帝都あやかし物語

来海空々瑠

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真実

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◇◇◇

「ここは……」

次の瞬間、気づいたときには私はもう自分がもといた場所……人間界へと戻ってきていた。私がいたのは灯りが灯り、賑やかな夜の街。着物やスーツ姿の人々が行き交う見慣れた大通りは、華やかに煌めいていた。その光景を目の当たりにした瞬間、すくむ足。大勢の人間に軽蔑の眼差しと、罵声を浴びされた過去を思い出し、体が自然と強張っているようだった。

どうやら私ひとりがこの場所へと放り出されてしまったらしく、あたりを見渡すも鬼神の姿は見当たらなかった。どうしようかと一瞬ためらったけれど、時間があるとも限らない。ならば本来の目的を果たすのみだ。

夜とはいえ、街の灯りは煌々と夜の街を彩っていた。

このまま、この場所にいれば誰かに顔を見られてしまうかもしれない。そう思った私は、着物の袖で顔を隠しながら灯りが灯っていない、暗い裏通りを歩いていくことにして、仙がいるという高羽邸へと向かうことにした。

歩いている間中、胸のドキドキが収まらなかった。誰かに見られたらどうしようという恐怖もあったし、これから仙に会うことを考えると心が落ち着かない。

手のひらをギュッと握りしめて、「怖い」と思う気持ちを振り払おうと「大丈夫」と自分に言い聞かせる。

「聞いたか?今年の『四神祭』で、あの高羽んとこのお嬢様が婚約発表するらしいぞ」
「まあ、じゃあやっぱり九条家との縁談はまとまったのね。あまり目立たないご令嬢だったけれど、最近は街の人気者らしくてパーティでもいつも輪の中心らしいわよ」
「わたくしも綺麗でお優しいお方だって、パーティに参列していた奥様がおっしゃっていたのを聞きましたわ」

途中、そんな会話が耳に入ってくる。道行く人が話題にしているくらい、彼女や高羽家はこの街で注目を浴びているらしい。両手を強く握りしめながら、私は顔を伏せ、自分の家へと急いだ。

よく知った通りを歩いたので、目的地まで辿り着くのは早かった。目に飛び込んできたのは、純和風の我が邸宅、水無月邸と、隣にある洋風の邸宅、高羽邸だった。
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