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メイドさんと仲良くなりました1
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「「ふぅ」」
二人同時にため息が出る。
なんだかよく分からないが凄い緊張した。というかクラスメイトにすら嘘を吐く俺達って相当やばいんじゃないか……思ったものの、割としょっぱなから嘘つく気満々だったわ俺。いや、俺が悪いんじゃない。職業が悪いんだ。
っていうか。八束に一つ物申したいことがあった。
「俺が何かすると不幸なことが起こるってなんだよ!」
「何って……別にいいだろ?納得してもらえたし」
「じゃあ聞くけど、不幸な鑑定士ってなんだよ」
「いやあ、それは……」
目をこちらから逸らし、泳がせる八束。
だがキッとこちらを睨む。
「俺別に設定考えるの得意でもなんでもないし。お前の方がそういうの得意なんじゃないのか?そもそも、自分の事だろ!自分で考えろよ!」
「設定考えるの得意でも大人数の所にいると、思考回路がショートするんだよ。っていうか?別に代わりに話して欲しいなんて一言も頼んでないし?」
「なんだと……!?お前が話すの嫌だと思ってわざわざ助けてやったのに、それをお前という奴は……!」
「それを余計なお世話って言うんだよ」
はぁはぁ、と二人揃って肩で息をする。
興奮して立ってしまったようだ。とりあえず座る。疲れた。
「まあ、まず、落ち着こう。過ぎてしまったものは仕方がない。変な設定つけて悪かったな」
「いや、こちらこそ、酷いことを言った。ごめん」
互いに頭を下げる。
くすり、と小さな笑い声が聞こえた。俺達ではない。
ギギギと効果音が付きそうな程ゆっくり、ぎこちなく首を動かす。
そこにはアンジェラさんがいた……。彼女の存在をすっかり忘れていた。
「失礼しました。つい……」
しまった。聞かれていた。って言うかいるの忘れて普通に話してしまった。
俺達は何を話した?
すると、ゲームの過去ログのように今までの会話文が文字で現れた。便利だ……。
これを読む限り、まだ俺の職業は鑑定士ではないとは言ってない。確実に明言してしまったことは、スキル、不幸が嘘、その嘘をクラスメイトについた、ということぐらいだ。これならまだ、彼女に嘘がついたことはばれていない……のか?笑ってるし……。嘘を吐かれてる、と気付いているなら、気付いた時点で何らかの反応を起こすなり、何か思い悩んだりするものではないだろうか。彼女の主である王様は、勇者の能力をある程度、把握しておきたい訳だし。
アンジェラさんを窺うと、目が合った。ニコリと笑いかけられる。
これは大丈夫そうだと目を離したら、次は八束と目が合う。八束は我が意を得たりと言いたげに深く何度も頷いている。
本当に同じ考えなのか……?と心の中を読んでみるが、大体同じことを思っているようだった。
疑ってすまん……。というかこれ、八束の心は覗かない方がいい気がしてきた。罪悪感酷いし……。心の中見るってことは信用してないってことになるんだろうし……。それは宜しくない。
然し、然し、だ。どうしても、気になり読んでしまう。見ようと思うだけで簡単に見られるところがこの能力の悪いことなんだよな……とか言いつつ、情報を見るのに何らかの手段が必要なら必要で不便だ。とボヤいていたんだろうけど。
「それにしても、嘘だったんですね……職業」
さらりと、アンジェラさんが言った。それこそ、たわいない世間話をするかのように。
あまりにもあっさりと言われたので、一瞬理解ができなかった。
数秒後、正常に動き出した思考でどう切り返すか考え始めるが言葉が見つからない。
「嘘ついてすいませんでした……」
八束が謝った。俺は驚いて八束を見るが、目を閉じゆっくりと首を横に振る。誤魔化すのはやめようという意味だろう。
「ごめんなさい」
ぺこりと俺も頭を下げる。
こんな世界に来てしまい、便利な能力を得て、少し調子に乗ってしまったのかもしれない。なんでも自分の思い通りになる、と思い込んでいたのかもしれない。俺みたいな餓鬼の嘘なんて、すぐバレて大変なことになるだけだろうに……。
王様には確実にバレてしまうだろう。それならまだいい。しかしそれだけではなく、クラスメイトにもバレてしまうかもしれない。そしたら嘘ついた分だけ悪い印象を持たれてしまう……。ああ、面倒臭い。初めから素直に言っておけば……いや、でも何回過去に戻ったところで俺はクラスメイトに対して職業を隠そうとしただろう。そこは自信を持っていえる。
ならばこうなってしまうのも仕方が無い……のかもしれない。
「頭を上げてください。……別に怒ってませんから」
と予想外にも穏やかな声が掛けられる。
恐る恐る顔を上げてみると、ニコリと微笑んでいるアンジェラさんが目に映った。確かに怒っているようには見えない。
「それにお二人が嘘を吐くのも無理はないと思います。まだ出会ったばかりで私たちの間には信頼関係もありません。そんな相手に自分たちの情報を渡したくない気持ちは分かります」
どうやら納得してくれているらしい。別に、そういう理由で嘘を吐いた訳ではないんだけど。
でも、確かに自分の能力を安易に他の人に言うのは危機感が足りないよなあ。例え言ったのが、信頼出来る相手だったとしても、壁に耳あり障子に目ありなんて言葉があるくらいだ。誰に聞かれてるか分からない。もし敵に自分の能力を知られていたら……勝率は低くなってしまうだろう。
言い訳をする訳では無いけども、こういう発想は今まで平和に生きてきた俺達ではあまり出てこないものだと思う。
この世界は物騒だからそういう危機感を持たざるを得ないのだろう。
これが、異世界ギャップ……?
二人同時にため息が出る。
なんだかよく分からないが凄い緊張した。というかクラスメイトにすら嘘を吐く俺達って相当やばいんじゃないか……思ったものの、割としょっぱなから嘘つく気満々だったわ俺。いや、俺が悪いんじゃない。職業が悪いんだ。
っていうか。八束に一つ物申したいことがあった。
「俺が何かすると不幸なことが起こるってなんだよ!」
「何って……別にいいだろ?納得してもらえたし」
「じゃあ聞くけど、不幸な鑑定士ってなんだよ」
「いやあ、それは……」
目をこちらから逸らし、泳がせる八束。
だがキッとこちらを睨む。
「俺別に設定考えるの得意でもなんでもないし。お前の方がそういうの得意なんじゃないのか?そもそも、自分の事だろ!自分で考えろよ!」
「設定考えるの得意でも大人数の所にいると、思考回路がショートするんだよ。っていうか?別に代わりに話して欲しいなんて一言も頼んでないし?」
「なんだと……!?お前が話すの嫌だと思ってわざわざ助けてやったのに、それをお前という奴は……!」
「それを余計なお世話って言うんだよ」
はぁはぁ、と二人揃って肩で息をする。
興奮して立ってしまったようだ。とりあえず座る。疲れた。
「まあ、まず、落ち着こう。過ぎてしまったものは仕方がない。変な設定つけて悪かったな」
「いや、こちらこそ、酷いことを言った。ごめん」
互いに頭を下げる。
くすり、と小さな笑い声が聞こえた。俺達ではない。
ギギギと効果音が付きそうな程ゆっくり、ぎこちなく首を動かす。
そこにはアンジェラさんがいた……。彼女の存在をすっかり忘れていた。
「失礼しました。つい……」
しまった。聞かれていた。って言うかいるの忘れて普通に話してしまった。
俺達は何を話した?
すると、ゲームの過去ログのように今までの会話文が文字で現れた。便利だ……。
これを読む限り、まだ俺の職業は鑑定士ではないとは言ってない。確実に明言してしまったことは、スキル、不幸が嘘、その嘘をクラスメイトについた、ということぐらいだ。これならまだ、彼女に嘘がついたことはばれていない……のか?笑ってるし……。嘘を吐かれてる、と気付いているなら、気付いた時点で何らかの反応を起こすなり、何か思い悩んだりするものではないだろうか。彼女の主である王様は、勇者の能力をある程度、把握しておきたい訳だし。
アンジェラさんを窺うと、目が合った。ニコリと笑いかけられる。
これは大丈夫そうだと目を離したら、次は八束と目が合う。八束は我が意を得たりと言いたげに深く何度も頷いている。
本当に同じ考えなのか……?と心の中を読んでみるが、大体同じことを思っているようだった。
疑ってすまん……。というかこれ、八束の心は覗かない方がいい気がしてきた。罪悪感酷いし……。心の中見るってことは信用してないってことになるんだろうし……。それは宜しくない。
然し、然し、だ。どうしても、気になり読んでしまう。見ようと思うだけで簡単に見られるところがこの能力の悪いことなんだよな……とか言いつつ、情報を見るのに何らかの手段が必要なら必要で不便だ。とボヤいていたんだろうけど。
「それにしても、嘘だったんですね……職業」
さらりと、アンジェラさんが言った。それこそ、たわいない世間話をするかのように。
あまりにもあっさりと言われたので、一瞬理解ができなかった。
数秒後、正常に動き出した思考でどう切り返すか考え始めるが言葉が見つからない。
「嘘ついてすいませんでした……」
八束が謝った。俺は驚いて八束を見るが、目を閉じゆっくりと首を横に振る。誤魔化すのはやめようという意味だろう。
「ごめんなさい」
ぺこりと俺も頭を下げる。
こんな世界に来てしまい、便利な能力を得て、少し調子に乗ってしまったのかもしれない。なんでも自分の思い通りになる、と思い込んでいたのかもしれない。俺みたいな餓鬼の嘘なんて、すぐバレて大変なことになるだけだろうに……。
王様には確実にバレてしまうだろう。それならまだいい。しかしそれだけではなく、クラスメイトにもバレてしまうかもしれない。そしたら嘘ついた分だけ悪い印象を持たれてしまう……。ああ、面倒臭い。初めから素直に言っておけば……いや、でも何回過去に戻ったところで俺はクラスメイトに対して職業を隠そうとしただろう。そこは自信を持っていえる。
ならばこうなってしまうのも仕方が無い……のかもしれない。
「頭を上げてください。……別に怒ってませんから」
と予想外にも穏やかな声が掛けられる。
恐る恐る顔を上げてみると、ニコリと微笑んでいるアンジェラさんが目に映った。確かに怒っているようには見えない。
「それにお二人が嘘を吐くのも無理はないと思います。まだ出会ったばかりで私たちの間には信頼関係もありません。そんな相手に自分たちの情報を渡したくない気持ちは分かります」
どうやら納得してくれているらしい。別に、そういう理由で嘘を吐いた訳ではないんだけど。
でも、確かに自分の能力を安易に他の人に言うのは危機感が足りないよなあ。例え言ったのが、信頼出来る相手だったとしても、壁に耳あり障子に目ありなんて言葉があるくらいだ。誰に聞かれてるか分からない。もし敵に自分の能力を知られていたら……勝率は低くなってしまうだろう。
言い訳をする訳では無いけども、こういう発想は今まで平和に生きてきた俺達ではあまり出てこないものだと思う。
この世界は物騒だからそういう危機感を持たざるを得ないのだろう。
これが、異世界ギャップ……?
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