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第2話 縋ってはいけない禁忌の神      

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 一人きりになった病室で、「はぁ~」と大きな溜息をつく真波まなみ

「やっぱりお兄ちゃんは手強いな、なかなかボロを出さないや」

 個室の病室の窓際に設置されているベット。真波まなみは苦しそうによろよろと上半身を起こすと、病室の窓から見える外の風景に視線を移す。
 眼下には、コンビニのある方向に歩いて行く兄の姿が小さく見えた。
 兄の姿を見つけて、嬉しそうな顔になる真波まなみ

「お兄ちゃんと血が繋がってないって確証が持てたら、せめて気持ちだけは伝えたいんだけどなぁ…。間に合うかな…」

 頬を染めて、切なげな表情で呟く真波まなみ



◇◇◇



 週末の土曜日。俺は登山装備で険しい山を登り、山頂付近にあるはずの廃神社を目指していた。

「ふぅ、そろそろ見えてきても、いい頃なんだけどな」 

 最初の頃はあった道も、今は鬱蒼と木々が生い茂る獣道しかない。

 俺は妹に家族以上の愛情を持ってしまっている。互いに言葉にしたことはないが、おそらく妹も…

 妹が病気になったとき、真っ先にこう思った。

 他の誰かではなく、なぜ俺の妹の真波まなみなんだ? 

「人間の寿命は生まれた時から決まっている」そう言われても納得なんかできない…!

 この世に本当に神様はいるのか? 人間の行いを天から見ているなら、どうして犯罪を犯した人間が、時効になるまで何十年も逃げ果せ生きているんだ?
 何人も人を殺した悪人に長い寿命があるのに、なんで善良な俺の妹にはないんだ? こんなのおかしいだろ!?

 何度も何度も気が狂うほど神に祈った…、だが救いも奇跡も起きなかった。
 だから俺は神以外のモノを頼ることにした、たとえそれが禁忌だとしても…

 そんなことを考えながら山道を歩いていると、前方にようやく目的の廃神社らしき鳥居が見えてきた。



◇◇◇



 俺は受験勉強そっちのけで、ありとあらゆる伝承を調べていた。またハズレかもしれない、それでも縋らずにいられなかった…。
 寿命の譲渡の言い伝えがある廃神社の壊れた鳥居をくぐり、荒れ果てた祠の前に立つ。

「どうやって伝承の神を呼び出せばいいんだ?」

 やって来たのはいいが、俺は途方に暮れた。

「お供え物とか持ってくればよかったかな、痛っ!?」

 祠の扉に伸ばした指が、笹の葉に触れ、指先が深く切れた。痛みに声をあげる俺。

 指先から祠に血がポタポタと落ちる。その瞬間、ザワザワと何百もの虫が蠢くような音が響いた。そして、青と土色の斑の毛むくじゃらの生き物が地面から這い出てきたのだ!?。

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