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吸血少女と進展?

今更の検証

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 もう一度ボスを一通り倒して、【双剣】のレベル上げを終えた私は、アカリエに戻って来た。すると、アク姉も一緒に工房で寛いでいた。

「ハクちゃ~ん!」

 私が来た事に気付いたアク姉が、出迎えてくれる。出迎えにしては、抱擁の力が強いけど。

「何で、ここにいるの?」
「防具のメンテを頼みに来たんだ。次のイベントに備えてね」
「やっぱり、パーティーで参加?」
「うん。姉さんも複数パーティーで参加するらしいよ。今回は探索型のイベントだから、そういう複数パーティーで行動する方が良いって思ったみたい。実際、複数パーティーで協力しようって話があるみたい」

 アク姉は、私達よりもこういった情報を持っている。私達が興味を示さなすぎなだけかもしれないけど。

「ハクちゃん達は、二人で出るんでしょ? 多分、そういう話は来ないだろうけど、気を付けてね」
「うん」

 そう返事をしたら、そのままアク姉に抱えられながらソファに移動させられる。そして、アク姉の膝に乗せられた。

「アク姉は帰らないの?」
「えぇ~、久しぶりのハクちゃんだから、堪能したいよ~」
「まぁ、良いけど。アカリも大丈夫?」
「うん。私は、全然平気だよ」

 アカリが良いのなら、私も断る理由はないので、このままアク姉の膝の上にいる事にする。そして、アク姉の隣にアカリが座り、私の顔を覗きこんだ。

「どうだった?」
「良い感じ。それで、アカリにお願いがあるんだけど、全部腰に差しておきたいんだけど」
「じゃあ、腰装備を改良しようか」
「お願い」

 腰装備を外して、アカリに預ける。一度下着になるけど、すぐ別の長ズボンを穿いたので問題はない。

「ハクちゃん、赤い下着なんだ?」

 アク姉は、それを見逃してなかった。まぁ、普通に認識出来るくらいには出していたから、そこは仕方ない。

「アカリが、私のスタイルに合わせた色にしてくれたの」
「あぁ~、吸血鬼だからって事ね。似合っていると思うけど、ハクちゃんにしては派手だなぁって思っちゃった」
「まぁ、現実じゃ着ないし」
「アクアさんにも気に入って貰えて良かったです」

 アク姉が似合っているって言ったからか、アカリが嬉しそうにしていた。自分の作ったものを褒められるのは、生産職にとって、この上なく嬉しいことだろうからね。

「それにしても新しい装備でも買ったの?」
「まぁね。色々とあって」
「ふ~ん。私にも教えてくれないんだ?」
「今は内緒。そのうち話すよ」

 私がそう言うと、アク姉は不満そうに抱きしめる力を上げた。何でも話せる仲ではあるし、アク姉のパーティーが周囲に言いふらすわけもないけど、人の口に戸は立てられない。悪い可能性を増やすのは、得策じゃない。

「アク姉は、どこまで行った? 新しいエリアは、もう探索してる?」
「まだかな。北の探索が不十分だって意見が全員一致したから、北の探索を続けてるよ」
「そうなんだ」

 アク姉なら、もう行っているかもと思ったけど、まだ北の探索を続けているみたい。

「一緒に北に行ってみる?」
「行かない。即死だもん」
「避けられれば大丈夫だと思うけどなぁ」
「でも、北の雪原地帯は、寒さに耐性を持たないと難しくないですか?」
「そうなの?」

 北の情報は、あまり仕入れてないので、そんな耐性があるのは初耳だ。

「うん。【寒冷耐性】基本的に防具とかアクセサリーで、対応する感じかな」
「ふ~ん。熱帯の下の砂漠は?」
「普通は、【温暖耐性】と【寒冷耐性】だけど、ハクちゃんは【寒冷耐性】だけで良いんじゃないかな」
「ん? 何で?」
「あそこの太陽光は、普通よりも強いよ」

 アク姉の言葉を聞いて、私は苦い顔になった。

「私、灰になるかも……」
「もしかしたら、それが進化の条件かもよ?」
「うっ……確かに……」

 これまでよりも厳しい条件が進化条件となる可能性が高いから、砂漠の日光に耐えるのが条件はあり得るかもしれない。

「その時になったら、アカリ、よろしくね」
「うん。任せて」

 砂漠に行ったら、アカリに防具かアクセサリーを頼む事にした。まぁ、かなり先の事になると思うけど。

「そういえば、二人ともスキルは結構進化した?」
「いくつか進化しました」
「進化はしてないけど、統合ならされたよ」
「そうなんだ。やっぱり、どのスキルも条件は厳しいのかもしれないね」
「アク姉も進化したの?」
「うん。見てみる?」

 アク姉がそう言って、自分のスキルを見せてくれる。

────────────────────────

アクア:【杖Lv52】【長杖Lv41】【魔道Lv10】【溶岩魔法才能Lv3】【天候魔法才能Lv2】【暴風魔法才能Lv2】【雷霆魔法才能Lv1】【土魔法才能Lv6】【光魔法才能Lv5】【闇魔法才能Lv4】【魔力効率上昇Lv9】【魔法ストックLv35】【複合魔法Lv16】【感知Lv14】
控え:【HP強化Lv12】【MP強化Lv26】【魔法攻撃強化Lv42】【物理防御強化Lv35】【魔法防御強化Lv29】【運強化Lv25】【毒耐性Lv3】【麻痺耐性Lv2】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv2】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv3】【魅了耐性Lv1】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv4】【出血耐性Lv1】【気絶耐性Lv1】【言語学Lv8】
SP:50

────────────────────────

 見慣れないスキルがいくつかある。特に魔法系統は、見た事ないものばかりだ。

「これって、どれが進化?」
「えっと……【魔道】【溶岩魔法才能】【天候魔法才能】【暴風魔法才能】【雷霆魔法才能】が進化で、【魔力効率上昇】が【魔法クールタイム減少】と【MP自然回復力上昇】の統合だよ」

 アク姉もスキルの統合が出来たみたい。私には、あまり必要ないスキルだから、私が取る事はないと思うけど。

「上位魔法って事ですか?」
「うん。レベルが上がりづらいけど、強いよ」
「そうなんだ。【支援魔法才能】も進化出来る?」
「う~ん……どうだろう? メイティの【回復魔法才能】は【神聖魔法才能】に進化したけど、【支援魔法才能】は、まだなんだよね」

 【支援魔法才能】が進化するかは、まだ分からないけど、アク姉とメイティさんのスキルから、さすがに【支援魔法才能】だけが仲間はずれになっているとは思えないので、進化はすると考えたい。

「ねぇねぇ、アク姉。【天候魔法才能】って、どんな魔法なの? 他の魔法は、ある程度想像付くんだけど、これだけ全然分からないからさ」
「【水魔法才能】の進化で、操る水の規模が上がった感じかな。やろうと思えば、雨を降らせる事も出来るよ」
「だから、天候魔法って事なんだ」
「うん。下手すると、自分も巻き込むから、制御が難しいかな。これは、どの上位魔法にも当てはまるよ」

 規模の大きい魔法を扱う事になったから、自分も魔法の範囲に入ってしまう可能性があるらしい。威力が上がっている分、扱いが難しくなっているみたい。私は、そういう攻撃系の魔法を使わないから、そこは気にしないで良いのは助かる。

「さてと、私は、そろそろ行くね。アメスからさっさと集合しなさいって、メッセージが飛んで来ちゃった」
「うん。またね」
「いつでも来て下さい」
「うん」

 アク姉は、私とアカリの頭を撫でてアカリエを出て行った。私は、アク姉が座っていた場所に座って、アカリとの話を続ける。

「イベントまでに使えそう?」
「切り札的な扱いかな。実用は出来るよ」

 アカリが最初に訊いてきた事は、さっき短くまとめた【双剣】と【血装術】の話だった。

「そこまで使い勝手も悪くないし、強さで言えば、短剣一本よりも強い」
「そうなんだ。それだったら、態々【血装術】と合わせた使い方じゃなくて、普通の双剣でも良かったんじゃない?」
「血染めの短剣を持ってるし、武器の使い分けを、しっかりとしておきたかったから」

 血刃の双剣を【血装術】前提として作って貰った理由の一つは、血染めの短剣との使い分けのためだった。これは、最初から考えていた事で、双剣の一つとして血染めの短剣が使えない以上、【双剣】をメイン据えると、血染めの短剣が死んでしまう。
 【短剣】は、使い勝手も良いし、正直片手が空いている事で得をする事もあるので、【双剣】よりも【短剣】をメインに据えたいと考えていた。
 今後どうなるかは分からないけど、しばらくはこのスタンスでやっていくつもりだ。

「さてと、ちょっとでも戦闘力を上げておきたいから、平原に行って来る」
「うん。そうだ。ついでに、腰だけじゃなくて、全部強化しようか? 私も、最近レベルが上がって、四つ目の追加効果も付けられるようになったから」
「あ、そうなの? なら、全部任せるよ」

 この後は、平原に行くくらいで、強敵と戦う予定はないので、血姫の装具をアカリに預けて、適当な服に着替える。そして、平原へと向かった。
 平原でやることは、【吸血鬼】【血装術】【魔法才能】【支援魔法才能】【運強化】のレベル上げだ。行動阻害の魔法を使って、次々にホワイトラビットを止めて血を飲む。

「そうだ。毒血の検証を忘れてた。この前、アカリの血を飲んだ時に毒消しも買っておいたから、万全の態勢ではある。よし!」

 ジャイアントトードの毒血を取り出して、一息で飲む。すると、若干の息苦しさを感じ始める。視界の端に毒状態を表すアイコンが出て来た。さすがに、毒に対する耐性が、勝手に付いたみたいな事はなかった。

「【毒耐性】のおかげかな。減っていくHPが少ない。これなら、このまま放置して、【毒耐性】を上げて良いかも」

 HPが減る速度は、本当に遅く、出血状態よりも少ない。毒消しを使わずに、そのまま毒を受け続ける。どうせ、ホワイトラビットやスライムを吸っていたら、完全回復するし。ダメージを受けながら、血を吸っていると、一つ気になる事が出来た。

「毒状態のモンスターを吸血したら、どうなるんだろう?」

 支援魔法の一つ【ポイズンニードル】で、ホワイトラビットを毒状態にする。これは、【スタンショック】と違い、毒となる確率は高い。毒状態になったホワイトラビットは、少しずつHPが削られていた。そこに噛み付いて、血を吸う。すると、消えていたはずの毒状態のアイコンが再び出て来た。
 つまり、毒状態中のモンスターは、血まで汚染されているものと考えた方がいいかもしれない。

「ついでだから、【毒耐性】を上げて、どんな状態でも血を飲めるようにしておこ」

 毒状態にして、血を吸う事で【毒耐性】も上げていった。イベントで毒になるのか分からないけど。
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