367 / 467
クリスマスの吸血少女
深海エリアへ
しおりを挟む
そうして、平日を挟んで次の土曜日。私はギルドエリアの牧場に来ていた。そこでは、メアリーが家畜の世話をしていた。テキパキとしていて、動きに淀みがない。何年も畜産に携わっているかのような動きだった。一応平日にも同じように牧場に行っていたけど、その時も、既にメアリーが世話をした後だった。メアリーは、本当にギルドエリア内のあらゆる事をしてくれているらしい。
私のやることが皆の様子を見る事以外になくなった。その分探索に時間を割けるのは嬉しいけどね。
「メアリー、お疲れ様」
『ハクお嬢様。おはようございます。こちらが、本日の牧場の成果になります』
メアリーはそう言って紙をくれる。基本的に、メアリーは自分が行った行動の結果を紙で報告してくれる。私のタイミングで確認出来るので、これは有り難い。牧場の報告の場合、書かれているのは解体した数と増えた数、得た素材とかが書かれている。素材に関しては、正直どうでも良いので、牛達の数を確認するだけだ。解体もされているけど、数的には増えているので問題はない。
「うん。これからもよろしくね」
『かしこまりました』
メアリーは恭しく一礼すると、畑の方に向かっていった。一応、畑は精霊の皆に任せておけば大丈夫だけど、メアリーは一応管理してくれているらしい。そっちの報告も日に一度、私かアカリが貰っている。これまで任せっきりで、どうなっているのか分からなかったから、畑の状況も把握出来るのは助かっている。
後は、任せてもいいので、私は大洋エリアへと向かった。そして、大洋エリアの上空から海を見下ろしていた。深海エリアへと向かうためだ。闇霧の始祖が言っていた深い場所というので深海エリアが思い付いたので、ここを探索する事にしたのだ。
「アカリから貰ったタンクが一個で一時間保つって言ってたから、今日探索出来る時間は全部で五時間かな」
平日の間に、アカリに深海エリアの探索に乗り出すと伝えたら、空気が入ったタンクを用意してくれた。メアリーが来てくれたおかげで、作業の効率化に加えて、アカリエで売る分の商品の補充も早く出来るようになったので、こういうものも沢山作れるようになったらしい。
「【召喚・レイン】【召喚・エアリー】」
二人を喚び出して、海の中へと飛び込む。エアリーが空気を補充してくれるので、このエリア内ではボンベ無しに移動する事が出来る。
「レイン、深海への入口って分かる?」
『分かるよ。こっち』
やっぱり、水のある場所ではレインが最強だね。レインの案内について行くと、深海エリアへの転移場所を見つけた。ここはボス戦を経なくても転移出来るみたいだった。
「それじゃあ、エアリーは、先に帰ってて」
『はい。お役に立てず申し訳ありません』
「全然気にしないで良いよ。こればかりは仕方ない事だしね」
エアリーの頭を撫でてあげてから、ギルドエリアに帰す。私を覆っている空気は、自分の【暴風武装】で維持する。上から持ってくる事は無理でも、周囲に存在するものの維持くらいなら問題ない。
「それじゃあ、行こうか」
『うん』
タンクを背負って、レギュレーターを咥える。そして、ゴーグルを付けてから深海エリアへと転移した。水圧で潰れて死亡とかもあり得ると思ったけど、普通に耐える事が出来ていた。身体に圧が掛かっているという感じもない。【適応】のおかげかな。タンクの方も問題無さそうだった。
問題は、転移した先に海底がなく、水中に投げ出されていた。かなり暗いので、暗視能力を持っていても全然見通せない。
『お姉さん!』
レインが焦ったような声を上げて、私にくっつくと移動させていった。突然どうしたのか訊きたいけど、声を出す事は出来ないので、自分で周囲を確認するしかない。すると、【万能探知】でモンスターを感知した。そのモンスターは、かなり巨大で物凄い勢いで泳いでいる。
モンスターは、私達の上を通る。そのモンスターの名前は、イモータルメガロドンという名前の大きなサメだった。
『あれは倒せないよ』
レインはそう言いながら、イモータルメガロドンから離れるように私を連れて行った。どうやら、イモータルメガロドンは倒せるようなモンスターじゃないらしい。ギミックの一種って風に考えた方が良いかな。
『他にモンスターがいる感じはしないから、あれが食べちゃったのかな』
私の【万能探知】にも、イモータルメガロドン以外のモンスターは感知出来ない。もしかしたら、イモータルメガロドンから攻撃されないように探索するというのが、深海エリアのコンセプトなのかもしれない。
レインのおかげで、どんどんとイモータルメガロドンから離れていき海底が見え始めた。海底に足を着いてから、レインの頭を撫でてあげる。お礼を言えない代わりだ。
頭を撫でられたレインは嬉しそうにしていた。取り敢えず、ここからの移動はレインに手を引いて貰う事にする。普通に泳ぐよりも遙かに速いし、イモータルメガロドンにも早く気付く事が出来るからだ。レインに引っ張られながら、周囲を見回す。すると、あるものの影が見えた。暗すぎて、朧気だったけど、岩の形ではない事は分かった。
レインの手を軽く叩いて、見えたものの方向を指す。
『うん。分かった』
レインに引っ張っていって貰った場所には、沈没船があった。かなりボロボロになっているので、大分昔に沈没したのかこっぴどくやられたかんじかな。レインに引っ張って貰いながら進んでいくと、宝箱を一つ見つけた。早速開けてみると、中から宝石が出て来た。ただの金策用みたいだ。
沈没船探索も程々にして、深海探索に戻る。途中、急に岩場に引っ張られて、影に隠された。直後に、私も【万能探知】でイモータルメガロドンを感じ取った。イモータルメガロドンが、すぐ上を過ぎていった。イモータルメガロドンが決まったルートを周回しているのか、ランダムで動いているのか分からないので、一回一回ちゃんと隠れないといけない。
問題は、私達プレイヤーの感知系スキルでは、結構近くに来ないと感じ取れないので、かなり怖いと思う。レインがいてくれてよかった。
そこから何度か沈没船を見つけて宝石を集めた。正直、自分で生み出せる私からしたら要らないものだけど、アカリには嬉しいものだと思うのでアカリにあげる事にする。
それと一つ探索前は予想出来なかった事があった。それがイモータルメガロドンの存在だ。実際に戦っていないから、本当に倒せないのか分からないけど、レインが絶対に戦わせようとしないから、挑もうという気も起きない。
そのせいで探索が思うように進まず、タンクも二つ目に突入していた。一時間は探索しているという事になる。マッピング出来た範囲は、十分の一くらいだった。今日中に何か成果を得られるかは怪しいかな。
私のやることが皆の様子を見る事以外になくなった。その分探索に時間を割けるのは嬉しいけどね。
「メアリー、お疲れ様」
『ハクお嬢様。おはようございます。こちらが、本日の牧場の成果になります』
メアリーはそう言って紙をくれる。基本的に、メアリーは自分が行った行動の結果を紙で報告してくれる。私のタイミングで確認出来るので、これは有り難い。牧場の報告の場合、書かれているのは解体した数と増えた数、得た素材とかが書かれている。素材に関しては、正直どうでも良いので、牛達の数を確認するだけだ。解体もされているけど、数的には増えているので問題はない。
「うん。これからもよろしくね」
『かしこまりました』
メアリーは恭しく一礼すると、畑の方に向かっていった。一応、畑は精霊の皆に任せておけば大丈夫だけど、メアリーは一応管理してくれているらしい。そっちの報告も日に一度、私かアカリが貰っている。これまで任せっきりで、どうなっているのか分からなかったから、畑の状況も把握出来るのは助かっている。
後は、任せてもいいので、私は大洋エリアへと向かった。そして、大洋エリアの上空から海を見下ろしていた。深海エリアへと向かうためだ。闇霧の始祖が言っていた深い場所というので深海エリアが思い付いたので、ここを探索する事にしたのだ。
「アカリから貰ったタンクが一個で一時間保つって言ってたから、今日探索出来る時間は全部で五時間かな」
平日の間に、アカリに深海エリアの探索に乗り出すと伝えたら、空気が入ったタンクを用意してくれた。メアリーが来てくれたおかげで、作業の効率化に加えて、アカリエで売る分の商品の補充も早く出来るようになったので、こういうものも沢山作れるようになったらしい。
「【召喚・レイン】【召喚・エアリー】」
二人を喚び出して、海の中へと飛び込む。エアリーが空気を補充してくれるので、このエリア内ではボンベ無しに移動する事が出来る。
「レイン、深海への入口って分かる?」
『分かるよ。こっち』
やっぱり、水のある場所ではレインが最強だね。レインの案内について行くと、深海エリアへの転移場所を見つけた。ここはボス戦を経なくても転移出来るみたいだった。
「それじゃあ、エアリーは、先に帰ってて」
『はい。お役に立てず申し訳ありません』
「全然気にしないで良いよ。こればかりは仕方ない事だしね」
エアリーの頭を撫でてあげてから、ギルドエリアに帰す。私を覆っている空気は、自分の【暴風武装】で維持する。上から持ってくる事は無理でも、周囲に存在するものの維持くらいなら問題ない。
「それじゃあ、行こうか」
『うん』
タンクを背負って、レギュレーターを咥える。そして、ゴーグルを付けてから深海エリアへと転移した。水圧で潰れて死亡とかもあり得ると思ったけど、普通に耐える事が出来ていた。身体に圧が掛かっているという感じもない。【適応】のおかげかな。タンクの方も問題無さそうだった。
問題は、転移した先に海底がなく、水中に投げ出されていた。かなり暗いので、暗視能力を持っていても全然見通せない。
『お姉さん!』
レインが焦ったような声を上げて、私にくっつくと移動させていった。突然どうしたのか訊きたいけど、声を出す事は出来ないので、自分で周囲を確認するしかない。すると、【万能探知】でモンスターを感知した。そのモンスターは、かなり巨大で物凄い勢いで泳いでいる。
モンスターは、私達の上を通る。そのモンスターの名前は、イモータルメガロドンという名前の大きなサメだった。
『あれは倒せないよ』
レインはそう言いながら、イモータルメガロドンから離れるように私を連れて行った。どうやら、イモータルメガロドンは倒せるようなモンスターじゃないらしい。ギミックの一種って風に考えた方が良いかな。
『他にモンスターがいる感じはしないから、あれが食べちゃったのかな』
私の【万能探知】にも、イモータルメガロドン以外のモンスターは感知出来ない。もしかしたら、イモータルメガロドンから攻撃されないように探索するというのが、深海エリアのコンセプトなのかもしれない。
レインのおかげで、どんどんとイモータルメガロドンから離れていき海底が見え始めた。海底に足を着いてから、レインの頭を撫でてあげる。お礼を言えない代わりだ。
頭を撫でられたレインは嬉しそうにしていた。取り敢えず、ここからの移動はレインに手を引いて貰う事にする。普通に泳ぐよりも遙かに速いし、イモータルメガロドンにも早く気付く事が出来るからだ。レインに引っ張られながら、周囲を見回す。すると、あるものの影が見えた。暗すぎて、朧気だったけど、岩の形ではない事は分かった。
レインの手を軽く叩いて、見えたものの方向を指す。
『うん。分かった』
レインに引っ張っていって貰った場所には、沈没船があった。かなりボロボロになっているので、大分昔に沈没したのかこっぴどくやられたかんじかな。レインに引っ張って貰いながら進んでいくと、宝箱を一つ見つけた。早速開けてみると、中から宝石が出て来た。ただの金策用みたいだ。
沈没船探索も程々にして、深海探索に戻る。途中、急に岩場に引っ張られて、影に隠された。直後に、私も【万能探知】でイモータルメガロドンを感じ取った。イモータルメガロドンが、すぐ上を過ぎていった。イモータルメガロドンが決まったルートを周回しているのか、ランダムで動いているのか分からないので、一回一回ちゃんと隠れないといけない。
問題は、私達プレイヤーの感知系スキルでは、結構近くに来ないと感じ取れないので、かなり怖いと思う。レインがいてくれてよかった。
そこから何度か沈没船を見つけて宝石を集めた。正直、自分で生み出せる私からしたら要らないものだけど、アカリには嬉しいものだと思うのでアカリにあげる事にする。
それと一つ探索前は予想出来なかった事があった。それがイモータルメガロドンの存在だ。実際に戦っていないから、本当に倒せないのか分からないけど、レインが絶対に戦わせようとしないから、挑もうという気も起きない。
そのせいで探索が思うように進まず、タンクも二つ目に突入していた。一時間は探索しているという事になる。マッピング出来た範囲は、十分の一くらいだった。今日中に何か成果を得られるかは怪しいかな。
31
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説
吸血少女 設定資料集(おまけ付き)
月輪林檎
SF
『吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ』のスキルやその技、武具の追加効果などを章ごとに分けて簡潔に説明します。その章で新しく出て来たものを書いていくので、過去の章に出て来ているものは、過去の章から確認してください。
さらに、ハク以外の視点で、ちょっとした話も書くかもしれません。所謂番外編です。
基本的に不定期更新です。
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
春空VRオンライン ~島から出ない採取生産職ののんびり体験記~
滝川 海老郎
SF
新作のフルダイブVRMMOが発売になる。 最初の舞台は「チュートリ島」という小島で正式リリースまではこの島で過ごすことになっていた。
島で釣りをしたり、スライム狩りをしたり、探険したり、干物のアルバイトをしたり、宝探しトレジャーハントをしたり、のんびり、のほほんと、過ごしていく。
後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~
夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。
多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』
一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。
主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!!
小説家になろうからの転載です。
ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜
八ッ坂千鶴
SF
普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。
そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……!
※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる