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吸血少女の始まり
一ヶ月遅れのログイン
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VRMMORPG『One and only world』。通称ワンオン。唯一無二の世界と称されたこのゲームは、ステータスが隠れた完全スキル制となっている。発表当時から期待が寄せられ、βテストを経て、さらに熱が高まっていた。
私、結城白も、もの凄く楽しみにしていたけど、βテストに落ち、販売初日にも買えなかった。
その事を嘆き続けていたら、一番上の姉である結城火連ことかー姉がソフトを手に入れて送ってくれた。
私はすぐにかー姉に、お礼の連絡をする。
「かー姉! 本当にありがとう!」
『偶々売ってるところを見つけてな。まだ、白が持ってなくて良かった。私は、しばらくログイン出来ねぇけど、水波は、よくログインしていると思うから、何かあったらあいつを頼りな。まぁ、白は自分で調べる方が好きだから、心配ねぇと思うけどな』
かー姉が言っている水波は、私の二番目の姉であるみず姉こと結城水波の事だ。私達は、かー姉、みず姉、私の三姉妹だ。
「うん! 分かった!」
『夕飯の時とかは、ちゃんとログアウトしろよ?』
「うん! じゃあね!」
『おう』
かー姉との通話を切って、私は早速ゲームを起動する。ベッドに寝転がった私は、すぐにログインする。
VR空間に降り立った私は、すぐにアバタークリエイトをしていく。名前は、自分の本名から取って、ハク。身長は、現実の高さと変えずに、髪を長髪にして真っ白に変えていく。そして、眼の色は赤にする。最後に顔の造形を整えておく。せっかくなら、可愛くなりたいしね。
これは、私が、ゲームをする際に、いつもするアバターだ。VRMMOでも基本的には、こんな感じのアバターにしている。
アバタークリエイトを終えると、次に武器選択画面に移った。
「そういえば、最初に自分の武器を決めるんだっけ? 何が良いかな」
武器は、剣、槍、鎚、杖、弓、格闘が基礎のスキルとしてあるみたい。
「ここからスキル派生していく系かな? どうしようかな? 杖は、きっと魔法職だろうから、他の四つか……全部他のゲームでやったなぁ……まぁ、ここはスタンダードな剣でいこう」
剣を選択したら、今度は、私の手元に銅色のガチャケースが現れた。
「ここから武器以外の初めてのスキルが出て来るのか」
ワンオンは、最初に武器を選んだ後、一つだけスキルを手に入れる事が出来る。それが、このガチャケースから出るみたい。
このスキルには、段階があって、ランク1からランク4まであるらしい。始まって一ヶ月経ったけど、まだランク4の持ち主は現れていないみたい。掲示板情報だから、確実とは言えないけど。
その内のランク1のスキルが、ここから出て来るみたい。
「ランク1だと、不人気スキルとかもあるんだよね」
ランク1の中には、使い勝手が悪くて人気のないスキルが多いらしい。これも掲示板情報で手に入れたものだ。だから、実際のところ、どのくらい使い勝手が悪いのかとかは分からない。
「何が出るかな。何が出るかな」
ちょっと楽しみでウキウキしながら、ガチャを開ける。そうして、手に入れたスキルは……
「【吸血】……不人気スキルだぁ!」
そんな叫びと共に、白い光に包まれた私はワンオンの世界に飛び込む事になった。
────────────────────────
光が収まると、耳に周囲の喧騒が聞こえ始め、視界が戻ってくる。私が立っている場所は、周囲を大きな建物で囲まれた広場の中央だった。建物の感じは洋風で、ヨーロッパら辺の街並みという感じがする。
この世界の一日は、十二時間なので、現実では、お昼の十二時半でも空は暗い。でも、街には灯りが沢山あるので、視界が暗いという事はない。
自分の身体を見下ろすと、初期衣装の味っ気のない上着とショートパンツ、ブーツだった。
「ここにいると迷惑になりそう。端っこに移動しよっと」
広場の端っこに移動して、近くの壁に寄りかかる。
「えっと……」
私は、メニューウィンドウを開いて、手に入れたスキルを確認する。
────────────────────────
ハク:【剣Lv1】【吸血Lv1】
控え:なし
SP:0
────────────────────────
私が持っているスキルは、初期武器から得られた【剣】と先程手に入れた【吸血】のみだ。このワンオンでは、装備出来るスキル数が限られており、全部で十五個装備出来る。この装備しているスキルのみ使う事が出来るが、強化系のパッシブ系スキルに関しては、控えの中でも反映されるらしい。
「あっ、これスキルの説明も見られるんだ。良かった。こっちじゃ、調べものなんて出来ないし」
私は、自分が持っているスキルの説明を見る。
────────────────────────
【剣】:剣の扱いに補正が入る。
【吸血】:血を吸う事で体力の回復と確率でスキルを獲得が出来る。獲得出来るスキルは、血を吸う相手が持っているスキルに限られ、一体につきランダムで一つのみ。また、太陽の下でステータスが三割ダウンする。
────────────────────────
この説明を見て、私は肩を落とす。
「はぁ……」
普通に強そうなスキルだけど、最後の一文。太陽の下でステータスが三割ダウンするという部分が、このスキルの不人気と呼ばれる大きな点だ。また、スキルを獲得出来る確率に関しても、β時代に検証された結果、一割を大きく下回る結果になったと聞いている。
そして、何よりも【吸血】が不人気になった理由は、血が不味いという事だった。こればかりは、私も体験してみないと分からないけど、使った人達は、全員吐いたらしい。
「う~ん……早めに他のスキルに変えるか……」
このゲームのスキルは、ポイントによる収得制になっている。ポイントは、スキルレベルが5上がる毎に1ポイント貰える。消費するポイントは、ランク1が1ポイント、ランク2が3ポイント、ランク3が5ポイント、ランク4が10ポイントとなっている。
現在のスキルポイントは持っていないので、今あるスキルを育ててスキルポイントを稼ぐ必要がある。
「上のランクのスキル収得しようしたら、必要なスキルポイントが多くなるし、あまり安易にスキル収得はしない方が良いかな。取り敢えずは、このままいこうっと」
そう決断した私は、空を見上げる。
「この世界の一日は、十二時間だから……まだ夜中の一時なんだよね。まだ、ステータスダウンの時間帯じゃないし、今の内にスキルの調子を確認したいな。チュートリアルを早く済ませないと」
私は、マップを確認して、チュートリアルを受けられる場所がある西側に急いで向かった。
私、結城白も、もの凄く楽しみにしていたけど、βテストに落ち、販売初日にも買えなかった。
その事を嘆き続けていたら、一番上の姉である結城火連ことかー姉がソフトを手に入れて送ってくれた。
私はすぐにかー姉に、お礼の連絡をする。
「かー姉! 本当にありがとう!」
『偶々売ってるところを見つけてな。まだ、白が持ってなくて良かった。私は、しばらくログイン出来ねぇけど、水波は、よくログインしていると思うから、何かあったらあいつを頼りな。まぁ、白は自分で調べる方が好きだから、心配ねぇと思うけどな』
かー姉が言っている水波は、私の二番目の姉であるみず姉こと結城水波の事だ。私達は、かー姉、みず姉、私の三姉妹だ。
「うん! 分かった!」
『夕飯の時とかは、ちゃんとログアウトしろよ?』
「うん! じゃあね!」
『おう』
かー姉との通話を切って、私は早速ゲームを起動する。ベッドに寝転がった私は、すぐにログインする。
VR空間に降り立った私は、すぐにアバタークリエイトをしていく。名前は、自分の本名から取って、ハク。身長は、現実の高さと変えずに、髪を長髪にして真っ白に変えていく。そして、眼の色は赤にする。最後に顔の造形を整えておく。せっかくなら、可愛くなりたいしね。
これは、私が、ゲームをする際に、いつもするアバターだ。VRMMOでも基本的には、こんな感じのアバターにしている。
アバタークリエイトを終えると、次に武器選択画面に移った。
「そういえば、最初に自分の武器を決めるんだっけ? 何が良いかな」
武器は、剣、槍、鎚、杖、弓、格闘が基礎のスキルとしてあるみたい。
「ここからスキル派生していく系かな? どうしようかな? 杖は、きっと魔法職だろうから、他の四つか……全部他のゲームでやったなぁ……まぁ、ここはスタンダードな剣でいこう」
剣を選択したら、今度は、私の手元に銅色のガチャケースが現れた。
「ここから武器以外の初めてのスキルが出て来るのか」
ワンオンは、最初に武器を選んだ後、一つだけスキルを手に入れる事が出来る。それが、このガチャケースから出るみたい。
このスキルには、段階があって、ランク1からランク4まであるらしい。始まって一ヶ月経ったけど、まだランク4の持ち主は現れていないみたい。掲示板情報だから、確実とは言えないけど。
その内のランク1のスキルが、ここから出て来るみたい。
「ランク1だと、不人気スキルとかもあるんだよね」
ランク1の中には、使い勝手が悪くて人気のないスキルが多いらしい。これも掲示板情報で手に入れたものだ。だから、実際のところ、どのくらい使い勝手が悪いのかとかは分からない。
「何が出るかな。何が出るかな」
ちょっと楽しみでウキウキしながら、ガチャを開ける。そうして、手に入れたスキルは……
「【吸血】……不人気スキルだぁ!」
そんな叫びと共に、白い光に包まれた私はワンオンの世界に飛び込む事になった。
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光が収まると、耳に周囲の喧騒が聞こえ始め、視界が戻ってくる。私が立っている場所は、周囲を大きな建物で囲まれた広場の中央だった。建物の感じは洋風で、ヨーロッパら辺の街並みという感じがする。
この世界の一日は、十二時間なので、現実では、お昼の十二時半でも空は暗い。でも、街には灯りが沢山あるので、視界が暗いという事はない。
自分の身体を見下ろすと、初期衣装の味っ気のない上着とショートパンツ、ブーツだった。
「ここにいると迷惑になりそう。端っこに移動しよっと」
広場の端っこに移動して、近くの壁に寄りかかる。
「えっと……」
私は、メニューウィンドウを開いて、手に入れたスキルを確認する。
────────────────────────
ハク:【剣Lv1】【吸血Lv1】
控え:なし
SP:0
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私が持っているスキルは、初期武器から得られた【剣】と先程手に入れた【吸血】のみだ。このワンオンでは、装備出来るスキル数が限られており、全部で十五個装備出来る。この装備しているスキルのみ使う事が出来るが、強化系のパッシブ系スキルに関しては、控えの中でも反映されるらしい。
「あっ、これスキルの説明も見られるんだ。良かった。こっちじゃ、調べものなんて出来ないし」
私は、自分が持っているスキルの説明を見る。
────────────────────────
【剣】:剣の扱いに補正が入る。
【吸血】:血を吸う事で体力の回復と確率でスキルを獲得が出来る。獲得出来るスキルは、血を吸う相手が持っているスキルに限られ、一体につきランダムで一つのみ。また、太陽の下でステータスが三割ダウンする。
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この説明を見て、私は肩を落とす。
「はぁ……」
普通に強そうなスキルだけど、最後の一文。太陽の下でステータスが三割ダウンするという部分が、このスキルの不人気と呼ばれる大きな点だ。また、スキルを獲得出来る確率に関しても、β時代に検証された結果、一割を大きく下回る結果になったと聞いている。
そして、何よりも【吸血】が不人気になった理由は、血が不味いという事だった。こればかりは、私も体験してみないと分からないけど、使った人達は、全員吐いたらしい。
「う~ん……早めに他のスキルに変えるか……」
このゲームのスキルは、ポイントによる収得制になっている。ポイントは、スキルレベルが5上がる毎に1ポイント貰える。消費するポイントは、ランク1が1ポイント、ランク2が3ポイント、ランク3が5ポイント、ランク4が10ポイントとなっている。
現在のスキルポイントは持っていないので、今あるスキルを育ててスキルポイントを稼ぐ必要がある。
「上のランクのスキル収得しようしたら、必要なスキルポイントが多くなるし、あまり安易にスキル収得はしない方が良いかな。取り敢えずは、このままいこうっと」
そう決断した私は、空を見上げる。
「この世界の一日は、十二時間だから……まだ夜中の一時なんだよね。まだ、ステータスダウンの時間帯じゃないし、今の内にスキルの調子を確認したいな。チュートリアルを早く済ませないと」
私は、マップを確認して、チュートリアルを受けられる場所がある西側に急いで向かった。
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