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魔術訓練.......と言うか授業?3

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「圧力、とはどんな内容の物なんですか?」

 俺が考え込んでいるうちに、八束は他の事が気になったらしく、質問した。

「能力のない者に訓練を施す必要はない……と」
「何故そんなことを……」
「さあ?奴ら曰く、才能のない者に労力を割くのがもったいない……との事じゃが、本心かどうかは怪しいのう。才能がないとはいえ、一般人より能力はあるじゃろうにの……勇者を万全な状態で戦わせるには、能力を持ってない訓練こそ大切じゃろうて」
「そう思うなら、教会の言うことなんて無視すりゃ良かったろうに……」

 八束の責めるような口調に、おじいちゃんは苦笑いをした。

「そういう訳にもいかんのじゃ。教会の奴らには借りがあるからのう」
「そういうものなのかね」

 八束は納得いかないとでも言いたげに肩を竦めた。

「じゃあ、武術の訓練をしてくれた騎士団の人たちも教会に借りがあるって事なんですか?」

 ふと思いついた疑問を口にしてみる。

「いや、それはないじゃろう。騎士の連中はこれと決めたら己の信念を曲げない者が多い。例え教会に借りがあろうとも、自らの信念を曲げることはないだろう。武術の訓練が異様に厳しかったのなら、そうするべきだ、と思っている騎士団が訓練にあたったからだろう。つまり、わざと厳しい騎士団にスキルのないものの武術訓練を任せた、ということじゃな」

 はあ。なるほど。騎士団なら、戦場を生き残るために厳しく訓練を施さなくてはいけない。と考える所謂、体育会系?の発想をしていてもおかしくない。偏見かもしれないけど。

「ところで、なのじゃが……」

 おじいちゃんは俺と八束の顔を交互に見る。一体なんだろうか?

「お主ら、魔法について学ぶ気はないか?」
「あ、あります!」

 気が付いたら僕は即答していた。いや、だって強くなれるなら、なんでもしたいでしょう?この世界、前の世界よりも致死率は高い訳だし。

「俺も学べるなら学びたいけど……大丈夫なのか?」

 八束は心配そうに尋ねる。

「なあに、二人ぐらいなら心配いらんじゃろ。なんとでも誤魔化せるわい。本来なら学びたいと思う者全員に教えてやりたいんじゃがのう……本来、勉学の機会と言うものは平等に与えられるべきじゃと、儂は思うんじゃが……うむ……」

 そんなに嫌なのに教会の言うこと聞いちゃうのか。よっぽど大きな借りが教会にあるんだろうなぁ……。そうなると気になってくるわけだけど……。
 見てみると素材とか情報の提供とか……なんか地味だ。あ、お城勤めが出来るようになったのも教会のおかげらしい。でもまあ、そんなに興味を惹かれる内容ではない訳で……。大きな借り……にも思えないしなあ。
 ちりが積もって山になった、と言うことなのかもしれない。

 そんな恩ある教会に背いてまで俺達に教えてくれることには感謝しないとな。でも二人だけなのかあ。もし教会の狙いが影井の邪魔をすることだった場合の事を考えると、影井にも授業に参加してもらった方がいいんじゃないだろうか?それに影井は俺の友達だし。本人からこの授業に参加してるってことは魔法を学びたいと気持ちがあるということなのだろうし。彼の気持ちを汲むのなら、友達ならば、影井もいっしょに学べるようにお願いすべきな気がしてきた……。

「あの、もう一人追加で魔法を教えてもらうことは出来ませんか?」

 俺の質問に、おじいちゃんが腕を組み、むむむ。と唸る。

「それは難しいのう……教えてやりたいのはやまやまなんじゃが……」
「なんで駄目なんでしょう?」

 八束が不思議そうな顔をする。

「こういうのは一人特例を作ってしまうと、次から次へと人が増えることになりかねん。少ないうちはいいが、人数が増えてくると、教会側にばれてしまう」

 たかが一人、されど一人、と。そういうことなんだろう。
 おじいちゃんの言うことは最もなので、それ以上はいわない。ごめんよ。影井。
 八束がほっとしたように息を吐いたのを見逃さなかったぞ。俺は。八束よ。影井を避けてばかりいたら、解ける誤解も解けなくなるよ……?って俺が言える立場じゃないんだけど。ごめんよ。八束。

「じゃあ、仕方がないですね……」
「そういってもらえると助かるのう……」

 おじいちゃんは肩を撫で下ろした。

「じゃあ、明日からこの部屋に集合じゃ」
「「はい!」」

 元気のいい俺たちの声が響き渡った。
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