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吸血少女の始まり
番外編
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注)ユートピア・ワールドの最終話までの内容を含みます。なろう、カクヨム、ノベルアップに掲載しています。アルファポリスでも今後公開するつもりです。
本編には何も影響してこない話なので、読まなくても問題はありません。
────────────────────────
イベント終了から少しして、アカリエに一人の客が入って来た。
「いらっしゃいませって、ソルさん。こんにちは」
「アカリちゃん、こんにちは。ちょっと防具を直して欲しいんだけど、大丈夫かな?」
「はい。代わりの服はお持ちですか?」
「うん。更衣室借りて良い?」
「はい」
ソルは、更衣室に入って服を着替える。そして、着ていた防具をアカリに渡した。
「結構消耗してますね」
「イベントで優勝したのは良いんだけど、ものすごく強い人と最後に戦ってね。互いにかすり傷を何度も負わせて負わされてを繰り返してたから、結構消耗しちゃったみたい」
「ああ、フレイさんですね。あの人も結構やり込んでいる人ですから」
強い人と聞いて、アカリはすぐにフレイの事だと気付いた。
「そうなんだ。私とは違うゲームをやり込んでるのかな。まぁ、私もこのゲームをやり込んでるとは言えないけど」
「そうなんですか?」
「うん。休日の二日くらいしかまともに出来ないからね。恋人との時間もあるし」
「ほぇ~、恋人さんがいらっしゃるんですね。こちらにログインしているんですか?」
「ううん。買えなかったから。それとね。面白い子も見つけたんだ」
そう言われて、アカリはすぐにある人物が頭を過ぎった。
「白い髪の赤い眼をした子ですか?」
「正解。知り合い?」
「幼馴染みです。可愛いですよね」
アカリがそう言うと、ソルは、少し目を見開いてから寂しげに笑う。
「そうなんだ……大切にしてあげてね」
「えっ? あ、はい」
「それじゃあ、また来週取りに来るね。防具の修理よろしくね」
「はい! 任せてください!」
「うん」
ソルは、アカリに手を振って、アカリエを出て行く。それを見送ったアカリは、ソルの防具を手に取る。
「何だろう? ハクちゃんに、何か感じたのかな? 今度、ハクちゃんにも訊こっと」
アカリは裏に戻って、ソルの防具の修理をしに向かった。
────────────────────────
ログアウトしたソル……日輪日向は、ゆっくりと身体を起こす。
「あっ、もう終わりましたか?」
日向が起きた事に気付いた恋人の和水舞歌が、ベッドの脇から声を掛けた。先程まで、ゲームに入っている日向の横で本を読んでいたようで、サイドテーブルに本を置いた。
「うん。優勝したよ。ブイ」
「おめでとうございます。日向さんでも苦戦はしましたか?」
「途中までは余裕だったかな。でも、途中で超強い人にあったよ。時間切れまで戦ったけど、決着が付かなかったんだ。本当に強かったなぁ。ジークさんみたいだった」
「そうなんですね。楽しそうで何よりです」
「それとね。さくちゃんみたいな子がいたんだ」
舞歌の表情が驚いたように固まった。
「あっ、でも、見た目だけね。中身は、まだ分からないかな。でも、負けず嫌いな部分は、さくちゃんらしかったかも。腕を斬り飛ばされても、突っ込んできたしね」
「懐かしいですね」
「しかもね! 幼馴染みの子が金髪のエルフだったんだ。ちょっとあの頃を思い出して、寂しく感じちゃった」
「それはそうですよ。あれから十年経っても、傷は残ったままですから」
舞歌は、日向の頭を優しく撫でる。日向は、嬉しそうに目を細めた。
「いつか、また会えると良いな……」
「そうですね……」
日向と舞歌は、互いに微笑み合った。その心に今はいない友人の姿を思い描いて。
本編には何も影響してこない話なので、読まなくても問題はありません。
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イベント終了から少しして、アカリエに一人の客が入って来た。
「いらっしゃいませって、ソルさん。こんにちは」
「アカリちゃん、こんにちは。ちょっと防具を直して欲しいんだけど、大丈夫かな?」
「はい。代わりの服はお持ちですか?」
「うん。更衣室借りて良い?」
「はい」
ソルは、更衣室に入って服を着替える。そして、着ていた防具をアカリに渡した。
「結構消耗してますね」
「イベントで優勝したのは良いんだけど、ものすごく強い人と最後に戦ってね。互いにかすり傷を何度も負わせて負わされてを繰り返してたから、結構消耗しちゃったみたい」
「ああ、フレイさんですね。あの人も結構やり込んでいる人ですから」
強い人と聞いて、アカリはすぐにフレイの事だと気付いた。
「そうなんだ。私とは違うゲームをやり込んでるのかな。まぁ、私もこのゲームをやり込んでるとは言えないけど」
「そうなんですか?」
「うん。休日の二日くらいしかまともに出来ないからね。恋人との時間もあるし」
「ほぇ~、恋人さんがいらっしゃるんですね。こちらにログインしているんですか?」
「ううん。買えなかったから。それとね。面白い子も見つけたんだ」
そう言われて、アカリはすぐにある人物が頭を過ぎった。
「白い髪の赤い眼をした子ですか?」
「正解。知り合い?」
「幼馴染みです。可愛いですよね」
アカリがそう言うと、ソルは、少し目を見開いてから寂しげに笑う。
「そうなんだ……大切にしてあげてね」
「えっ? あ、はい」
「それじゃあ、また来週取りに来るね。防具の修理よろしくね」
「はい! 任せてください!」
「うん」
ソルは、アカリに手を振って、アカリエを出て行く。それを見送ったアカリは、ソルの防具を手に取る。
「何だろう? ハクちゃんに、何か感じたのかな? 今度、ハクちゃんにも訊こっと」
アカリは裏に戻って、ソルの防具の修理をしに向かった。
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ログアウトしたソル……日輪日向は、ゆっくりと身体を起こす。
「あっ、もう終わりましたか?」
日向が起きた事に気付いた恋人の和水舞歌が、ベッドの脇から声を掛けた。先程まで、ゲームに入っている日向の横で本を読んでいたようで、サイドテーブルに本を置いた。
「うん。優勝したよ。ブイ」
「おめでとうございます。日向さんでも苦戦はしましたか?」
「途中までは余裕だったかな。でも、途中で超強い人にあったよ。時間切れまで戦ったけど、決着が付かなかったんだ。本当に強かったなぁ。ジークさんみたいだった」
「そうなんですね。楽しそうで何よりです」
「それとね。さくちゃんみたいな子がいたんだ」
舞歌の表情が驚いたように固まった。
「あっ、でも、見た目だけね。中身は、まだ分からないかな。でも、負けず嫌いな部分は、さくちゃんらしかったかも。腕を斬り飛ばされても、突っ込んできたしね」
「懐かしいですね」
「しかもね! 幼馴染みの子が金髪のエルフだったんだ。ちょっとあの頃を思い出して、寂しく感じちゃった」
「それはそうですよ。あれから十年経っても、傷は残ったままですから」
舞歌は、日向の頭を優しく撫でる。日向は、嬉しそうに目を細めた。
「いつか、また会えると良いな……」
「そうですね……」
日向と舞歌は、互いに微笑み合った。その心に今はいない友人の姿を思い描いて。
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