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真祖となった吸血少女
豪雨エリアのボス
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夜にもう一度豪雨エリアに行って、探索を少し進めた。戦い方が完全に分かったので、混乱の状態異常にならずに探索を進められた。
そして、翌日。順調にいけば、今日中に豪雨エリアのマッピングを終えられると思う。そのくらいには、このエリアとの相性が良い。多分、ジャイアントスライムとの相性が良いというのが大きいのかな。普通は、私みたいな戦い方はしないだろうから。
因みに、図書館での調べものはしていない。やっぱり、マッピングを終えてから調べたいと思ったからだ。
「さてと、まずは蝙蝠を出そう」
【使役(蝙蝠)】で蝙蝠を出して、周囲の探索を行わせる。
「あっ、これも探索が早く進んでいる理由か」
普通に蝙蝠を出して歩いていて、探索が早く進んでいる理由の一つに気が付いた。ここのとの相性が良いのも理由だけど、蝙蝠が探索した範囲もマッピングされる事は、かなり大きい。本来のマッピング範囲よりも一回り以上大きく探索出来るわけだし。
「ここまで便利だと、今度のアップデートで調整が入るかな。まぁ、【吸血】を【真祖】まで育てる人なんて、極一部だろうし、大丈夫かな」
動物を使役するスキルが他にあるのかは分からない。何故なら、一度もそんなところを見た事ないからだ。フィールドに出てから出すとは思うけど、ここまで何も見ないとなると、持っている人はいたとしても少ないと思う。
混乱にならないように気を付けながら、探索をしていく。【感知】と蝙蝠でモンスターがいる場所は把握出来たので、今日も苦戦することなく探索を進められた。効率よく進められた結果、思ったよりも早くマッピングが終わった。
「うわぁ……砂漠もこのくらい楽だったら良かったのに……」
砂漠は、最悪の足場と太陽とモンスターで、かなり苦戦した。豪雨エリアが楽に探索出来たのは、この時の苦戦のおかげでもある。【真祖】に進化したり、スキルの統合に至るまでのレベル上げも砂漠での苦戦があったからだし。
そして、マッピングを終えたという事は、豪雨エリアのボスエリアへの転移場所も見つけたという事だ。
「結局、レアモンスターとは会えず仕舞いか……まぁ、昨日話に出したからって、都合良く会えるはずもないか」
ちょっと残念だけど、また探索していれば遭遇する可能性はある。これは、他の場所のレアモンスターにしても同じだ。出て来るまで待つのは、いつでも出来る事なので、今はボスモンスターの確認を優先する。
ボスエリアに転移した私は、自分の周りに蝙蝠がいない事に気付いた。
「街では使えないし、ボスエリアへの転移でもいなくなると。まぁ、当たり前か」
通常エリアとボスエリアは、完全に異なるエリアなので、使役している動物は再度召喚し直さないといけないみたい。使ったままボスエリアに入るのは初めてなので、ここで知ることが出来て良かった。
蝙蝠を出して、先行させつつ歩く。豪雨エリアは、豪雨以外に本当に何もない空間だったので、砂漠以外のこれまでのボスのように木々の間などから様子を窺う事は出来ない。さらに言えば、豪雨で遠くまで把握する事は困難のため、ボスからの奇襲もあり得る。
これらの事から、蝙蝠を先行させる事で、ボスの位置を把握する事が重要だと考えた。
「取り敢えず、【感知】が使えなくなるけど、傘もしまっておいた方が良いかな。傘を持ちながら戦うのが不利に働く可能性も高いし」
これからの戦いに備えて、スキルの装備を整える。
────────────────────────
ハク:【剣Lv61】【短剣Lv58】【双剣Lv45】【武闘術Lv10】【真祖Lv13】【血液武装Lv11】【操影Lv10】【使役(蝙蝠)Lv16】【執行者Lv61】【剛力Lv38】【豪腕Lv54】【豪脚Lv30】【駿足Lv25】【防鱗Lv7】【擬態Lv8】
控え:【魔法才能Lv46】【水魔法才能Lv8】【支援魔法才能Lv45】【HP強化Lv60】【MP強化Lv16】【物理攻撃強化Lv61】【物理防御強化Lv29】【魔法防御強化Lv25】【神脚Lv38】【器用さ強化Lv25】【運強化Lv52】【視覚強化Lv28】【聴覚強化Lv32】【腕力強化Lv7】【毒耐性Lv25】【麻痺耐性Lv6】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv5】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv8】【気絶耐性Lv1】【消化促進Lv50】【竜血Lv30】【登山Lv6】【毒霧Lv2】【毒液Lv2】【捕食Lv12】【狂気Lv5】【夜霧Lv16】【感知Lv35】【言語学Lv33】
SP:218
────────────────────────
昼の時間帯と豪雨による混乱状態で使い物にならない【夜霧】と【感知】を外して、【剣】と【双剣】を装備した。【血液武装】で血装術の効果時間が延びたとはいえ、その時間内に倒せるとは限らない。そのため、【短剣】と【双剣】の二つは装備したままで行く。
しばらく歩いていると、蝙蝠の超音波が聞こえてきた。血刃の双剣を抜いて、ゆっくりとそちらに向かって歩いていく。すると、豪雨の中で立っている人がいた。狂乱桜のように正気を失っているような様子はない。
黒い上下の服の上に黒のロングコートを着ている。そのロングコートは、かなり使い込まれているのか、裾がボロボロの状態だった。さらに、これまたボロボロの帽子も被っている。本来の状態であれば、紳士が被っていそうな帽子だ。
そして、肝心な顔だけど、全体に包帯を巻いていて、何も分からない。体格と包帯の上から分かる顔の形から、男性かもとは考えられる。
名前は、雨男。豪雨エリアのボスは、完全な人型のボスだった。
雨男は、ようやく私を認識したのか、急に顔をこちらに向けて睨んできた。そして、何も持っていないはずの右手を大きく振った。
瞬間、背筋に氷を突っ込まれたかのように嫌な予感がした私は、勘で身体を右側にずらした。直後、私の頬を掠めて、ナイフが飛んでいった。ナイフを抜く姿は見えなかった。という事は、最初から袖に仕込んでいたのかもしれない。
そんな考えが頭を過ぎるのと同時に、視界に細いワイヤーが映った。それは、私の背後まで続いている。まるで、ナイフの軌跡を残しているかのようだ。そこまで思考が回った瞬間、すぐに腰を屈める。直後に、背後から帰ってきたナイフが、頭上を通り過ぎた。
この攻防は、大体五秒前後。それだけで、雨男が油断ならない相手という事は認識出来た。
屈んだ姿勢のまま、脚に力を入れて、思いっきり高速移動を使う。まだ完全な制御が出来ないとか言っている暇はない。この場で、制御するしかない。雨男の左斜め後ろに着地した私は、身体を反転させる勢いを使って、左の短剣を突き刺す。
そんな私の攻撃を見抜いていたかのように、雨男は、右側に一歩ずれていた。短剣は、コートの一部を軽く掠っただけ。すぐにHPを確認するけど、一ダメージにもなっていない。当然だけど、服に攻撃してもダメージ判定はない。しっかりと本体を捉えないといけない。
ここから連撃で、ダメージを稼ごうとした私の目の前に黒い筒が出て来る。それには、穴が二つ空いていて、持ち手部分には引き金のようなものが付いている。どこからどう見ても、シューティングゲームなどで見るショットガンだった。
「っ!!」
反射的に真横に飛び退いたと同時に、引き金が引かれた。飛び出した散弾は、私の左腕を吹き飛ばした。HPが、一気に四割削れる。ショットガンは銃だけど、どちらかと近接戦で恐ろしい一面を出す。
直ぐさま、バックステップで距離を取る。そんな私の行動を読んでいるように、さっきと同じナイフが投げられた。さっき見たから、その攻撃は知っている。残っている右手の短剣で弾き落とすと、すぐにワイヤーで回収された。距離が開いたからか、ショットガンは撃たれない。確実に吹き飛ばせる距離じゃないと使わないのかもしれない。
「【共鳴】」
地面に落ちているもう片方の短剣を回収して、両方とも鞘に納める。
「師範と戦ってる気分……」
こちらの動きを読まれている。そんな印象を、師範からも感じる。師範と戦って合格を貰えた時は、壁と脚力を活かした動きだった。でも、ここには壁なんてない。強化された脚力だけで、あの時のような動きは出来るだろうけど、それだけじゃ多分足りない。
「ここを乗り越えれば、師範にも一矢報いる事が出来るかな」
まだ勝てないと決まったわけじゃない。片腕はなくなったけど、出来るだけやるだけだ。
そして、翌日。順調にいけば、今日中に豪雨エリアのマッピングを終えられると思う。そのくらいには、このエリアとの相性が良い。多分、ジャイアントスライムとの相性が良いというのが大きいのかな。普通は、私みたいな戦い方はしないだろうから。
因みに、図書館での調べものはしていない。やっぱり、マッピングを終えてから調べたいと思ったからだ。
「さてと、まずは蝙蝠を出そう」
【使役(蝙蝠)】で蝙蝠を出して、周囲の探索を行わせる。
「あっ、これも探索が早く進んでいる理由か」
普通に蝙蝠を出して歩いていて、探索が早く進んでいる理由の一つに気が付いた。ここのとの相性が良いのも理由だけど、蝙蝠が探索した範囲もマッピングされる事は、かなり大きい。本来のマッピング範囲よりも一回り以上大きく探索出来るわけだし。
「ここまで便利だと、今度のアップデートで調整が入るかな。まぁ、【吸血】を【真祖】まで育てる人なんて、極一部だろうし、大丈夫かな」
動物を使役するスキルが他にあるのかは分からない。何故なら、一度もそんなところを見た事ないからだ。フィールドに出てから出すとは思うけど、ここまで何も見ないとなると、持っている人はいたとしても少ないと思う。
混乱にならないように気を付けながら、探索をしていく。【感知】と蝙蝠でモンスターがいる場所は把握出来たので、今日も苦戦することなく探索を進められた。効率よく進められた結果、思ったよりも早くマッピングが終わった。
「うわぁ……砂漠もこのくらい楽だったら良かったのに……」
砂漠は、最悪の足場と太陽とモンスターで、かなり苦戦した。豪雨エリアが楽に探索出来たのは、この時の苦戦のおかげでもある。【真祖】に進化したり、スキルの統合に至るまでのレベル上げも砂漠での苦戦があったからだし。
そして、マッピングを終えたという事は、豪雨エリアのボスエリアへの転移場所も見つけたという事だ。
「結局、レアモンスターとは会えず仕舞いか……まぁ、昨日話に出したからって、都合良く会えるはずもないか」
ちょっと残念だけど、また探索していれば遭遇する可能性はある。これは、他の場所のレアモンスターにしても同じだ。出て来るまで待つのは、いつでも出来る事なので、今はボスモンスターの確認を優先する。
ボスエリアに転移した私は、自分の周りに蝙蝠がいない事に気付いた。
「街では使えないし、ボスエリアへの転移でもいなくなると。まぁ、当たり前か」
通常エリアとボスエリアは、完全に異なるエリアなので、使役している動物は再度召喚し直さないといけないみたい。使ったままボスエリアに入るのは初めてなので、ここで知ることが出来て良かった。
蝙蝠を出して、先行させつつ歩く。豪雨エリアは、豪雨以外に本当に何もない空間だったので、砂漠以外のこれまでのボスのように木々の間などから様子を窺う事は出来ない。さらに言えば、豪雨で遠くまで把握する事は困難のため、ボスからの奇襲もあり得る。
これらの事から、蝙蝠を先行させる事で、ボスの位置を把握する事が重要だと考えた。
「取り敢えず、【感知】が使えなくなるけど、傘もしまっておいた方が良いかな。傘を持ちながら戦うのが不利に働く可能性も高いし」
これからの戦いに備えて、スキルの装備を整える。
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ハク:【剣Lv61】【短剣Lv58】【双剣Lv45】【武闘術Lv10】【真祖Lv13】【血液武装Lv11】【操影Lv10】【使役(蝙蝠)Lv16】【執行者Lv61】【剛力Lv38】【豪腕Lv54】【豪脚Lv30】【駿足Lv25】【防鱗Lv7】【擬態Lv8】
控え:【魔法才能Lv46】【水魔法才能Lv8】【支援魔法才能Lv45】【HP強化Lv60】【MP強化Lv16】【物理攻撃強化Lv61】【物理防御強化Lv29】【魔法防御強化Lv25】【神脚Lv38】【器用さ強化Lv25】【運強化Lv52】【視覚強化Lv28】【聴覚強化Lv32】【腕力強化Lv7】【毒耐性Lv25】【麻痺耐性Lv6】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv5】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv8】【気絶耐性Lv1】【消化促進Lv50】【竜血Lv30】【登山Lv6】【毒霧Lv2】【毒液Lv2】【捕食Lv12】【狂気Lv5】【夜霧Lv16】【感知Lv35】【言語学Lv33】
SP:218
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昼の時間帯と豪雨による混乱状態で使い物にならない【夜霧】と【感知】を外して、【剣】と【双剣】を装備した。【血液武装】で血装術の効果時間が延びたとはいえ、その時間内に倒せるとは限らない。そのため、【短剣】と【双剣】の二つは装備したままで行く。
しばらく歩いていると、蝙蝠の超音波が聞こえてきた。血刃の双剣を抜いて、ゆっくりとそちらに向かって歩いていく。すると、豪雨の中で立っている人がいた。狂乱桜のように正気を失っているような様子はない。
黒い上下の服の上に黒のロングコートを着ている。そのロングコートは、かなり使い込まれているのか、裾がボロボロの状態だった。さらに、これまたボロボロの帽子も被っている。本来の状態であれば、紳士が被っていそうな帽子だ。
そして、肝心な顔だけど、全体に包帯を巻いていて、何も分からない。体格と包帯の上から分かる顔の形から、男性かもとは考えられる。
名前は、雨男。豪雨エリアのボスは、完全な人型のボスだった。
雨男は、ようやく私を認識したのか、急に顔をこちらに向けて睨んできた。そして、何も持っていないはずの右手を大きく振った。
瞬間、背筋に氷を突っ込まれたかのように嫌な予感がした私は、勘で身体を右側にずらした。直後、私の頬を掠めて、ナイフが飛んでいった。ナイフを抜く姿は見えなかった。という事は、最初から袖に仕込んでいたのかもしれない。
そんな考えが頭を過ぎるのと同時に、視界に細いワイヤーが映った。それは、私の背後まで続いている。まるで、ナイフの軌跡を残しているかのようだ。そこまで思考が回った瞬間、すぐに腰を屈める。直後に、背後から帰ってきたナイフが、頭上を通り過ぎた。
この攻防は、大体五秒前後。それだけで、雨男が油断ならない相手という事は認識出来た。
屈んだ姿勢のまま、脚に力を入れて、思いっきり高速移動を使う。まだ完全な制御が出来ないとか言っている暇はない。この場で、制御するしかない。雨男の左斜め後ろに着地した私は、身体を反転させる勢いを使って、左の短剣を突き刺す。
そんな私の攻撃を見抜いていたかのように、雨男は、右側に一歩ずれていた。短剣は、コートの一部を軽く掠っただけ。すぐにHPを確認するけど、一ダメージにもなっていない。当然だけど、服に攻撃してもダメージ判定はない。しっかりと本体を捉えないといけない。
ここから連撃で、ダメージを稼ごうとした私の目の前に黒い筒が出て来る。それには、穴が二つ空いていて、持ち手部分には引き金のようなものが付いている。どこからどう見ても、シューティングゲームなどで見るショットガンだった。
「っ!!」
反射的に真横に飛び退いたと同時に、引き金が引かれた。飛び出した散弾は、私の左腕を吹き飛ばした。HPが、一気に四割削れる。ショットガンは銃だけど、どちらかと近接戦で恐ろしい一面を出す。
直ぐさま、バックステップで距離を取る。そんな私の行動を読んでいるように、さっきと同じナイフが投げられた。さっき見たから、その攻撃は知っている。残っている右手の短剣で弾き落とすと、すぐにワイヤーで回収された。距離が開いたからか、ショットガンは撃たれない。確実に吹き飛ばせる距離じゃないと使わないのかもしれない。
「【共鳴】」
地面に落ちているもう片方の短剣を回収して、両方とも鞘に納める。
「師範と戦ってる気分……」
こちらの動きを読まれている。そんな印象を、師範からも感じる。師範と戦って合格を貰えた時は、壁と脚力を活かした動きだった。でも、ここには壁なんてない。強化された脚力だけで、あの時のような動きは出来るだろうけど、それだけじゃ多分足りない。
「ここを乗り越えれば、師範にも一矢報いる事が出来るかな」
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