43 / 70
魔法学校入学
屋上からの熱い視線
しおりを挟む
校庭で体力測定をしている様子を、白の君は学校の屋上から見ていた。この場所が一番生徒から見られないからだ。現在の身体と同じような子供の生徒達でも、白の君の話は親から聞いている。なので、校庭の傍で見ていれば、すぐにバレてしまい、体力測定に支障が出るかもしれないと判断し、下からは見えにくい屋上にいるのだった。仮に見られたとしても、屋上なら校庭の近くにいるよりもパニックになりにくいという考えもある。
「ふむ。塩谷蒼。確か、忍びの家系だったか。幼少期からの訓練により、身体能力に優れているはずだが、それを超える体力か」
「ここにおられましたか、白の君」
魔力測定を終わらせた冷音は、白の君の隣に並ぶ。白の君は、横に来た冷音を横目で見上げる。
「冷音か。魔力測定は終えたのか?」
「はい。全て滞りなく」
「そうか。水琴の魔力量はどうだった?」
「常に魔力増加を行っている結果、平均値よりも遙かに多くなっています。ですが、思ったよりも少ないというのが、私の感想でしょうか」
「そうか。そこは、水琴の努力次第という事か」
水琴の魔力測定の結果と冷音の感想を聞いて、白の君が頷く。だが、その目は水琴の方に向いていた。白の君がただ外を見ているだけではないと気付いた冷音は、白の君の視線の先を追っていき、水琴が走っているのを見つけた。
「水琴さんでしたか」
「うむ。水琴は面白いな。そういえば、本当に水琴の家系には、転生者は混じっていないんだな?」
「はい。調べさせた中では確認出来ませんでした。水琴さんの血筋が特別という事も無さそうです」
「なら、水琴の体力は自前という事か」
体力の話をして、冷音は改めて魔法を使って水琴を見る。アリスをポンチョに入れている事に少し驚いた冷音だったが、すぐにアリスの指示だと察した。水琴に同情しながら、水琴が息切れせずに、アリスと会話をしている事に気付いた。
「水琴さんは、今のところどの程度走っているのですか?」
「三時間を超えているな」
白の君の答えを聞いて、冷音は少しだけ目を見開いた。冷音が考えていたよりも、遙かに長い時間だったからだ。
「何だ? 嘘は言っていないぞ」
「いえ、疑ってはいません。ですが、凄いものですね。師匠がいるのもありますが、裏世界で生き残る事が出来たのも頷けます」
「ああ。あの体力に身体強化が加われば、移動時間も短縮出来るだろう。それに、魔力操作に関しても天賦の才があるみたいだからな」
「加えて、言霊もあります。様々な才を持ち、開花させる努力を怠らない。師匠が気に入るのも分かります」
この冷音の言葉に、白の君は若干ジト目になる。
「アリスが一番気に入っているのは、見た目だろう」
「それは否定しきれませんね」
「未だに水琴に手を出していない事に、私は驚いたがな」
それを受けて、冷音は苦笑いしてしまう。
「師匠なりの考えがあるのでしょう。今の師匠では、人の身体になる事が出来ても、子供の身体ですから」
「水琴に釣り合うような身体になるまではという事か。あいつは、いつまでも恋愛には誠実だな」
「これまで全ての直弟子に手を出していますが」
冷音は困った様子で片手を頬に当てながら言う。それを見て、白の君は呆れたように息を吐く。
「それもお前達が許すからだろう。普通は、最愛が取られたら妬むものじゃないのか?」
「そうですね。ですが、師匠が全員を愛している事は知っていますから」
「私にはよく分からんな。まぁ、一番の問題は、水琴の気持ちだろうな」
「そうですね。上手くいけば、水琴さんを師匠に取られてしまいますね」
微笑みながらそう言う冷音の方に、白の君の顔が向く。その表情には困惑が浮かんでいた。
「どういう意味だ?」
「おや? てっきり、白の君は水琴さんに恋をしているものかと」
冷音の言葉に、白の君はきょとんとしてしまっていた。言われている言葉を頭の中で何度も反芻して、ようやく飲み込む事が出来た。
「恋……? アリスみたいにという事か?」
「はい」
「そう見えるのか?」
「はい」
冷音からの即答を受けても、白の君はいまいちピンと来ていなかった。恋をするという事もなかった人生だったので、自身のそういった気持ちに疎かったのだ。白の君のその様子を冷音は微笑ましく思っていた。
「ふむ……恋か。茜に相談するが良さそうだな」
「やめてください。数が少ない選択肢の中でも、茜に相談するのは悪手です」
冷音は、即座に白の君を止める。その表情は真剣そのものだった。
「そうか? 茜は、恋が多いと思ったが」
「師匠の駄目な部分が似てしまっていますが、相談には向きません。私か美玲にしておいてください」
「そういうものか」
「そういうものです」
「そうか……水琴は、私の事を好きだろうか?」
ドストレートな相談に冷音は、すぐに答えを出せなかった。そもそも水琴の内心について詳しく知っている訳ではないというのもある。水琴の家系や過去を一通り調べているが、それで内心を知る事は出来ない。
「少なくとも嫌われてはいないかと。嫌いな相手とお茶はしないでしょうから」
「なるほど。そういう考えもあるのか」
「はい。態々師匠の許可を頂く事もないと思います」
「ふむ。つまり、告白しても大丈夫という事か?」
「気が早いです」
「難しいな」
白の君は、少し唸りながら視線を水琴の方に戻した。そんな白の君の目を見て、冷音は自然と頬が緩んでいた。
(完全に恋する乙女ですね。それにしても、水琴さんからは、女性を惹き付けるフェロモンでも出ているのでしょうか。師匠、茜、白の君。既に三人を虜にしていますし。まぁ、師匠には悪いですが、私は白の君を応援させてもらいましょう。これまでの人生の中で、初めての恋ですし)
白の君の初めての恋を全力で応援しようと冷音は心で決めた。アリスを応援するという選択もあるが、初々しいどころか、恋愛のれの字もしっかりとしていない白の君を応援したいという気持ちが勝ったからだ。
「しかし、水琴はいつまで走り続けるつもりなんだ」
「持久走の目的通り、体力が尽きるまででしょう。恐らく、師匠が課題を与えて、速度が変わってくるかと思います」
「体力測定を修行に使うつもりか。身体強化は使えんのにか」
「素の身体能力が育っていなければ、身体強化の意味も薄いですから。師匠は、基礎を大事にする方針というのもありますが」
「ふむ。水琴も大変だな」
「大変なのは、これからですよ」
「それもそうだな」
そう言って、白の君は屋上から屋内に戻っていく。冷音も後に続く。
「もうよろしいのですか?」
「いつまでも屋上にいるわけにもいかないだろう。見ようと思えば、魔法でいつでも見られる。それに、まだ仕事が残っているだろう?」
「勝手に覗いている事がバレると、水琴さんから嫌われるかもしれませんよ」
冷音の発言を聞いて、白の君の足が止まる。
「それは本当か?」
「覗かれていると聞いて、いい顔をする方は少ないかと。もしや、これまで何度もしていたのですか?」
「いや、学校に来てからだぞ。水琴が孤立しないように時々……」
「これからは止めておきましょう。水琴さんの傍には師匠もいらっしゃいますから」
「うむ」
白の君は頷いてから再び歩き始めた。心なしか、その足取りは先程よりも重いように冷音からは見えていた。
(前途多難ですね)
冷音は苦笑いをしながら、白の君に付いていった。
「ふむ。塩谷蒼。確か、忍びの家系だったか。幼少期からの訓練により、身体能力に優れているはずだが、それを超える体力か」
「ここにおられましたか、白の君」
魔力測定を終わらせた冷音は、白の君の隣に並ぶ。白の君は、横に来た冷音を横目で見上げる。
「冷音か。魔力測定は終えたのか?」
「はい。全て滞りなく」
「そうか。水琴の魔力量はどうだった?」
「常に魔力増加を行っている結果、平均値よりも遙かに多くなっています。ですが、思ったよりも少ないというのが、私の感想でしょうか」
「そうか。そこは、水琴の努力次第という事か」
水琴の魔力測定の結果と冷音の感想を聞いて、白の君が頷く。だが、その目は水琴の方に向いていた。白の君がただ外を見ているだけではないと気付いた冷音は、白の君の視線の先を追っていき、水琴が走っているのを見つけた。
「水琴さんでしたか」
「うむ。水琴は面白いな。そういえば、本当に水琴の家系には、転生者は混じっていないんだな?」
「はい。調べさせた中では確認出来ませんでした。水琴さんの血筋が特別という事も無さそうです」
「なら、水琴の体力は自前という事か」
体力の話をして、冷音は改めて魔法を使って水琴を見る。アリスをポンチョに入れている事に少し驚いた冷音だったが、すぐにアリスの指示だと察した。水琴に同情しながら、水琴が息切れせずに、アリスと会話をしている事に気付いた。
「水琴さんは、今のところどの程度走っているのですか?」
「三時間を超えているな」
白の君の答えを聞いて、冷音は少しだけ目を見開いた。冷音が考えていたよりも、遙かに長い時間だったからだ。
「何だ? 嘘は言っていないぞ」
「いえ、疑ってはいません。ですが、凄いものですね。師匠がいるのもありますが、裏世界で生き残る事が出来たのも頷けます」
「ああ。あの体力に身体強化が加われば、移動時間も短縮出来るだろう。それに、魔力操作に関しても天賦の才があるみたいだからな」
「加えて、言霊もあります。様々な才を持ち、開花させる努力を怠らない。師匠が気に入るのも分かります」
この冷音の言葉に、白の君は若干ジト目になる。
「アリスが一番気に入っているのは、見た目だろう」
「それは否定しきれませんね」
「未だに水琴に手を出していない事に、私は驚いたがな」
それを受けて、冷音は苦笑いしてしまう。
「師匠なりの考えがあるのでしょう。今の師匠では、人の身体になる事が出来ても、子供の身体ですから」
「水琴に釣り合うような身体になるまではという事か。あいつは、いつまでも恋愛には誠実だな」
「これまで全ての直弟子に手を出していますが」
冷音は困った様子で片手を頬に当てながら言う。それを見て、白の君は呆れたように息を吐く。
「それもお前達が許すからだろう。普通は、最愛が取られたら妬むものじゃないのか?」
「そうですね。ですが、師匠が全員を愛している事は知っていますから」
「私にはよく分からんな。まぁ、一番の問題は、水琴の気持ちだろうな」
「そうですね。上手くいけば、水琴さんを師匠に取られてしまいますね」
微笑みながらそう言う冷音の方に、白の君の顔が向く。その表情には困惑が浮かんでいた。
「どういう意味だ?」
「おや? てっきり、白の君は水琴さんに恋をしているものかと」
冷音の言葉に、白の君はきょとんとしてしまっていた。言われている言葉を頭の中で何度も反芻して、ようやく飲み込む事が出来た。
「恋……? アリスみたいにという事か?」
「はい」
「そう見えるのか?」
「はい」
冷音からの即答を受けても、白の君はいまいちピンと来ていなかった。恋をするという事もなかった人生だったので、自身のそういった気持ちに疎かったのだ。白の君のその様子を冷音は微笑ましく思っていた。
「ふむ……恋か。茜に相談するが良さそうだな」
「やめてください。数が少ない選択肢の中でも、茜に相談するのは悪手です」
冷音は、即座に白の君を止める。その表情は真剣そのものだった。
「そうか? 茜は、恋が多いと思ったが」
「師匠の駄目な部分が似てしまっていますが、相談には向きません。私か美玲にしておいてください」
「そういうものか」
「そういうものです」
「そうか……水琴は、私の事を好きだろうか?」
ドストレートな相談に冷音は、すぐに答えを出せなかった。そもそも水琴の内心について詳しく知っている訳ではないというのもある。水琴の家系や過去を一通り調べているが、それで内心を知る事は出来ない。
「少なくとも嫌われてはいないかと。嫌いな相手とお茶はしないでしょうから」
「なるほど。そういう考えもあるのか」
「はい。態々師匠の許可を頂く事もないと思います」
「ふむ。つまり、告白しても大丈夫という事か?」
「気が早いです」
「難しいな」
白の君は、少し唸りながら視線を水琴の方に戻した。そんな白の君の目を見て、冷音は自然と頬が緩んでいた。
(完全に恋する乙女ですね。それにしても、水琴さんからは、女性を惹き付けるフェロモンでも出ているのでしょうか。師匠、茜、白の君。既に三人を虜にしていますし。まぁ、師匠には悪いですが、私は白の君を応援させてもらいましょう。これまでの人生の中で、初めての恋ですし)
白の君の初めての恋を全力で応援しようと冷音は心で決めた。アリスを応援するという選択もあるが、初々しいどころか、恋愛のれの字もしっかりとしていない白の君を応援したいという気持ちが勝ったからだ。
「しかし、水琴はいつまで走り続けるつもりなんだ」
「持久走の目的通り、体力が尽きるまででしょう。恐らく、師匠が課題を与えて、速度が変わってくるかと思います」
「体力測定を修行に使うつもりか。身体強化は使えんのにか」
「素の身体能力が育っていなければ、身体強化の意味も薄いですから。師匠は、基礎を大事にする方針というのもありますが」
「ふむ。水琴も大変だな」
「大変なのは、これからですよ」
「それもそうだな」
そう言って、白の君は屋上から屋内に戻っていく。冷音も後に続く。
「もうよろしいのですか?」
「いつまでも屋上にいるわけにもいかないだろう。見ようと思えば、魔法でいつでも見られる。それに、まだ仕事が残っているだろう?」
「勝手に覗いている事がバレると、水琴さんから嫌われるかもしれませんよ」
冷音の発言を聞いて、白の君の足が止まる。
「それは本当か?」
「覗かれていると聞いて、いい顔をする方は少ないかと。もしや、これまで何度もしていたのですか?」
「いや、学校に来てからだぞ。水琴が孤立しないように時々……」
「これからは止めておきましょう。水琴さんの傍には師匠もいらっしゃいますから」
「うむ」
白の君は頷いてから再び歩き始めた。心なしか、その足取りは先程よりも重いように冷音からは見えていた。
(前途多難ですね)
冷音は苦笑いをしながら、白の君に付いていった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる