帝都あやかし物語

来海空々瑠

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真実

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「あやめさん、そいつは裏切り者ですよ……っ!」

琥珀君は仙を見ると、驚いた顔をしていた。仙のことは白哉様から聞いていたのだろう。高羽家に寝返ったと思っていた男がそこにいるのだから、それも無理はない。

「お嬢様、なんなんですか、この人たちは」

一方の仙も険しい顔で雅さんや琥珀君を睨みつけている。一触即発のピリピリとした空気が流れていて、私は「琥珀君、違うの」と慌てて仙の前に立った。

「仙は私の無実を晴らすために高羽家に近づいただけで、私のことを裏切ってなんかなかったの……!」

私の言葉に琥珀君も雅さんも目を見開いて驚いている。信じられないと、そんな表情を浮かべながら。

「……それは本当なの、あやめ」

疑うような視線を向ける雅さんに「ええ」と頷き返す私。すると、琥珀君は額に手を当てて「じゃあ、やっぱり……」と項垂れた。「やっぱり」って、一体どういうことなの……。

「あやめお嬢様」

そんな二人をよそに後ろから仙が心配そうに声をかけてくる。私はちらりと後ろを見遣ると、「大丈夫」と返す。

「……この人たちは、裁きの森に連れられた私を助けて屋敷に匿ってくれた人たちだから」
「この方々が、ですか」
「ええ」

驚く仙を見遣ったあと、私は改めて二人に向き直った。

「……ねえ、雅さん、琥珀君。白哉様は私に嘘をついていたことになるのだけれど、これは一体どういうことなのか説明してくれる?」

白哉様は仙が私を裏切っていると言って会わせてくれようとしなかった。こうして仙から事情を聞いた今、それは嘘だったことが分かったのだけれど、その真意は何だったのか。あの鬼神が言った通り、白哉様は私を騙して何か企んでいるのか、私はそれが気になった。

まっすぐに見つめる私に、戸惑っている二人。だけど、雅さんはギュッと口元を引き締めると、「聞いて、あやめ」と意を決した様子で話し始めた。

「今回のこと、結果的に『嘘』になったしまったかもしれないけれど、それは白哉様の真意ではないわ。……あの御方の心眼が、真実を見極める力が、今曇ってしまっているということよ」

その言葉に目を見開き驚く私。

「心眼が、曇っているってどういうことなの……」
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