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真冬と真夏の吸血少女

話し合いで決まった事

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 色々な種を蒔いて、レインに水やりをして貰った後、私はトモエさんと一緒に屋敷に向かった。すると、ちょうど玄関で皆が集まっているところだった。

「ハクちゃん、おかえり」
「ただいま、アカリ。話は終わった?」
「うん。屋敷の費用とかは、アクアさん達持ちで、レインちゃんの泉とは反対側の屋敷の隣に建てる事になったよ。大きさは、私達のと同じくらい」
「そうなんだ。まぁ、私達だけだと持て余しているし、アク姉達にはちょうど良いくらいか」

 私達の屋敷は、まだ空き部屋があるので、普通にアク姉達が使う分には、私達と同じ大きさの屋敷で十分だった。

「それに加えて、共同の倉庫を建てるかって話が出てるんだけど、ハクちゃんはどう?」
「う~ん、アカリがいちばん欲しいんじゃない? 素材を一番使うのは、アカリなわけだし。私は、血だけ貰えたら良いよ」
「それじゃあ、共同倉庫を建てようか。また空き部屋が増えるけど、そっちは考えがあるから楽しみしてて」
「ん? うん。分かった」

 空き部屋を効率良く活用する方法をアカリは思い付いたみたい。私からしたら、アカリの実験室を大量に作るくらいしか思い付かないけど、一体何を思い付いたのだろうか。気になるけど、ここは後の楽しみにする。

「それじゃあ、私達は早速屋敷を建ててくるね。ついでに、ファーストタウンの家を解約しないと。話し合った事は、アカリちゃんから聞いて」

 アク姉はそう言って、私の頭を撫でてから屋敷を出て行った。その後をメイティさん達も付いていった。
 私とアカリは、二人の共同部屋に入ってテーブルに着く。二人でお茶を飲みながら、アク姉達と話し合った内容を聞く。

「取り敢えず、普段はこれまで通りに過ごす事になったよ。ハクちゃんは、ソロで活動したいだろうからって。ただ、レイドボスなどを見つけたら、一緒にレイドする事っていうのが条件ね」
「一人でレイドに挑むって思われてるのかな」

 さすがに、そこまで無謀じゃないと言いたいところだけど、実際にその時になったら、一人で挑みそうなので、否定しきれないかもしれない。

「それもあるかもだけど、フレイさんに頼む可能性を考えてるんじゃないかな。それなら、まず初めにアクアさん達を頼って欲しいんだと思うよ」
「ああ、なるほどね。まぁ、確かにフレ姉を頼る可能性はあるか」

 フレ姉に頼まれるのが嫌だってわけじゃなくて、自分も頼って欲しいっていうアク姉からの我が儘かな。まぁ、戦力的には、アク姉達がいてくれた方が有り難いのは事実なので、ここは素直に頷いておこう。

「後は、アクアさん達が欲しいものに関しては、自分達でお金を出すって事と、何かを建てる場合には、私かハクちゃんの確認を取るようにするって」
「ギルドマスターとサブマスターを立てるって感じ?」
「というより、私達二人の所に転がり込んできたからって感じじゃないかな。そんなに気にする事でもないのにね」
「まぁね。あまりに大所帯になると困るけど、アク姉達なら、私達が管理しなくても大丈夫だしね」

 私達よりもしっかりとした人達なので、特に何かを注意する必要はない。これが、全く知らない人達だったら、色々と注意しないといけなかったと思う。色々と情報寄越せとか言われる可能性もあったし。
 その点では、アク姉達は心配しなくても平気だ。必要以上に情報を貰おうとしないから。

「後は何だろう? スノウちゃんとレインちゃんの情報というか、ハクちゃんのテイムモンスターの情報と皆のスキル情報はギルド内の秘密ってなったよ。それとギルドチャットは、基本的に私が活用するって事になったよ」
「アカリが?」

 前半は、何も疑問に思わなかったけど、後半のギルドチャットに関しては何故か分からなかった。

「うん。欲しい素材とか、生成するアイテムとか、そういうやり取りをする感じ。ただ、アカリエで使う素材の注文はしないっていう風にしたよ」
「そうなの? まぁ、個人経営だしね。ギルド内で使うものの素材なら、普通にメンバーに頼める方が良いしね。私は、全く活用出来なさそうだけど」

 特に何か頼むものもないし、恐らくアク姉達が頼むであろう回復薬も、私は血で回復出来るから要らない。なので、活用法が思い付かなかった。基本的にアカリが欲しい素材を集める事くらいしか出来ないだろう。

「特に気にする必要ないよ。何か欲しいアイテムが出来たら、チャットに書いてくれればいいから」
「うん。分かった」
「そのくらいかな。後は、アクアさん達がスノウちゃん達と遊んでくれるって」
「ああ、それは有り難いかも。スノウ達も退屈する時間が減るだろうし。そうだ。スノウ達で思い出した。レインの水で育った植物が、ちょっと進化しているみたいなんだけど、アカリ、何か知ってる?」

 ついでなので、畑で疑問に思った事を訊く。

「あっ、うん。それも話さないとって思ってた。ハクちゃんが、レベル上げに励んでいる間に、私も生産系スキルのレベルを上げていたんだけど、レインちゃんの水とか畑の収穫物とかを使ったんだけど、大体の素材が名前変わってたし、何なら糸を作った時にも名前が変わってたよ」
「あ~……やっぱり、レインって規格外?」
「だね。聖属性と水属性関係の装備なら、かなり強く出来ると思う」
「そうなんだ。ん? 水属性?」
「うん。変化の方向は一つだけじゃなかったんだ。聖属性に変化するものと水属性に変化するものの二種類あったの。多分だけど、水の精霊の部分が水属性に関係しているんだと思う」

 レインは、区分で言えば水の精霊ウンディーネになる。名前だけ聞けば、聖属性に繋がる要素は薄い。でも、レイン個人が持つ【神水】に光の因子が含まれるために、聖属性を持つ事になった。
 【神水】自体は、レインの生まれが関係しているので、そもそものウンディーネが必ず持っているようなものではないはず。
 つまり、ただのウンディーネであれば、影響があるのは水属性だけだったと考えられる。二つの属性を持つレインが異質な存在という事がよく分かる。

「そうなると、他の精霊もテイムしたいなぁ……」
「ハクちゃんなら出来るんじゃない? 私は、もうハクちゃんがどんな子を連れてきても驚かない気がする」
「そんな毎回毎回都合良くいくとは限らないでしょ」
「これまでのゲームだったらね」

 確かに、ワンオンの中だと、かなり都合良く事が進む事が多い。まぁ、都合悪い時も普通にあったから、ちょっと運が良いくらいにしか思えないけど。

「取り敢えず、話し合った内容は、さっき言った通りね」
「了解。ギルドエリアの発展は、アカリに任せるね」

 ギルドメンバー全員で色々とやると、滅茶苦茶な状態になりかねないので、改めて、代表者をアカリに任せる。

「うん。そういえば、畑って、まだ広げる?」
「あ~……うん。さっきも少し広げたけど、まだ広げたいかな。今されている柵は越えるかも」
「了解。それじゃあ、私達も解散して、それぞれで動こうか」
「だね。お金稼ぎしないとだから」

 話し合いの内容は聞けたので、ここからは個人行動に戻る。アカリとは部屋の中で別れて、私はポートタウンへと転移した。
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