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秘密の話し合いが未だに続いている。
ハロルドは昔から国民全員を支配下に置く計画を実行したかった。代償を払う抜け道を独自で見つけたからか実行しようとしているのはすぐにわかった。
最近、宮殿に家族全員で訪れる皇帝派が多くみられつい先日レオナード家にもお呼び出しがかかった。
「陛下と出会った貴族たちはより一層忠誠心が高くなったと聞きます。きっと我々は洗脳されるでしょう。しかし過去は上書きしないはずです。いつでも構いません。我々の洗脳を解いていただきたい。そして今後かけられるであろう貴族派の当主たちもオリビア様の手で解放してほしいのです。本当に信用の出来るものを厳選し洗脳の話をしていますのでそこは御安心ください。」
「それは私しかできないことですわ。私には公爵の…いえ、皆様の力が必要なのです。必ず洗脳を解きます。」
そして話し合いは幕を閉じた。
仕事が当たり前にやってきても訪問するお客様を皇太子の妻として出迎えなければならない。本来なら皇后がする仕事も全部オリビアの仕事。疲労で倒れそうなほどの仕事の量だった。でも弱音を吐けばお人形ではなくなり何か勘づかれるかもしれない。常に気を張っているオリビアの限界が近かった。
ハロルドの命で仲睦まじい姿を国民に示せと言われエスコートされながら町をまわる。この視察で困ることはフレデリックの独占欲。最近独占欲というなの狂った愛情が故に監視が日に日に増してきた。少し町の男性と話すだけでフレデリックはその住民に怒りをぶつける。
「貴様っ!私のオリビアと話していいと本気で思っているのか?今後一切我々の前に現れるな」という様子。このやり取りを何回見ただろうか。
急に叫ぶフレデリックに驚いたものの以前なら気に食わぬことがあれば蹴り飛ばしたり牢に居れたりともっとひどいことをしていただろう。従者の間では落ち着いてきて安心するという声が出てきているそう。失礼なことをしても怒るそぶりはなく「私は子供だったのだよ。」と優しく微笑む。
オリビアが絡んでなければ優しい猫かぶりのフレデリックになる。
馬車で移動中もオリビアを膝の上にのせて髪の毛を触りながら「あぁ。オリビア…愛している…。本当にひどいことをした。私は取り返しのつかないことをしたんだ。」と勝手に懺悔され囁かれる。それでもオリビアは喜ばなければならない。
大胆に愛されていたからか皇后の座を狙っていた令嬢たちも次第に諦めていくように。皇太子の前でオリビアを傷つける及び話しかける行為は御法度になりつつあった。
場所を選ばずどこでもオリビアオリビアとうるさいフレデリックにまとわりつかれオリビアは本当に怒りや喜びの感情が消えつつあった。
「本当にお人形みたいに反応できなくなってきた…」と自分で自覚するほど無理をしているのがわかる。「いつまであの皇太子を好きなふりをしなければならないんだろう。」と悩む日々。
人間に戻るのはレオナード家の皆さんや両親と話す時だけ。
そしてレオナード家が宮殿に訪問する日になった。ボロを出してはいけないと笑いもせずただ黙々と挨拶し対応する。リアムはそんなオリビアの様子にいてもたってもいられなかった。
自分が守りたいと思った人ばかりが我慢し身を削る。失敗は許されない。その重圧はきっとオリビアばかりが背負ってしまっていると。
(目の前にいるのに何もしてあげられてない。このまま君をさらって陛下の首を取ることができれば…僕にそれほどの力があれば…)
首を狙っても洗脳された従者が陛下を守るだけ。オリビアの洗脳で陛下を無力化できれば…と作戦を立てたものの賭けに近い行動は取れなかった。今は耐える時だった。
オリビアは出迎える役目を終え、執務室に帰っていく。入れ替わりでハロルドがレオナード家の元へ訪れた瞬間にレオナード家は挨拶をし頭を下げる。
ハロルドは優しい笑顔で「待たせたようですまなかった。さぁこちらへ…」と部屋に案内する。だがその不気味な笑みが洗脳以外の何かを企んでいそうな目をしていてリアムは嫌な予感がした。
確かに今からきっと洗脳される。何も不思議なことはない。なのに何故かリアムはとてつもない不安に襲われる。
洗脳以外の何かがあるような気がする。本能的に危機を察した。
「へ…陛下っ。申し訳ありません。乗ってきた馬車に提出予定の書類を忘れてしまいました。」と何故か考えるより前に言葉に出してしまっていたリアム。
ソフィアやレオナード公爵は「何を言っているんだ」という表情で訴えるも陛下は取りに行く許可をだす。リアムは「本当に申し訳ございません。僕が歩き回るのは心配でしょうしこの護衛を借りてもよろしいでしょうか?」と一人の護衛をつれてリアムは馬車に戻った。
何かあった時の為にリアムは馬車に本当に書類を忘れていたがリアムはあることを見逃さなかった。
※完結してから投稿しようと思って保留しておきましたが時間がかかるため不定期で更新していきます。
ハロルドは昔から国民全員を支配下に置く計画を実行したかった。代償を払う抜け道を独自で見つけたからか実行しようとしているのはすぐにわかった。
最近、宮殿に家族全員で訪れる皇帝派が多くみられつい先日レオナード家にもお呼び出しがかかった。
「陛下と出会った貴族たちはより一層忠誠心が高くなったと聞きます。きっと我々は洗脳されるでしょう。しかし過去は上書きしないはずです。いつでも構いません。我々の洗脳を解いていただきたい。そして今後かけられるであろう貴族派の当主たちもオリビア様の手で解放してほしいのです。本当に信用の出来るものを厳選し洗脳の話をしていますのでそこは御安心ください。」
「それは私しかできないことですわ。私には公爵の…いえ、皆様の力が必要なのです。必ず洗脳を解きます。」
そして話し合いは幕を閉じた。
仕事が当たり前にやってきても訪問するお客様を皇太子の妻として出迎えなければならない。本来なら皇后がする仕事も全部オリビアの仕事。疲労で倒れそうなほどの仕事の量だった。でも弱音を吐けばお人形ではなくなり何か勘づかれるかもしれない。常に気を張っているオリビアの限界が近かった。
ハロルドの命で仲睦まじい姿を国民に示せと言われエスコートされながら町をまわる。この視察で困ることはフレデリックの独占欲。最近独占欲というなの狂った愛情が故に監視が日に日に増してきた。少し町の男性と話すだけでフレデリックはその住民に怒りをぶつける。
「貴様っ!私のオリビアと話していいと本気で思っているのか?今後一切我々の前に現れるな」という様子。このやり取りを何回見ただろうか。
急に叫ぶフレデリックに驚いたものの以前なら気に食わぬことがあれば蹴り飛ばしたり牢に居れたりともっとひどいことをしていただろう。従者の間では落ち着いてきて安心するという声が出てきているそう。失礼なことをしても怒るそぶりはなく「私は子供だったのだよ。」と優しく微笑む。
オリビアが絡んでなければ優しい猫かぶりのフレデリックになる。
馬車で移動中もオリビアを膝の上にのせて髪の毛を触りながら「あぁ。オリビア…愛している…。本当にひどいことをした。私は取り返しのつかないことをしたんだ。」と勝手に懺悔され囁かれる。それでもオリビアは喜ばなければならない。
大胆に愛されていたからか皇后の座を狙っていた令嬢たちも次第に諦めていくように。皇太子の前でオリビアを傷つける及び話しかける行為は御法度になりつつあった。
場所を選ばずどこでもオリビアオリビアとうるさいフレデリックにまとわりつかれオリビアは本当に怒りや喜びの感情が消えつつあった。
「本当にお人形みたいに反応できなくなってきた…」と自分で自覚するほど無理をしているのがわかる。「いつまであの皇太子を好きなふりをしなければならないんだろう。」と悩む日々。
人間に戻るのはレオナード家の皆さんや両親と話す時だけ。
そしてレオナード家が宮殿に訪問する日になった。ボロを出してはいけないと笑いもせずただ黙々と挨拶し対応する。リアムはそんなオリビアの様子にいてもたってもいられなかった。
自分が守りたいと思った人ばかりが我慢し身を削る。失敗は許されない。その重圧はきっとオリビアばかりが背負ってしまっていると。
(目の前にいるのに何もしてあげられてない。このまま君をさらって陛下の首を取ることができれば…僕にそれほどの力があれば…)
首を狙っても洗脳された従者が陛下を守るだけ。オリビアの洗脳で陛下を無力化できれば…と作戦を立てたものの賭けに近い行動は取れなかった。今は耐える時だった。
オリビアは出迎える役目を終え、執務室に帰っていく。入れ替わりでハロルドがレオナード家の元へ訪れた瞬間にレオナード家は挨拶をし頭を下げる。
ハロルドは優しい笑顔で「待たせたようですまなかった。さぁこちらへ…」と部屋に案内する。だがその不気味な笑みが洗脳以外の何かを企んでいそうな目をしていてリアムは嫌な予感がした。
確かに今からきっと洗脳される。何も不思議なことはない。なのに何故かリアムはとてつもない不安に襲われる。
洗脳以外の何かがあるような気がする。本能的に危機を察した。
「へ…陛下っ。申し訳ありません。乗ってきた馬車に提出予定の書類を忘れてしまいました。」と何故か考えるより前に言葉に出してしまっていたリアム。
ソフィアやレオナード公爵は「何を言っているんだ」という表情で訴えるも陛下は取りに行く許可をだす。リアムは「本当に申し訳ございません。僕が歩き回るのは心配でしょうしこの護衛を借りてもよろしいでしょうか?」と一人の護衛をつれてリアムは馬車に戻った。
何かあった時の為にリアムは馬車に本当に書類を忘れていたがリアムはあることを見逃さなかった。
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