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全員脅されながら一度外に出され1人ずつハロルドのいる部屋に連れていかれる。確実に洗脳するために。

「ワシに忠誠を…現時点よりおぬしはわしの意のままに…そしてこの洗脳は他者の能力に影響されぬ。ワシだけがこの洗脳を解ける者なり。不自然な行動したものはたとえ家族であっても報告を義務付けるとしよう。」

そしてレオナード家は解放された。皇帝に忠誠を誓った後で…。リアムは目を瞑っており洗脳にはかかってはいないが家でもかかっているふりをしなければならない。

オリビアがどこかのタイミングで家に尋ね洗脳を解く予定だったが洗脳の条件に「他者の能力に影響されない」という言葉は実際試して見ないと分からない。洗脳が解けなかった場合、洗脳を解こうとしたとしてハロルドに報告されてしまう。

リアムとオリビアは隠れて話せるタイミングも失われ身動きが取れなくなっていた。伝書鳩を使おうにも基本的に連絡はソフィアの担当で洗脳されてからはその伝書鳩も姿を消した。例え伝書鳩を見つけたとしてもオリビアの状態が分からない以上下手に行動する訳にもいかない。

リアムは皇帝の手足に成り下がりそれぞれが動くしかなかった。リアムは少しでもオリビアに接近するために宮殿への仕事は出来る限り同行する。しかし、ハロルドに阻まれているのか姿すら見ることが出来ない。

つい先日までは家でみんなと作戦会議を行い当たり前に見ていた姿さえ見えなかった。洗脳されたといっても過去の記憶は触られていない。当然水晶瞳の知識も残っているはず。洗脳されたという事実に自分で気づいてもらうしか無かった。

レオナード家の前には常にハロルドが用意した騎士が配置されすぐに報告できるようにされている。見張られているという違和感にも気が付けない家族たち。

ハロルドは忠誠をと言っていたが完全にレオナード家をつぶそうとしているのが判明した。それはゲルマ、ソフィア、リアムの結婚が決まったこと。

ゲルマには元々貴族派のケニーク伯爵家の婚約者居てソフィアとリアムには居なかった。ゲルマと婚約者は5年以上前から決まっていた婚約で仲が良く本人たちの意思で決まった婚約がなんの反対もなく新たな婚約者を受け入れたゲルマ。新しい婚約者はテイジ―・フィルミア侯爵令嬢。ソフィアも同じフィルミア侯爵の長男…侯爵家の次期当主になる人物と婚約した。そしてリアムには伯爵令嬢の婚約者が出来た。

ゲルマとソフィアの婚約者にフィルミア侯爵家の2人が選ばれたということは完全に公爵家を乗っ取ろうとしておりレオナードという貴族派筆頭の家が消えるのは目に見えていた。

ソフィアは昔から婚約者を作るのを嫌っており自由な恋愛がしたいと言い誰かに道を決められるのは嫌がった。20歳になってもなお、婚約者を作らなかったのはソフィアの意見を優先した結果。ゲルマの婚約者も公爵が決めたわけではない。公爵家と伯爵家という身分差の婚約だったのはゲルマ自身がケニーク伯爵令嬢に惹かれ婚約者に選んだという。

リアムにも婚約者の強制は行われず婚約者はいなかったが通っていた学校でどれだけ声を掛けられてもオリビアに抱いたような気持ちにはなれず失礼だと思い女性からの誘いは断っていた。

ゲルマは婚約者を愛していたはずなのに皇帝命令とされればあっさり婚約破棄を受け入れてしまう。ケニーク伯爵令嬢はまだ洗脳にかかっていなかったのか家に来て理由を知りたい、今まで語っていた夢は?とゲルマに訴えていても皇帝陛下のご命令だから当たり前だとすぐに追い返してしまう。

ケニーク伯爵家は事情を知る貴族で洗脳を解く約束もしていたのにゲルマの様子を見て洗脳がまだ解けていないと判明しても打つ手はない。皇帝陛下直々の呼び出しの日も近く断ればどうなるかわからなかった。頼みの綱の公爵家も今は無力だと知り貴族派の中で暗い情報ばかりが飛び交う。

婚約者がそれぞれ決まりハロルドから伝えられたのは結婚の催促。オリビアとフレデリックの結婚はオルダー帝国でも非常に早い段階で結婚した。結婚できる年になった時点で結婚式が行われたのだ。今でこそその結婚は早く子を産ませる為の手段だったが結婚して一年も経たないうちにフレデリックが離縁宣言したことでオリビアが覚醒してしまい予定が狂ったのだろう。

そしてリアムの婚約者となったのはミッチェル伯爵家の長女バレッタ。一つ年下でミッチェル伯爵家は皇帝派閥の家の1つ。

学園内でオリビアを積極的にイジメていたグループの一人で、バレッタはリアムに婚約を申し込んでいた。「昔から忘れられない人がいる」「そんな状態で誰かと関係を持つ訳にはいかない」と断られ諦めようと身を引いたバレッタだったが虐められているオリビアをリアムが庇う姿を目撃してしまう。

庇った後、特に会話もなかった2人だがリアムの表情はどこか安心した様子で忘れられない人はオリビアなのかと察してしまいそこからは嫉妬と悔しさが入り交じりイジメを行っていた一員になっていた。
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