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5年前は急激に成長している伯爵家との縁が今後に影響があるとして婚約を許可したが今は右肩下がり。上手くいってないからとこんなに下がるものなのかを調べたところ5年前の成長は賄賂によるものだと判明。

婚約が決定してからはそれを話道具に商売で使って評価をあげていたという。

イリクトは「話していただきありがとうございます。後、しばらく婚約者を作らないでください。可能ならこの先も作らないでいただけますか?」

「それは結婚しないということかい?」

「いいえ。パートナーぐらい自分で見つけれますよ。20歳になっても見つけていなければ好きにしてください。」

「見つけてきた相手を私が認めるかわからないがそれでいいんだね?」

「構いません。認めるようにするだけですから。」そう言って部屋を去ったのが6年前。

父親は忙しく家を空けることは多い。元々家族という関係ではなく後継者という関係だったために疎遠だった中はもっと悪化した。

その話を聞いたリーリアは口を開け驚いていた。

「あの…もしかしてその約束の20歳って…」

「来月で約束の日だな。父上はもう何人か目星はつけているみたいだが俺は道具にならない。」

「かといって私男爵家なんですけど。絶対認めないやつじゃないですか…」

「それについては心配無用だ。なんでギリギリになって婚約者を探していると思う?まぁ実際にいいやつが居なかったってこともあるが出来る限り俺の評価を上げてから婚約者を探したかったんだ。お前の事を気に入っても反対されたら意味がない。だから俺の意見を通さねぇと公爵家はつぶれるぞという無言の圧力をかける。だから身分は関係ねぇ。必要なのは気が利く立ち回りが上手い令嬢。と俺に似たやつだ。今まで社交界に出ずに評価をあげたからこそ今の評価がある。」

「私があげられるものなんてないんですけど。」

「いや、お前にはしっかりとやってほしいことがある。社交界のまとめ役になれ。あとは何国語話せるんだ?」

「えぇ。元男爵令嬢には絶対無理ですって…三か国語ぐらいなら…。」

「ばっちりだ。十分すぎるな。な?お前にはしっかりと価値がある。俺が欲しいほどのな。あと敬語は今後完全に使うな。正直なお前の意見が聞きたい。結婚する人とは対等な関係になりたいと思っている。」

「だったらもう一度ぐらい名前を呼んでくれる?先ほどから「お前」としか呼ばれてないんだけど。敬語もいらないなら好きにするよ。私だってこっちの方がはなしやすいからね。」

「なっ///名前を呼ぶぐらい今じゃなくていいだろっ!」

「え…。何照れてんの。もしかしてそんな口調でそんな態度なのに女慣れしてないとか?引きこもり?」

「馬鹿にすんじゃねぇっ!ただ今は社交界モードじゃねぇからだって。」

「モードとかどうでもいいからほらはよせーや」

「リ…リーリア///」

びっくりするほど照れながら呼ばれた名前。耳まで真っ赤のその様子にリーリアまでもが照れてしまった。

「って!お前も赤なってんじゃん!!俺だけじゃねぇじゃん!!」

リーリアは思った。「あっこいつピュアだな」と。幼い頃から婚約者がいたためか女性と触れ合ってこなかったのだろう。頭はいいのに不器用というのがバレた瞬間だった。
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