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因縁に決着をつける吸血少女

湖の中の空洞

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 ゴーグルを着けて、視界を確保しつつ、湖を潜っていく。ゴーグル無しでもどこまでも見えるのではと思える程、透き通った湖だ。レインも一緒に潜っている。レインは、私と違って水の中で自由に動いている。私はと言えば、ただ普通に泳ぐだけ。まぁ、溺れないようになっただけマシだけど。
 湖の深さは、中央に行くにつれて深くなっている。その深さは何十メートルもありそうだ。でも、透き通っている水の中だけど、その奥の方は見えない。でも、私以上に水を支配出来るレインならこの湖全体でも把握出来るはず。
 ここでは喋られないので、レインにジェスチャーで指示をする。

『下の方に何かあるよ。建物みたいな感じだけど、誰も住んでない。それと、そこから横に逸れる感じで穴もあるよ』

 恐らく、そこが目的地だ。現状の息苦しさから考えて、結構長い間潜っていられそうだ。レインにはサポートを任せているので、そのまま深くまで潜っていく。途中で、ここに住んでいる首長竜が襲い掛かってきたけど、レインがすぐに倒してくれた。この状況で、吸血して時間を食う訳にもいかないので、全部倒して貰う。この首長竜の名前は、レイクモンスター。湖の怪物って感じかな。次々に潰れていくから、若干可哀想に思えてくる。

『お姉さん、身体は大丈夫? ここから深くなるよ』

 水圧的な問題かな。正直、気圧の変動でも大丈夫だし、水圧も問題ないと思う。それに、【適応】もあるし、新しく手に入れた【水中戦闘術】もあるから、通常は問題ない場所でもある程度までは耐えられるだろうしね。なので、指でOKサインを出して応える。
 そのまま中央の深くまで潜っていくと、ようやく底が見えてきた。
 底には、レインの言う通り建物があった。見た目から考えるに、祠的な印象を受ける。その中には、特に何もなかった。ただ空洞があるだけ。何かしらのお供え物が必要なのかな。特に思い付かないので、これは後回しだ。
 レインの言っていた穴を探す。

『こっちだよ』

 私が穴を探しているのを察して、レインが案内してくれる。その穴は、私が横になってギリギリ入れる大きさしかなかった。ただ、最初からその大きさだった訳じゃないみたい。崩落した跡みたいなのがある。崩落跡から見てみるに、元々は三倍くらいの大きさがあったみたい。

『この先に水が途切れてる場所があるよ。多分空洞だよ』

 そこが目的地かもしれない。取り敢えず、私から先に穴に入っていく。【索敵】を信じるなら、その先にモンスターの気配はない。まだ現れていない可能性もあるけど。
 だから、後ろから来るかもしれないレイクモンスターの対処をレインに頼む。
 実際に穴に入ってみると、かなり狭い。岩に引っ掛からないようにするために外套は外しておく。瓦礫をぶち壊したいという欲を抑えながら、ゆっくり着実に進んでいくと、レインが言っていた空洞に出た。

「ふぅ……ようやく喋れる」
『普通は空気の方に喜ぶと思う』
「……思ったよりも苦しくなかったからなぁ。後は水中で喋れるようになれれば完璧なんだけどね。レインと会話が出来なかったし」
『お姉さんの言いたい事は、全部分かったけどね!』

 ドヤ顔でそう言うレインを撫でてあげてから、空洞を見回す。第一印象は洞窟だった。

「何だろう。財宝があった場所に似ている感じだけど、あそこよりも自然に出来た感じが強いかな」
『エアリー喚ぶ?』
「そうだね。レインは一旦休憩してくれる? 他の皆を喚ぶから」
『うん!』
「お疲れ様。【送還・レイン】【召喚・エアリー】【召喚・ソイル】【召喚・マシロ】」

 レインを一旦帰して、エアリー、ソイル、マシロを喚ぶ。洞窟内なら、この三人が探索に向いている。

『モンスターはいません。ですが、家具らしきものが置かれていますね』

 喚ばれてすぐにエアリーが索敵をしてくれた。ついでに、構造の把握も終わらせているみたい。本当に優秀な子で助かる。

「ソイルの方はどう?」
『私も同じ……それと……ここから出る場所は……ないよ……』
『風も外に通じません。恐らく、通常の出入口は、お姉様が入った入口のみかと』
「魔法陣の可能性もあるよ」
『なるほど。それは、盲点でした。魔法陣に関しては、風では分かりませんので』

 そこは部屋を調べて行って見つけるしかない。

「取り敢えず、全体を調べよう。マシロは灯りをお願い」
『分かったわ』

 マシロの灯りがあると、普通に見やすくなるので、暗い場所の探索では助かる。まずは、近くの行き止まりから潰していく。最初に着いた場所は壊れた机と壊れた棚がある場所だった。岩肌が剥き出しなので、部屋という感じはしない。

「靄はなし。資料もなしっと。マシロは何か感じる?」
『聖属性的なものはないわ。でも、ここら辺は闇が濃い感じがするくらいね。メアなら、もっと詳しく分かると思うわ』
「う~ん……う~ん……メアと交代しても良い?」
『うん』

 マシロの頭を撫でてあげてからメアと交代して貰う。光の薄さなどから、闇の濃さを感じる事が出来るとはいえ、闇そのものに関しては、メアの専売特許だ。メアに撒かせる方が良い。

『メアちゃん登場!!』

 元気よくメアが出て来た。メアの元気の良さは、最早光の精霊なのではと思えてしまう程だ。

『何か程よく快適空間だね♪』
「そんなに闇が詰まってる?」
『うん。奥の方とか結構濃いよ。でも、感じ悪い』
「感じ悪い?」
『うん。正直、心地良い闇じゃない。マシロに付いてた闇に似ている気もするけど、実際に見てみないとはっきりとは言えないかな』
「なるほど。じゃあ、何かあったら言ってね」
『おっ任せ!』

 そこからこの洞窟内を調べて行く。最初の方は、全く情報がないから、ここがどういう場所なのか分からないままだったけど、半ばまで行くと、ようやく情報が出て来た。靄になっていたので、それを固めると、出て来たのは邪聖教のロザリオだ。

「やっぱり合ってた。ここが奴等の隠れ家だ。ここにいたから情報が出ていかなかったって感じかな」
『出入口に魔法陣がある可能性が高くなりましたね』
「うん。湖の出入口だけじゃ不便だしね」

 そのまま探索を進める。でも、全然情報を見つける事は出来なかった。そんな探索をしていると、奥まったところにある小さな空間でようやく発見する事が出来た。

「おっ、魔法陣だ。でも、これって起動してない?」

 いつもの魔法陣なら、どこかに転移出来そうな雰囲気とかがあるのだけど、この魔法陣からはそういう感じが一切しない。

『この魔法陣……途切れてる……』
「あっ、本当だ」

 ソイルの言う通り、魔法陣の一部がなくなっている。これでは転移出来そうなわけない。

「じゃあ、どこに繋がっているのかは分からないか。靄もないし、次に行こう」

 魔法陣を見つけられたけど、肝心の情報がない。もっと直接的な情報を手に入れるために、探索を続ける。
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