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吸血少女の始まり
ドロップとスキルと称号
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夕食を終えて、ログインした私は、アカリエに向かった。夜という事もあって、さっきよりも身体が軽い。気分良くアカリエに入ると、裏からアカリが出て来て、手招きした。それに従って、アカリエの裏に入る。かなり整えられた場所で、出来上がった服がマネキンに飾られていた。
「ほえ~、綺麗な場所」
「一応、作業の邪魔にならないようにしてるからね。そこに座って」
アカリが指さした椅子に座ると、別の場所から椅子を持ってきて座った。
「それで、夜霧の執行者を倒したって聞いたんだけど?」
「そうそう。三時間吸血し続けたら倒せた」
「やっぱりそうだよね。ハクちゃんが倒すとしたら、それしかないと思った。一撃も食らわずに倒せたの?」
「ううん。【吸血】のHP吸収で、減っては回復を繰り返したんだ。そうしたら倒せた」
アカリは、呆れたようにため息をついた。まぁ、ボス相手だと、結構異常な倒し方ではあると思う。
「ハクちゃん、ログは確認した?」
「ああ、忘れてた。もう口直ししたくて、林檎食べまくってたから」
ログ確認ページを見てみる。すると、ドロップアイテムとして、夜霧の鎧と執行者の両手剣が落ちていた。
「取り出して良い?」
「良いよ」
二つのドロップアイテムを取り出して床に置く。どちらも夜霧の執行者が持っていたものだ。
「結構良いスペックだね。プレイヤーメイドと遜色ないどころか、上なぐらいだよ」
「う~ん、でも、全身鎧は使わないなぁ。【吸血】が使えないし」
「確かに……それじゃあ、これ分解して良い?」
「うん。良いよ。あっ、武器の方は使うかもだから、こっちは駄目で」
「オッケー。ハクちゃんの装備にしてあげる。それで、スキルの方はどう?」
「あっ、えっとねえ……」
ログを改めて確認すると、新しいスキルを獲得していた。
「【夜霧】と【執行者】」
「二つも手に入ったの?」
「うん。【夜霧】が吸血したからで、【執行者】が初回討伐報酬だってさ」
「なるほどね。エンカウントボスには、初回討伐報酬でスキルが手に入るんだ。初回が一人一人なのか、それとも全体で初回なのかでレア度が変わるね」
「ん? 他のボスはないの?」
私は、ボスを倒したのが初めてなので、スキルを手に入れられるのが当たり前だと思ったのだけど、アカリの口振り的に、他ではないみたい。
「うん。基本的に討伐報酬は、素材系だから」
「そうなんだ。偶々勝てただけだけど、ラッキー」
「それで、どういうスキルなの?」
「あっ、えっとねぇ……」
手に入れたスキルの確認をする。
────────────────────────
【夜霧】:夜間戦闘時、身体に夜霧を纏う事が出来る。二回ダメージを受けなくなる。再使用には、二時間掛かる。
【執行者】:クリティカルダメージ上昇。赤ゲージの敵に対して、攻撃力上昇。
────────────────────────
結構有用なスキルだった。特に【夜霧】は、私のスキル構成と合っている気がする。
「時間限定だけど、強力なスキルだね。ハクちゃんが一番強い時に有用だし」
「うん。これなら、私のスタイルも固めやすいかも」
「そういえば、スキルレベルはどう? そろそろ派生スキルも取れるんじゃない?」
「ああ、うん」
私は、自分のスキル欄を改めて確認する。
────────────────────────
ハク:【剣Lv10】【吸血Lv18】【脚力強化Lv7】【夜霧Lv1】【執行者Lv1】
控え:なし
SP:6
────────────────────────
【剣】が10レベルに達したので、派生スキルが手に入れられるようになっていた。そして、【吸血】に関しては、凄い勢いで上がっていた。
「こんな感じ」
「おっ、凄いね。【吸血】の異常な伸びは、長時間吸血し続けた事に加えて、相手が強敵だったからだね。スキルレベルは、10上がる毎にレベルが上がりにくくなるんだけど、自分より格上の相手だとそこそこ上がりやすいんだ」
「なるほどね。【吸血】を伸ばすのは、結構苦労しそう。まぁ、細かく吸血をしていけば良いか」
「というか、夜霧の執行者って、肉体があったの?」
「どうだろう? 血の味はしたから、下には肉体があると思う。匂いはドブ川みたいだったけど」
私がそう言うと、アカリは少しだけ顔を歪めていた。ドブ川の匂いを想像してしまったのだと思う。
「本当によく飲めたね?」
「大変でしたとも。そういえば、プレイヤーに、【吸血】を使ったら、どんな感じなんだろう? 何か知ってる?」
「モンスター相手と変わらないって聞いてるけど」
「そうなんだ。【吸血】に救いがあればと思ったんだけど」
「まぁ、派生スキルが出て来るか、スキルが進化したら、変わってくるかもね」
「進化?」
まだ私の知らない情報が出て来たので、眉を寄せる。
「まだ言ってなかったっけ? スキルの中には、一定レベルと条件を達成すると、進化するものがあるんだよ。まだ見つかってないけど、派生スキルも条件付きのものがあるかもとは言われているよ」
「そうなんだ。分かっている条件は?」
「分からない。あるって事だけ、運営からの情報で出て来ているって感じ。メニューにお知らせ欄があるから、そこを遡ると良いかも」
「そうなんだ。ありがとう」
早速見てみると、本当に進化に関するお知らせがあった。そのお知らせには、進化があるという事しか書かれていなかったので、条件がどんなものかは分からない。
「【吸血】が便利になったらなぁ……」
「まぁ、期待だけだったら、出来るね。ハクちゃんは、明日どうするの?」
「春休みだし、制服の注文も済ませてるし、普通に朝からログインするかな」
「そうなんだ。ああ、それとあの鎧を使わせて貰うから、お代は三十万で良いよ」
使わない鎧だったので、二十万分になったのは嬉しい事だ。人によっては、勿体ないっていうかもだけど、自分が考えているスタイルに添わないのだから、アイテム欄の肥やしになるくらいなら、有効利用する方が良い。
「ありがとう。それなら、もう少し早くお金を集められるかな。何か効率的な集め方とかない?」
「最初は、地道にスキル上げながらが良いよ。【剣】の派生スキルの事もあるし」
「ああ、そうか。武器の新調もしないと」
「【両手剣】?」
「ううん。まずは、【短剣】にしようかなって。最近は、あまり使ってなかったし」
「そういえば、最近やったゲームでは、長物系を使ってたっけ?」
ワンオンの前にやっていたゲームでは、槍や棒などを使って戦っていた。
「うん。【吸血】の事もあるから、今回は【短剣】が一番かなって。明日は、武器屋巡りからやろうかな」
「良いと思う。気に入る武器があると良いね」
「うん。あっ、そういえば、夜霧の執行者を倒したら、称号を手に入れたんだけど、これは何?」
「えっと、プロフィール欄から、選ぶ事が出来るんだけど、ものによってはステータスアップとかの特典が付いてるって感じかな」
私は、アカリの言っているプロフィール欄から称号を見る。
────────────────────────
【夜霧を斬る者】:夜間戦闘時、実体の無い相手に剣でダメージを与えられる
────────────────────────
これも夜間戦闘時に効果を発揮するものだった。
「わぁ、夜の戦闘が楽になりそうだね」
「本当にね。それじゃあ、私はもう寝るから」
「話聞かせてくれてありがとう。あっ、そうそう、言い忘れてたけど、夜霧の執行者を倒した事は、誰にも言わないようにね。色々とトラブルが起きるかもだから」
誰も倒せなかったボスを倒したと知られれば、それだけでパーティー勧誘やら倒し方を教えろやらうるさい人達が寄ってくる可能性が高くなる。これまでのゲームでも似たようなトラブルに巻き込まれた事があるので、アカリも注意してくれたのだ。
「分かってるよ。それじゃ」
「またね」
私はここでログアウトして、眠りについた。明日は、今日出来なかった武器屋探しとお金稼ぎだ。
「ほえ~、綺麗な場所」
「一応、作業の邪魔にならないようにしてるからね。そこに座って」
アカリが指さした椅子に座ると、別の場所から椅子を持ってきて座った。
「それで、夜霧の執行者を倒したって聞いたんだけど?」
「そうそう。三時間吸血し続けたら倒せた」
「やっぱりそうだよね。ハクちゃんが倒すとしたら、それしかないと思った。一撃も食らわずに倒せたの?」
「ううん。【吸血】のHP吸収で、減っては回復を繰り返したんだ。そうしたら倒せた」
アカリは、呆れたようにため息をついた。まぁ、ボス相手だと、結構異常な倒し方ではあると思う。
「ハクちゃん、ログは確認した?」
「ああ、忘れてた。もう口直ししたくて、林檎食べまくってたから」
ログ確認ページを見てみる。すると、ドロップアイテムとして、夜霧の鎧と執行者の両手剣が落ちていた。
「取り出して良い?」
「良いよ」
二つのドロップアイテムを取り出して床に置く。どちらも夜霧の執行者が持っていたものだ。
「結構良いスペックだね。プレイヤーメイドと遜色ないどころか、上なぐらいだよ」
「う~ん、でも、全身鎧は使わないなぁ。【吸血】が使えないし」
「確かに……それじゃあ、これ分解して良い?」
「うん。良いよ。あっ、武器の方は使うかもだから、こっちは駄目で」
「オッケー。ハクちゃんの装備にしてあげる。それで、スキルの方はどう?」
「あっ、えっとねえ……」
ログを改めて確認すると、新しいスキルを獲得していた。
「【夜霧】と【執行者】」
「二つも手に入ったの?」
「うん。【夜霧】が吸血したからで、【執行者】が初回討伐報酬だってさ」
「なるほどね。エンカウントボスには、初回討伐報酬でスキルが手に入るんだ。初回が一人一人なのか、それとも全体で初回なのかでレア度が変わるね」
「ん? 他のボスはないの?」
私は、ボスを倒したのが初めてなので、スキルを手に入れられるのが当たり前だと思ったのだけど、アカリの口振り的に、他ではないみたい。
「うん。基本的に討伐報酬は、素材系だから」
「そうなんだ。偶々勝てただけだけど、ラッキー」
「それで、どういうスキルなの?」
「あっ、えっとねぇ……」
手に入れたスキルの確認をする。
────────────────────────
【夜霧】:夜間戦闘時、身体に夜霧を纏う事が出来る。二回ダメージを受けなくなる。再使用には、二時間掛かる。
【執行者】:クリティカルダメージ上昇。赤ゲージの敵に対して、攻撃力上昇。
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結構有用なスキルだった。特に【夜霧】は、私のスキル構成と合っている気がする。
「時間限定だけど、強力なスキルだね。ハクちゃんが一番強い時に有用だし」
「うん。これなら、私のスタイルも固めやすいかも」
「そういえば、スキルレベルはどう? そろそろ派生スキルも取れるんじゃない?」
「ああ、うん」
私は、自分のスキル欄を改めて確認する。
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ハク:【剣Lv10】【吸血Lv18】【脚力強化Lv7】【夜霧Lv1】【執行者Lv1】
控え:なし
SP:6
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【剣】が10レベルに達したので、派生スキルが手に入れられるようになっていた。そして、【吸血】に関しては、凄い勢いで上がっていた。
「こんな感じ」
「おっ、凄いね。【吸血】の異常な伸びは、長時間吸血し続けた事に加えて、相手が強敵だったからだね。スキルレベルは、10上がる毎にレベルが上がりにくくなるんだけど、自分より格上の相手だとそこそこ上がりやすいんだ」
「なるほどね。【吸血】を伸ばすのは、結構苦労しそう。まぁ、細かく吸血をしていけば良いか」
「というか、夜霧の執行者って、肉体があったの?」
「どうだろう? 血の味はしたから、下には肉体があると思う。匂いはドブ川みたいだったけど」
私がそう言うと、アカリは少しだけ顔を歪めていた。ドブ川の匂いを想像してしまったのだと思う。
「本当によく飲めたね?」
「大変でしたとも。そういえば、プレイヤーに、【吸血】を使ったら、どんな感じなんだろう? 何か知ってる?」
「モンスター相手と変わらないって聞いてるけど」
「そうなんだ。【吸血】に救いがあればと思ったんだけど」
「まぁ、派生スキルが出て来るか、スキルが進化したら、変わってくるかもね」
「進化?」
まだ私の知らない情報が出て来たので、眉を寄せる。
「まだ言ってなかったっけ? スキルの中には、一定レベルと条件を達成すると、進化するものがあるんだよ。まだ見つかってないけど、派生スキルも条件付きのものがあるかもとは言われているよ」
「そうなんだ。分かっている条件は?」
「分からない。あるって事だけ、運営からの情報で出て来ているって感じ。メニューにお知らせ欄があるから、そこを遡ると良いかも」
「そうなんだ。ありがとう」
早速見てみると、本当に進化に関するお知らせがあった。そのお知らせには、進化があるという事しか書かれていなかったので、条件がどんなものかは分からない。
「【吸血】が便利になったらなぁ……」
「まぁ、期待だけだったら、出来るね。ハクちゃんは、明日どうするの?」
「春休みだし、制服の注文も済ませてるし、普通に朝からログインするかな」
「そうなんだ。ああ、それとあの鎧を使わせて貰うから、お代は三十万で良いよ」
使わない鎧だったので、二十万分になったのは嬉しい事だ。人によっては、勿体ないっていうかもだけど、自分が考えているスタイルに添わないのだから、アイテム欄の肥やしになるくらいなら、有効利用する方が良い。
「ありがとう。それなら、もう少し早くお金を集められるかな。何か効率的な集め方とかない?」
「最初は、地道にスキル上げながらが良いよ。【剣】の派生スキルの事もあるし」
「ああ、そうか。武器の新調もしないと」
「【両手剣】?」
「ううん。まずは、【短剣】にしようかなって。最近は、あまり使ってなかったし」
「そういえば、最近やったゲームでは、長物系を使ってたっけ?」
ワンオンの前にやっていたゲームでは、槍や棒などを使って戦っていた。
「うん。【吸血】の事もあるから、今回は【短剣】が一番かなって。明日は、武器屋巡りからやろうかな」
「良いと思う。気に入る武器があると良いね」
「うん。あっ、そういえば、夜霧の執行者を倒したら、称号を手に入れたんだけど、これは何?」
「えっと、プロフィール欄から、選ぶ事が出来るんだけど、ものによってはステータスアップとかの特典が付いてるって感じかな」
私は、アカリの言っているプロフィール欄から称号を見る。
────────────────────────
【夜霧を斬る者】:夜間戦闘時、実体の無い相手に剣でダメージを与えられる
────────────────────────
これも夜間戦闘時に効果を発揮するものだった。
「わぁ、夜の戦闘が楽になりそうだね」
「本当にね。それじゃあ、私はもう寝るから」
「話聞かせてくれてありがとう。あっ、そうそう、言い忘れてたけど、夜霧の執行者を倒した事は、誰にも言わないようにね。色々とトラブルが起きるかもだから」
誰も倒せなかったボスを倒したと知られれば、それだけでパーティー勧誘やら倒し方を教えろやらうるさい人達が寄ってくる可能性が高くなる。これまでのゲームでも似たようなトラブルに巻き込まれた事があるので、アカリも注意してくれたのだ。
「分かってるよ。それじゃ」
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