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フィズケルはその女神様を探した。するとフィズケルのように目立たない色のフードを被った女性の姿が目に入る。
「あの…」
その声にびっくりしたのかフィズケルの顔を見ずに走り去ってしまった。その時に見えた紫の髪色と女神様が落としていった赤いピアスを握りもし貴族だったら…。と少しの期待を胸に抱き妃選抜が始まる。
紫の髪色など目立つ色ならすぐ見つかると思っていたが中々見つからない。平民だとしても貧民街の方を救ってくれたお礼とピアスを返したい。そう思うようになっていた。
貴族にも髪が紫色の女性はいる。だが典型的な貴族すぎて女神様じゃないこの人も…と。貧民街に通うも女神様は現れない。皆口をそろえていう言葉は「とても美しくとても優しい方。そして綺麗な紫の髪と瞳」という。いつしか女神様を探していた。
全員の面会が終わって初めて婚約者が発表される。皆我先にと押し寄せてきた。条件のおかげで社交界を邪魔されることはないものの声をかけて欲しそうに見つめる目は実に不愉快だった。
春、夏、秋とどんどん日が立つも女神様は見つけれないでいる。そして妃選抜も終盤だった。そしてこの時にはもう女神様は貴族ではないと決めつけていた。街にお忍びで行ける時間は少なく見つけること自体難しいだろうと。もうあまり考えないようにしていた。
「もうそろそろ全員と面会がおわるな―。この1年それで振り回されてばかりだよ…」と側近に愚痴をこぼす。「後どこの家が残ってたっけ。」
「条件に該当する令嬢は後1人です。」
「あ、もうそんなに進んでたんだね。さっさとその1人に会って終わらせよう。大体の令嬢は選んでいるから。で、その令嬢はどこの家の令嬢なんだい?」
「…。公爵家の庶子…ヴァイオレッタ公爵令嬢です。」
「庶子という言葉を使うのは感心しないな。でもまぁいい噂は聞かないよね…。社交界にも顔を出さず男性とばかり遊んでいて公爵家にお金をもらえないほどの散財…」
「本当に会われるのですか…?」
「該当する令嬢全員と必ず面会すると言ったは僕だ。悪い噂しか聞かないだけであって実際はどうかわからない。僕が自分の目で判断するのは君もよく知っているだろう?」
「大変失礼いたしました。日程はいつになさいますか?」
「そうだね…今週は比較的手が空いているしヴァイオレッタ公爵令嬢の都合に合わせると伝えてくれ。後、これは義務だと。」
「承知いたしました。」
義務だと伝えたら渋々面会に来ることになったという。その日は3日後。特にフィズケルは気にしていなかった。彼女が面会しに来るまでは。
面会の席に向かう途中、側近が急いでフィズケルの方に寄ってきた。
「ヴァイオレッタ公爵令嬢は噂の通りの女性のようです。皇太子殿下とお話しに来た令嬢の服装とは思えません!」
「それでもせっかく来てくれたんだ。そのまま帰らさせるわけにもいかない。君たちはこれまで同様席を外してくれ。」
ガチャっと扉を開けて「せっかく足を運んでくれたのに遅れてすまない。」と部屋に入るとそこには胸元が大きく開いた真っ赤なドレスを着たきれいな紫色の少女がいた。
「あの…」
その声にびっくりしたのかフィズケルの顔を見ずに走り去ってしまった。その時に見えた紫の髪色と女神様が落としていった赤いピアスを握りもし貴族だったら…。と少しの期待を胸に抱き妃選抜が始まる。
紫の髪色など目立つ色ならすぐ見つかると思っていたが中々見つからない。平民だとしても貧民街の方を救ってくれたお礼とピアスを返したい。そう思うようになっていた。
貴族にも髪が紫色の女性はいる。だが典型的な貴族すぎて女神様じゃないこの人も…と。貧民街に通うも女神様は現れない。皆口をそろえていう言葉は「とても美しくとても優しい方。そして綺麗な紫の髪と瞳」という。いつしか女神様を探していた。
全員の面会が終わって初めて婚約者が発表される。皆我先にと押し寄せてきた。条件のおかげで社交界を邪魔されることはないものの声をかけて欲しそうに見つめる目は実に不愉快だった。
春、夏、秋とどんどん日が立つも女神様は見つけれないでいる。そして妃選抜も終盤だった。そしてこの時にはもう女神様は貴族ではないと決めつけていた。街にお忍びで行ける時間は少なく見つけること自体難しいだろうと。もうあまり考えないようにしていた。
「もうそろそろ全員と面会がおわるな―。この1年それで振り回されてばかりだよ…」と側近に愚痴をこぼす。「後どこの家が残ってたっけ。」
「条件に該当する令嬢は後1人です。」
「あ、もうそんなに進んでたんだね。さっさとその1人に会って終わらせよう。大体の令嬢は選んでいるから。で、その令嬢はどこの家の令嬢なんだい?」
「…。公爵家の庶子…ヴァイオレッタ公爵令嬢です。」
「庶子という言葉を使うのは感心しないな。でもまぁいい噂は聞かないよね…。社交界にも顔を出さず男性とばかり遊んでいて公爵家にお金をもらえないほどの散財…」
「本当に会われるのですか…?」
「該当する令嬢全員と必ず面会すると言ったは僕だ。悪い噂しか聞かないだけであって実際はどうかわからない。僕が自分の目で判断するのは君もよく知っているだろう?」
「大変失礼いたしました。日程はいつになさいますか?」
「そうだね…今週は比較的手が空いているしヴァイオレッタ公爵令嬢の都合に合わせると伝えてくれ。後、これは義務だと。」
「承知いたしました。」
義務だと伝えたら渋々面会に来ることになったという。その日は3日後。特にフィズケルは気にしていなかった。彼女が面会しに来るまでは。
面会の席に向かう途中、側近が急いでフィズケルの方に寄ってきた。
「ヴァイオレッタ公爵令嬢は噂の通りの女性のようです。皇太子殿下とお話しに来た令嬢の服装とは思えません!」
「それでもせっかく来てくれたんだ。そのまま帰らさせるわけにもいかない。君たちはこれまで同様席を外してくれ。」
ガチャっと扉を開けて「せっかく足を運んでくれたのに遅れてすまない。」と部屋に入るとそこには胸元が大きく開いた真っ赤なドレスを着たきれいな紫色の少女がいた。
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