んでいき、剣を地面に叩き付けた。一瞬、何をしているのか分からなかったけど、独り相撲のような事をし始めたところで、玉藻ちゃんが悪鬼に幻覚を掛けているという事に気付いた。
つまり、悪鬼は私達を認識出来ていないという事だ。そこに、私と紅葉さんが挟み込むように接近し、互い違いになるように神殺しと大鉈で斬る。この二連撃で一段目のHPが半分まで削れる。そこから更に続けようとしたけど、その前に悪鬼が両手を私と紅葉さんに向けて伸ばしてきた。普通ならば、距離を開ければどうにかなるけど、悪鬼の手は、文字通り伸びてきたので、私は【夜霧の執行者】を使わされる事になった。【夜霧の執行者】を持っていない紅葉さんは、大鉈を盾にしたけど、そのまま手に押されて距離を取らされる。
霧から実体に戻った私は、直ぐさま神殺しを振う。この攻撃が命中する直前に【氷鬼】を発動させて、攻撃に氷属性を乗せる。これにより、悪鬼の身体が凍り付き、一瞬の隙が生まれた。そこを見逃さずに、悪鬼の首を斬る。様々な効果が合わさり、悪鬼の一段目を削り切る。
それと同時に悪鬼が耳を劈くような声で叫ぶ。それにより生じた衝撃波によって、私達は吹き飛ばされた。
その道程にある洞窟は全て調べておいた。一応、採掘ポイントと宝箱を二つ見つけた。宝箱に入っていたのは、聖女の血瓶と黎明の血瓶というものだった。よく分からない血瓶だったけど、即行で飲んだら紅葉さんに『血液ジャンキーですか!』と叱られた。
因みに、聖女の血瓶は、身体が軽くなるような感覚で、黎明の血瓶はよく分からない感覚があった。黎明の方は、本当によく分からない。何の変化もないように思えたし、ちょっと変わったような気もした。まぁ、死神の血瓶も含めて闇霧の始祖のところに行けば何か分かると思う。
こうして三時間程掛けて、山頂付近へと辿り着いた。そんな私の前に、ウィンドウが現れた。
『この先、レイドボスとの戦闘が始まります。現在周囲の山、森のエリアにいるパーティーが全て参加する事になります。現在の参加パーティー:1 レイド戦を始めますか? YES/NO』
この山と森が戦場になるらしい。そして、ここまで辿り着いたパーティーは、私達だけみたいだ。まぁ、色々と面倒くさいモンスターばかりだっただろうし、最終日に辿り着けば良い方なのかもしれない。もしくは、こことは違って、もっと近い場所にレイドボスのエリアがあったりして。
それはさておき、ここで挑まないという選択はない。あるのは、誰を参加させるかだ。
「う~ん……取り敢えず、ソイルとフラムを交代しようか。地面にいるとは限らないから、どちらでも対応出来る方が良いと思うし」
『うん……分かった……』
頷いて答えるソイルの頭を撫でて労う。そして、ソイルとフラムを交代させた。
「フラム、これから挑む相手はかなり危険っぽいから、無理はしないように。危ないと思ったら、防御を優先してね」
『ああ。なら、私達精霊は固まって動くか』
『そうですね。その方が攻撃も合わせやすいです』
『……』こくり
『それじゃあ、私が護衛として残りますね』
「ありがとう、清ちゃん」
清ちゃんがエアリー達の護衛として傍にいる事になった。セイちゃんに乗れば機動力の上昇にも繋がるので、適任ではあると思う。
「それじゃあ、行くよ。気を引き締めて、油断しないように」
私がそう言うと、皆が一斉に頷いた。それを見てから、私はレイドボスへと挑むためにYESを押す。それだけでは何も変わらなかったので、取り敢えず、神殺しを出しつつ山頂へと進んでいくと、大きな窪みの山頂に着いた。見た感じカルデラのような印象を受ける。広さ的に言えば、五キロとかそんな感じかな。見た感じだから正確なところは分からない。
そんなカルデラの中央にぽつんと立つ影があった。邪神の依り代に見えたその影は、急に形を変えて、真っ黒な身体を持つ鬼になった。一瞬、黒鬼かなと思ったけど、それにしては少し華奢だ。変身を終えたところで、四本のHPバーと名前が現れる。魑魅魍魎を統べる悪鬼というらしい。その名前から嫌な予感がする。
「皆、それぞれ自分の命優先で動いて! エアリー達は、雑魚処理優先でお願い」
まだ悪鬼以外にモンスターはいないけど、あんな名前をしている以上喚び出さない訳がない。私は、【鬼王】【黒鬼気】を発動しつつ、【雷化】で接近し背後から斬りつける。それを、悪鬼はどこからか生み出した黒い剣で受け止めた。辺りに衝撃波が撒き散らされて、地面が捲れ上がる。
私を見た悪鬼は、ニヤリと笑う。それと同時に、山のあちらこちらからモンスターが生まれた。それは森にいた廃都市のモンスターではなく、妖怪道中エリアのモンスターのような妖怪達だった。やっぱり、雑魚と一緒に戦う系のレイドボスだ。でも、百以上はいる量だし、最低五パーティーは必要なのではと思う。
そんな魑魅魍魎が現れた直後、カルデラの円周を覆うように大きな竜巻が生まれ、そこに激しい炎が重なった。その竜巻から飛んでいく炎を伴った風の刃が次々に妖怪達を倒していく。さらに、その竜巻よりも外側に向かって落ちていく無数の雷が炭へと変えていた。本当に頼もしい事だ。
その間に、私と悪鬼は剣戟を続けていく。私が【雷化】で背後に移動しても、悪鬼は的確に反応して、こっちの攻撃を防いでくる。そうして私にヘイトが集中していく。これが狙いだ。
私と鍔迫り合いになった直後、悪鬼の背後から紅葉さんが大鉈を振り下ろす。それに気付いた悪鬼は、横に向かって跳んで避ける。鍔迫り合いになっていたので、急に相手の力がなくなり、私が前に移動してしまうけど、紅葉さんは私に命中する前に大鉈を止めて、そのまま悪鬼を追った。【ベクトル制御】のようなスキルを持っているというよりも、力尽くで止めたという風に見える。鬼の力を持つ紅葉さんだからこそ出来る事かな。
紅葉さんの薙ぎを、剣で受け止めた悪鬼の身体に、本気モードになっている胡蝶さんの糸が巻き付く。糸による拘束をあっさりと受け入れたと思えば、すぐに引き千切って動き回る。そんな悪鬼を胡蝶さんは、しつこく追い続けていた。すると、悪鬼の身体がゼラチンに当たったかのように軽く弾みながら空中で静止した。
これには悪鬼も困惑している。私も気付かなかったけど、よく見ないと気付かないくらい細い糸で巣が張られていた。そんな巣を張るような場所がどこにあったのかと思ったら、いつの間にか、悪鬼の周囲に土の塔が建っている。恐らく、玉藻ちゃんの仕業だ。幻覚で作り出した何かって感じかな。幻覚に糸が付く理由はよく分からないけど、悪鬼はすぐに脱出できないでいる。
そこに、胡蝶さんが指を鳴らす。直後、蜘蛛の巣が炎上して、悪鬼を焼いた。そこに【悪魔王翼】を使って、空を飛びながら【雷化】で接近し、神殺しを突き刺そうとする。その攻撃を、悪鬼は背中から腕を生やして刀身を掴む事で止めてきた。それでも一段目のHPが軽く削れる。神殺しの効果は、しっかりと現れている。
そのまま下に振り、背中の手の指を落とす。そして、そのまま斬り上げて攻撃しようとする。だけど、その前に背中の手のひらから黒い波動のようなものが放たれる。それが命中する前に、胡蝶さんの糸が、私の身体に巻き付いて攻撃範囲から抜け出させてくれた。
そして、蜘蛛の巣から抜け出した悪鬼が、誰もいないところに向かって跳んでいき、剣を地面に叩き付けた。一瞬、何をしているのか分からなかったけど、独り相撲のような事をし始めたところで、玉藻ちゃんが悪鬼に幻覚を掛けているという事に気付いた。
つまり、悪鬼は私達を認識出来ていないという事だ。そこに、私と紅葉さんが挟み込むように接近し、互い違いになるように神殺しと大鉈で斬る。この二連撃で一段目のHPが半分まで削れる。そこから更に続けようとしたけど、その前に悪鬼が両手を私と紅葉さんに向けて伸ばしてきた。普通ならば、距離を開ければどうにかなるけど、悪鬼の手は、文字通り伸びてきたので、私は【夜霧の執行者】を使わされる事になった。【夜霧の執行者】を持っていない紅葉さんは、大鉈を盾にしたけど、そのまま手に押されて距離を取らされる。
霧から実体に戻った私は、直ぐさま神殺しを振う。この攻撃が命中する直前に【氷鬼】を発動させて、攻撃に氷属性を乗せる。これにより、悪鬼の身体が凍り付き、一瞬の隙が生まれた。そこを見逃さずに、悪鬼の首を斬る。様々な効果が合わさり、悪鬼の一段目を削り切る。
それと同時に悪鬼が耳を劈くような声で叫ぶ。それにより生じた衝撃波によって、私達は吹き飛ばされた。
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