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吸血少女と最悪な環境

予想外で嬉しい事

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 翌日。昨日アカリにも話した通り、私は砂漠に来ていた。今のところ、砂漠が、一番レベルが上がりやすいエリアだからだ。育てるのは、格闘系スキルだ。ソフィアさん達の協力で、かなりレベルが上がったけど、あれから使う機会に恵まれなかったのもあって、成長率が低い。てか、【言語学】に傾倒し過ぎた。
 砂漠を走り回って、【血武器】で短剣を作り出して、デザートキャメルに投げつけたり、デザートアルマジロを蹴り飛ばしたり、デザートスコーピオンを殴ったり、蹴ったり、吸血したりして倒していった。
 日が出た後は、デザートキャメルとデザートアルマジロを中心に倒していった。デザートスコーピオンは群れじゃないのを倒した。日が出たから、格闘も使うけど、吸血が中心になっていた。デザートスコーピオンを吸血するのは、かなり骨が折れたけど、少しずつ効率の良い吸血方法を見出していった。
 デザートキャメルは、前にもやった方法。デザートアルマジロは、砂漠に埋めてからの吸血。デザートスコーピオンは、鋏と尻尾を斬り落としてからの吸血が一番楽だった。そうして、せっせと吸血と格闘に勤しんでいると、私の目の前にウィンドウが出て来た。

『条件を満たしたため、【吸血鬼】の進化が可能になりました。(条件:昼の時間帯に【吸血鬼】を使用して、二千体以上のモンスターを倒す。【吸血鬼】のみで、五百体のモンスターを倒す。昼の時間帯に【吸血鬼】で、ボスモンスター十体のトドメを刺す)』

 なんと【吸血鬼】が進化可能になった。条件的には、前の【吸血】の時より数が増えたのと、ボスモンスターへのトドメが追加された感じだ。ボスモンスターへのトドメに関しては、フォレストリザードや黒帝ゴリラで達成したと思う。スキルは全然くれなかったけど。他の条件に関しては、いつもの平原での吸血が大きい。

「~~っ!!」

 私は喜びのあまり両手を硬く握ってガッツポーズを取って、軽く跳ねてしまった。すぐに、自分の行動に気付いて、周りを見回して誰にも見られていない事を確認してから、深呼吸をして落ち着く。
 そして、スキル収得欄を見て、該当スキルを探す。すると、ランク3の欄に、【真祖】というスキルが増えていた。

────────────────────────

【真祖】:血を吸う事で体力の回復と確率でスキルを獲得が出来る。獲得出来るスキルは、血を吸う相手が持っているスキルに限られ、一体につきランダムで一つのみ。【吸血鬼】よりも、スキルを獲得出来る確率がかなり上がる。太陽光によるステータスダウンが四割になる。夜の時間帯において、ステータスが二割上がる。

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 太陽光によるステータスの低下が、五割から四割に減っていた。これは、本当に嬉しい。一割の違いでも、私にとっては大きな違いだ。そして、夜には、ステータスが二割も上がる。多分、【真祖】と【吸血鬼】の違いの中で、一番大きいのは、このステータス上昇だ。
 夜という時間が、ただステータスが元に戻る時間から、本当に本領を発揮出来る時間に変わる。
 ただ、ここで勘違いしてはいけないのが、夜の時間帯という部分だ。これまでは、洞窟などの太陽光が届かない場所でも、ステータスは元に戻っていた。これは昼の時間帯でも夜の時間帯でも同じだ。
 だから、例え洞窟などの太陽光が届かない場所に入ったとしても、必ずステータスが上がるわけではない。あくまでも上がるのは、夜の間だけ。これは、肝に銘じておく。

「早速スキルを進化っと」

 【吸血鬼】を【真祖】に進化させる。すると、スキル収得欄に新しいスキルが追加されていた。それは、【操影】と【使役(蝙蝠)】の二つだった。

────────────────────────

【操影】:影を操作する事が出来る。操る事の出来る影は、自分のものだけ。

【使役(蝙蝠)】:蝙蝠を召喚し、使役する事が出来る。召喚出来る蝙蝠の数、蝙蝠の行動範囲は、レベルに依存する。

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 【操影】は、【操血】に似た感じのスキルだけど、操れるのは自分のもののみ。でも、使い勝手は良さそう。【使役(蝙蝠)】の方は、正直使ってみるまでは分からない。蝙蝠が攻撃してくれるのか、探索の手助けをしてくれるのか。どちらにせよ、本当に役立たないという事はないと信じたい。

「あっ、でも、また装備するスキルが増えるのか……つい昨日も悩んだ事なのに~!!」

 頭を掻き毟りたくなったけど、一度深呼吸をして落ち着く。

「でも、取らないという選択肢はない!」

 二つとも取りつつ、他のスキルも、もう一度確認する

「他にはなし。まだ統合出来ないかぁ」

────────────────────────

 
ハク:【短剣Lv54】【双剣Lv43】【格闘Lv65】【拳Lv48】【蹴りLv60】【投げLv45】【真祖Lv1】【血装術Lv40】【血武器Lv35】【執行者Lv56】【剛力Lv28】【豪腕Lv48】【豪脚Lv15】【駿足Lv12】【感知Lv26】
控え:【剣Lv61】【魔法才能Lv46】【水魔法才能Lv8】【支援魔法才能Lv45】【操影Lv1】【使役(蝙蝠)Lv1】【HP強化Lv54】【MP強化Lv6】【物理攻撃強化Lv55】【物理防御強化Lv23】【魔法防御強化Lv19】【神脚Lv30】【器用さ強化Lv18】【運強化Lv45】【視覚強化Lv18】【聴覚強化Lv18】【毒耐性Lv20】【麻痺耐性Lv6】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv5】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【気絶耐性Lv1】【消化促進Lv43】【竜血Lv25】【登山Lv6】【擬態Lv3】【夜霧Lv16】【言語学Lv30】
SP:176

────────────────────────

 本当に早く統合して、装備欄を空けたいところだけど、こればかりは焦っても仕方ない。地道にスキル上げを頑張らないと。

「少し怠さがマシになったかも」

 【吸血鬼】から【真祖】になった事で、日中の怠さが、少しだけマシになっていた。まぁ、一割の違いだから、本当に少しだけだったけど。

「夜が楽しみかも。取り敢えず、今はレベル上げを続けよう」

 スキル検証は後に回して、格闘系スキルのレベル上げを続ける。検証を後回しにした理由は、スキル統合を優先したから。スキルを取っても、使えなかったら意味がない。

「検証が楽しみだなぁ」

 新しいスキルを得たという高揚感を胸に、再び砂漠の上を走り回る。次は、西の豪雨エリアに挑む。そして、六月の大型アップデートと第三回イベントの楽しみだ。
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