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3章 思い出のタルト・タタン
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と、そこでワゴンの隣に立っていた久志が「総二郎さん」と横から声をかけた。
「実は、今日お抹茶と一緒にいただくお菓子は、俺と香澄ちゃんで用意しました」
「君と、香澄が……?」
目を丸くして驚く総二郎に、香澄もふと笑って頷いた。そんな二人のやりとりを確認した久志は、笑顔を浮かべたまま銀のクローシュを被せた皿をテーブルの中央に置く。そして、おもむろにクローシュを取ると、そこには──。
「これは……」
プレートの上には、タルト・タタン。香澄が久志に作り方を教わって作ったものだそこにある。タルト生地の上に敷き詰められたつやっとしたリンゴ。6つ切りにカットされたそれは、なかなか形も綺麗で見栄えの良い出来上がりだ。
「きっと、お抹茶にも合うと思いますよ」
久志がそう言うと、加賀美が別の小さな皿に乗った一口サイズのタルト・タタンを総二郎の前に置いた。
「ぜひ、ご試食を」
にこやかに品よく微笑む執事に、「私だけ先に頂いていいのかね」と薫や香澄を見る聡二郎。すると、香澄が「まずはおじいちゃんが食べてみて」と続けた。
「多分、うまくできたはず……」
その言葉はほんの少しだけ自信がなさそうにも見えた。ちらと香澄に見られ、久志はニコッと笑顔を返す。「大丈夫」と、そう伝えるように。
「実は、今日お抹茶と一緒にいただくお菓子は、俺と香澄ちゃんで用意しました」
「君と、香澄が……?」
目を丸くして驚く総二郎に、香澄もふと笑って頷いた。そんな二人のやりとりを確認した久志は、笑顔を浮かべたまま銀のクローシュを被せた皿をテーブルの中央に置く。そして、おもむろにクローシュを取ると、そこには──。
「これは……」
プレートの上には、タルト・タタン。香澄が久志に作り方を教わって作ったものだそこにある。タルト生地の上に敷き詰められたつやっとしたリンゴ。6つ切りにカットされたそれは、なかなか形も綺麗で見栄えの良い出来上がりだ。
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